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「太陽に恋して」 [映画]

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〔2000年/ドイツ〕


なんだかパッとしない教師、モーリッツ・ブライブトロイ。
けれど、アクセサリー売りのクリスティアーネ・パウルは、
そんな彼に恋していた。


ある日、 パウルはブライブトロイに、
太陽を象った指輪を売る。
「太陽は幸せの象徴」とか、
「太陽を身に纏った女性と出会うと幸せになれる」とか適当な事言って。


実はこれは、パウルの作戦で、
夜のパーティで、彼女自身が太陽の模様の服を着て、
ブライブトロイの前に現れ、結ばれるって筋書きだったんだけど、
なんと彼は、別の太陽の模様の女に出会ってしまうんだ。
 

彼は明日からのバカンスに、その女の国であるトルコに行くと言う。
傷心のパウルは、ヒッチハイクで出かけるだが、
何と拾った車がブライブトロイの車で、
そこから珍道中が始まる。




なんて愉快で、中身が濃くて、そして可愛いロードムービー!
ヨーロッパの国境の様子や、
南下してゆくにつれ変わってゆく雰囲気は、
主人公と一緒に旅している気分にさせてくれる。


善良で鈍臭そうなブライブトロイが、
何か悪い事件に巻き込まれたら嫌だな、と、
ちょっと不安な気持ちになったものだが、とんでもない。
ラストに辿り着く間の出来事は、
面白くて、語っても語り切れない濃い話ばかり。


主人公の二人は、
途中ではぐれたり、また出会ったり、喧嘩したり、
とにかく色んな事が起こるんだな、これが。


さらに、最初は「喧嘩なんてした事なかった」と語っていたブライブトロイが、
いつのまにか強くなっていたのも可笑しかった。
これは彼の成長物語でもあるのね。
何と言ってもパウルの笑顔に救われる。
彼女の恋を応援したくなるし、
オチも楽しい。


評価 ★★★★☆
 
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「スウィート・ノベンバー」 [映画]

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〔2001年/アメリカ〕


エリート広告マンのキアヌ・リーブス。
彼は、忙しい仕事の合間をぬって、
運転免許証の更新の試験を受けに行くが、
彼のつまらない行動が原因で、
同じ教室にいたシャーリズ・セロンの試験を無効にしてしまう。


30日後の次の試験まで、
無免許となってしまったセロンは、
リーブスに車の運転を頼み、
さらに、一ヶ月間一緒に暮らさないかと提案する。


最初、彼は拒否するが、
仕事の失敗から、広告会社をクビになり、
恋人にも振られた彼は、
セロンの提案を受け入れる事になってしまう。


セロンは、自然体で生きる、欲の無い女で、
俗人のリーブスとは全く合わなかったが、
次第に人間らしい生活に目覚めたリーブスは、
セロンを愛するようになる。


しかしセロンは、この恋は一ヶ月限定であり、
それ以上の深入りは出来ないと言う。
実は彼女には、
そう言うだけの秘密があったのだ。





うーん、理解不能。
突っ込み所満載。


一ヶ月限定の恋て(笑)。
私には理由があるのよ、ってか?
理由があるなら何をしてもいいんかい。
恋が始まって一ヶ月目なんて、一番良い時だろうが。
そこで突き放すくらいなら、
最初から付き合わない方がいいでしょ。
残酷過ぎる。


仕事人間は駄目で、
仕事を忘れる人間が偉いみたいな言い方も、
なんだかなぁ。
そもそも仕事って、日々の糧を得る為のもの。
生きる為のもの。
それをするなって、
一ヶ月限定のアンタは良いかもしれないけど、
キアヌがアンタと別れたあとの事まで
責任とってくれんかい。


まぁ、一ヶ月限定という事を抜かせば、
二人のやり取りは可愛くて、
良いカンケイだった。
ずっと一緒に暮らしてゆくって内容だったら、
逆に泣けた気がする。


それから、
「美人」か「可愛いか」で分けたら、
美人にカテゴライズされるであろう、
シャーリズ・セロンが、
幼い子供みたいな髪飾りを付けた姿は、
とても新鮮で素敵だった。
綺麗な映画だけに、このオチは勿体無い事だ。


評価 ★★☆☆☆

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「ミーン・ストリート」 [映画]

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〔1973年/アメリカ〕


ニューヨーク、イタリア人街。
ハーヴェイ・カイテルは、
街のボスである叔父、チェザーレ・ダノヴァが経営する
会社を手伝ってはいたが、
実情は、ブラブラしているだけの日々であった。


カイテルには、いつもつるんでいる親友、
ロバート・デ・ニーロがいたが、
金にだらしがないデ・ニーロは、
高利貸しのリチャード・ロマナスに、
常に借金返済の催促をされており、
ダノヴァは、
カイテルがデ・ニーロと付き合う事を
苦々しく思っていた。


