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「こころ」 [映画]

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〔1955年/日本〕


神保町シアターで観た。

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明治末期、
私(安井昌二)は海で先生(森雅之)と知り合った。
先生は、美しい奥さん(新珠三千代)と暮らしていたが、
どこか暗く、
常に何か悩んでいるように見える。


奥さんに先生の事を尋ねてみても、
昔はああではなかったと言うばかり。
強いて言うなら、
親友の梶(三橋達也)を亡くした頃から、
何かに思い悩むようになったと話すばかりである。


先生は私に、「来るべく日が来たら、君には必ず過去を話す」と
約束する。


父の病の為、実家に帰った私は、
先生からの手紙を受け取る。
それは先生の遺書であった。
電車に飛び乗った私は、
車内で、手紙に書かれた先生と梶の過去を知る・・・。





原作は夏目漱石の同名小説。
内容は今更書くまでもないであろうが、
私も高校生の頃、読んだきりなので、
大筋は覚えてはいても、
細かい部分に関しては、
スクリーンを、
「ああ、そうだった」と思い出しながら観ていた。


森雅之の、
翳りのある表情が、
何かに悩み苦しむ先生の役にハマっている。
ただ、計算すると、
森は44歳。
先生を演じるには丁度いいが、
学生時代を演じるには、老けすぎているかな。


原作では“K”と表されている、
梶を演じる三橋達也が大変に良い。
森雅之以上に暗く、
神経衰弱気味の学生を、
見応えのある演技で見せていた。


大変に重い題材であるが、
もし自分が先生だったら、Kだったら、と、
考えずにはいられない。
年齢によっても、感想は変わってくるような気がする。
そして、現代の若者は、
同じような出来事に遭っても、
ここまで悩むかなと、そんな風にも思える。
近いうちにもう一度、原作を読んでみたい。


評価 ★★★★☆