「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」 [映画]
〔1997年/日本〕
映画好きとして、
いつかは着手せねばなーと思いつつ、
なかなか実行できなかった「男はつらいよ」鑑賞。
せっかくギネスに載るくらい長いシリーズなのだから、
どうせ観るなら、絶対に公開順に、
一本も飛ばす事なく、という思いから、
テレビで放映されていても、
一度もチャンネルを合わせた事はなかった寅さん。
だから、私が寅さんについて持っている知識といえば、
「いつも旅してる人」
「失恋ばかりの人」
くらいだった。
一念発起して、一昨年の11月、初めて第1作目を観て以来、
10日に1本くらいのペースで、寅さんと一緒に旅してきた。
そして、昨日、全48作プラスこの「特別篇」、合計49本で、
約一年半の旅が終わった。
楽しかった。
寅さんは、私が最初にイメージしていた人とは全然違っていた。
ただのお人よしのおじさんなのかと思っていたら、
ワガママで、自分勝手で、自己中で、空気読めなくて、
最初の頃は、「こんな人が本当に国民的有名人なのか!?」と思ったものだ。
でも、ずっと観ていくうちに、
寅さんの優しさや、不器用な感じにホッとするようになっていったんだ。
さくら、博、おいちゃん、おばちゃん、タコ社長、御前様、源ちゃんなどなど、
レギュラー陣もみんな大好き。
何より、第一作目から観て、一番意味があったのは、
さくらの息子で、寅さんの甥っ子の満男の成長が見られた事。
一人の人間を、
生まれた時から、
大人になって恋に悩む青年になるまで、
リアルに段階を踏んで見られるなんて、
シリーズが長いから出来た事であり、
観るたびに感慨深かった。
もし渥美清さんが生きていたら、
山田洋次監督は、次回作で、
満男を結婚させようと思っていたそうだ。
満男の花婿姿、見たかったよ。
出演者が本当に恋に落ちて、
結婚してしまった例もある。
沢田研二&田中裕子
長渕剛&志穂美悦子
これらのカップルの回は、
どちらも、二人がキスなんかするもんだから、
もう、こっちまでドキドキ、緊張したものさ。
映画の冒頭に、出演者たちが、
本編とは関係のない寸劇をするという作品が多く、
(必ず寅さんの夢オチ)
大抵は、時代劇や西部劇だったが、
「スターウォーズ」が公開された直後は、
渥美さんが宇宙人という設定になったりと、
遊び心も満載だった。
わたし的に一番好きなのは、
32作目の「口笛を吹く寅次郎」。
寅さんが岡山で、
なぜかお坊さんになってしまうというお話。
満男がそれを発見する場面が可笑しくて、
その部分を何度も巻き戻して観た。
爆笑だった。
この「特別篇」は、渥美さんを偲んで作られたそうで、
内容は25作目の「寅次郎ハイビスカスの花」のリニューアルだが、
満男が伯父さんを回想する作りになっており、
CGで渥美さんの姿が見られる。
全て見終わって、
今は淋しい気持ちでいっぱいだけれど、
また寅さんに会いたくなったら、
DVDを観ればいい。
気軽に映画が手に入る時代で、
本当に良かった。