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「地獄門」 [映画]

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〔1953/日本〕 


平安時代。
平清盛(千田是也)を倒し、天下を取ろうと考えた源義朝が起こした平治の乱。
大混乱のさなか、
清盛の家臣、盛遠(長谷川一夫)は、袈裟(京マチ子)という女と知り合う。


激しい戦いだったが、盛遠らの活躍により、都は平穏を取り戻し、
袈裟と再会した盛遠は、
あらためて彼女の美しさと気品に心奪われる。


清盛は、戦で活躍した家臣たちに褒美を授けようと、
彼らが集う席で、一人ずつ希望を聞いてゆく。
盛遠は清盛に、「袈裟と結婚したい」と願い出るが、
なぜか、家臣たちから失笑の声が聞こえる。
盛遠は知らなかったが、
袈裟はすでに、貴族、渡辺渡(山形勲)の妻だったのだ。


清盛の計らいで、盛遠は袈裟と二人だけで会うが、
夫を深く愛する袈裟は、盛遠をきっぱりと拒絶。
また、渡辺と馬の速さを競った盛遠は、
勝つには勝ったが、
そんな事は気にも掛けない渡辺の穏やかさ、懐の深さに、
ますます苛立ちを募らせる。


袈裟を諦め切れない盛遠は、
袈裟の伯母を脅し、袈裟をおびき出し、
激しく求愛する。
その後、袈裟の取った行動とは・・・。





舞台は平安時代ではあるが、
話は現代でも通用するような、
女に狂ってストーカーと化した男の物語。


女はもう結婚していて、
夫を愛する貞女で、
他人が入り込む隙なんかないっつーのに、
あのしつこさ、図々しさ。
しかも、女を騙して呼び出して、
どうにかしようなんて、
現代なら犯罪だよ。


盛遠、なんて嫌な男なんだ。
が、彼が嫌な男であればあるほど、
そして、
渡辺が紳士であればあるほど、
その対比が生きてくる。
物語としては大変に面白い。 


京マチ子は、平安時代の女をやらせたら天下一品。
その為に生まれてきたんじゃないかと思われるくらい、
衣装も髪型もハマっている。


撮影当時はまだ、色付きの映画が珍しかったそうだが、
それだけに、制作の側にも力が入ったのか、
衣装もセットも、本当に綺麗。
特に京マチ子が身に纏う、桜色の着物の美しさには
目を見張る。


評価 ★★★★☆

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