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「ヘルプ 心がつなぐストーリー」 [映画]

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〔2011年/アメリカ〕


1960年代。
アメリカ・ミシシッピー州。


人種差別の激しいこの土地では、
「ヘルプ」と呼ばれる黒人のメイドたちは、
白人家族のトイレを使う事さえ禁じられている。
「病気がうつる」などという、
根拠のない流言を信じている者が多い、
遅れた土地。


大学を卒業して戻ってきたエマ・ストーンの、
同級生たちも、今や主婦になっており、
ヘルプを使う立場。
「仕事に就きたい」
「将来は作家になりたい」
というストーンの夢など、
同級生たちは考えた事もなさそうだ。


ストーンは、
ヘルプたちの立場や扱いに疑問を感じ、
取材して、本を出そうと思い立つ。


ヘルプが本音を語る事は、
失業を意味する。
最初は口の重かったヘルプたちだが、
次第に語り手が増えてくる・・・。





重く描こうと思えば、
どこまでも重くなりそうだが、
意外とサラッとしていて、楽しめる。


ヘルプたちを差別する白人主婦たちだが、
子育てはヘルプ任せなのが、
私は不思議でたまらない。
そんなに見下した相手に、
自分の子供を託すなんて、
私だったら絶対に嫌だと思うのだが、
そうは感じていないらしい。
彼女たちは、どこで心の折り合いをつけているのだろう。


実際、幼い子供は、
母親より、ヘルプに懐き、
抱っこされる時は、腕を首にギュッと巻きつける様子が、
可愛くてたまらない。
しかし、そんな信頼関係を築くヘルプと子供も、
「大きくなれば親と同じ」と、
彼女たちは嘆く。


主人一家のトイレを使ったばっかりに、
解雇されてしまったヘルプが、
ある仕返しをするのだが、
それがなんとも(笑)。
あんな事をされたら、
私なら絶対嘔吐してしまうだろうし(笑)、
映画でもそうだった。
そして、そのエピソードは、
最後まで話に絡んでくる(笑)。


この映画では、
白人たち(特に主婦)は、
物凄く悪役だけれど、
仕方のない面もあると思う。
彼女たちは、親から教わった事を
そのまま踏襲しているだけだし、
時代も時代だったし、
土地柄も土地柄だったのだろう。


古い習慣を変えるのは容易ではないし、
他人の目もある。
エマ・ストーンのような人が、
1人2人と現れて、
少しずつ変わってゆくしかないのであろう。


今、2012年を生きる私たちだって、
未来から見たら、
「昔はあんなに遅れてた」って言われるんだろうね。


評価 ★★★★☆

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