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「不信のとき」 [映画]

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〔1968年/日本〕


銀座シネパトスの現在のテーマは、
「生誕百年 今井正監督特集 第二部」。

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結婚10年の田宮二郎・岡田茉利子夫妻には、
子供がいなかった。
医師の診断によると、
岡田が妊娠しにくい体質だと言う。


田宮は、銀座のホステス・若尾文子と懇意になる。
若尾のアパートに初めて行った際、
田宮は彼女から、ある提案を受ける。


「田宮の子供を生ませてほしい。
 結婚を迫ったりはしない」と。
子供を持つことは半分諦めていた田宮は、
その提案をなんとなく受け入れてしまう。


ほどなくして、若尾は妊娠。
女の子を産む。
ところが、妊娠しないと思っていた岡田から、
子を宿していると知らされた田宮は驚く。
その後、岡田は男の子を出産。
かくして、田宮は、
同じくらいの年の子を2人持つ父親となり、
2つの家庭を行ったり来たりするようになる。


2年間は平穏に過ぎたが、
盲腸で入院した田宮の病室で、
岡田と若尾が鉢合わせしてしまう。
驚く岡田に慌てふためく田宮。


岡田と若尾は、若尾のアパートで対峙する。
その後、岡田は、ある驚愕の事実を暴露する・・・。





以前、有吉佐和子さんの原作を読んだ時、
ずいぶん俗っぽい内容だなと思ったが、
映画もやっぱり俗っぽかった(笑)。


しかしそれは、有吉さんの、
痛烈な社会風刺であろうし、
子供にとって父親とは何なのか、
「あなたの子供だ」と言われれば、
それを信じきって、子供をあやす男に対する、
揶揄が見えて、可笑しい。


田宮二郎が笑える。
2人の女の間で右往左往して、
忙しいったらありゃしない(笑)。
一見クールなイメージの彼だけど、
古い映画を観ていると、
コミカルな役も沢山演じていて、
私の中の印象が変わってしまった(笑)。


でも、岡田茉利子と若尾文子という、
あんなに美しい2人を
妻と愛人に持つなんて、
役の上とはいえ、ものすごい果報者だ(笑)。
しかも岡田は、有名な書道家という才色兼備な女、
田宮はどこへ行っても羨ましがられる。


田宮が親しくしている、取引先の社長・三島雅夫も可笑しい。
彼は60歳を過ぎて、
20歳そこそこの不良娘・加賀まりこを愛人にする。
遊びたい盛りの加賀は、囲われ生活にうんざりするが、
妊娠する。
三島は、自分が男としてまだまだ現役な事に狂喜する。
最悪の結末が待っている事を、その時は知るよしもなく。


今なら、男性が不信に思えば、
DNA検査などで、自分が父親であるか否かを明らかにするのであろうが、
そんな概念さえない昔は、
女の言い分を信じるしかなかった。
医学があんまり発達するのも、
幸なのか不幸なのか(笑)。


評価 ★★★★☆

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