ある日、ダノヴァは、
自分のイタリアンレストランを
カイテルに譲ると告げるが、
それには、デ・ニーロと手を切る事が必須条件であり、
カイテルは苦悩する。


デ・ニーロと中々縁の切れないカイテルは、
借金がたまった彼の為に、
金を用立てる。
しかし、その金さえ、他人に酒を奢ってしまい、
使い果たしてしまったデ・ニーロに、
カイテルは・・・。





ハーヴェイ・カイテルにしても、
ロバート・デ・ニーロにしても、
とにかく若い。
そして青い。


これはマーティン・スコセッシ監督が
「タクシー・ドライバー」の3年前に撮った映画であり、
まだ荒削りというか、
そこまでの深みは無い。


しかし、デ・ニーロのキレた演技は、
この頃からだったんだなぁ、と思うと、
ちょっと感慨がある。
これが「タクシー~」に繋がるのか、と。


デ・ニーロみたいな奴とは関わり合いにはなりたくないなぁ、
というのが私の本音。
なんであんなに自堕落なんだ。


評価 ★★☆☆☆

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「西の魔女が死んだ」 [映画]

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〔2008年/日本〕


登校拒否になってしまった中学1年生の高橋真悠は、
田舎に住むイギリス人の祖母、サチ・パーカーの家で生活する事になった。


パーカーは、野菜やハーブを育てたり、
鶏を飼って生活しており、
それは、学校生活とはまるで違う、
時間までがゆったりと流れる空間だった。


さらにパーカーは高橋に、
自分を“魔女”だと言い、
高橋も魔女になりたいのなら、
きちんとした修行をしなければならないと言う。


「早寝早起き」
「食事はしっかりと」
「規則正しい生活」
「何でも自分で決める」


これがこれから魔女になろうとする人間に
課せられた条件だ。
野菜を育てたり、ジャムを作るなど、
パーカーの手伝いをしながら、
魔女修行に励むうちに、
高橋の、そのささくれ立った心は次第に和らいでゆく。


しかし、些細な事が原因で、
高橋はパーカーと気まずくなり、
そのまま別れる事になってしまう・・・。





悪くはないけど、めちゃくちゃ良いというわけでもない。
何より、
「繊細で、生きにくい子」
という設定の主人公を演じる高橋真悠が
そこまで繊細に見えないのが、致命的だ。


祖母を演じるサチ・パーカーは、
シャーリー・マクレインの娘さんだそうだ。
孫に、優しく、時に厳しく接する様子は、
見ていて心地良かった。
自分のおばあちゃんがこんな人だったら素敵だな、
と思うような。


パーカーの生活は、
絵本作家のターシャ・テューダーさんの
暮らしそのものだ。
私にはああいった生活は無理だけど、
好きな方だったら、この映画はとても理解できそう。


ものすごく細かい事だけれど、
大森南朋演じる父親の車のナンバープレートの、
平仮名の文字が、「へ」で、
りょう演じる母親の車の平仮名が、「し」だった。
「し」も「へ」も、車では使用されていない文字だと聞いた事があるのだが、
どうなんだろう。
これは何か意図があって選んだ文字なのか、
偶然なのか。


そもそも映画で使われる車のナンバーって、
どの映画でも、わざわざ映画用に作るものなのかさえ、
分からないのだけれど。


評価 ★★★☆☆

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「鰐」 [映画]

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〔1996年/韓国〕


漢江の河川敷でホームレス生活をするチョ・ジェヒョン。
ホームレス仲間は老人、チョン・ムソンと少年、アン・ジェフンの二人。
しかし、心優しい老人と少年に相反して、
“鰐”と呼ばれるジェヒョンは暴力的で、
二人にも辛く当たる日々だった。


ある日、一人の女、ウ・ユンギョンが川に身を投げる。
川に飛び込み、ユンギュンを助けたジェヒョンだが、
そのままユンギュンを手籠めにしてしまう。
ジェフンの機転で逃げ出したユンギュンだが、
なぜかまた戻ってきて、
彼らと共にホームレス生活をするようになる。


ジェヒョンは、
漢江に飛び込んだ自殺者から金品を盗み取ったり、
ジェフンに物売りをさせたり、
不倫カップルを恐喝したりと、
モラルの欠片も無い男で、
稼いだ金で賭博場に入り浸っては負け、
そして暴れるという、
救いのない日々を送っていた。


ところが、ユンギョンが来て以来、
彼女の優しさに触れ、
彼は変わり始める。
そして、彼女の自殺の理由を知った彼は・・・。





ホームレスだから、
電気の無い生活なのは分かっているが、
夜の場面など、とにかく画面が暗い。
敢えてそうした演出をしているのかもしれぬが、
そういった事を求めていない自分には、
ちょっと合わなかった。


チョ・ジェヒョンの暴力も、
シャレにならない。
バイオレンス物も嫌いじゃないけど、
これはもう、この映画全体に対しての、
好き嫌いの問題。
全くつまらなかったわけじゃなけど。


評価 ★★★☆☆

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