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◆プラチナデータ◆ [本]


プラチナデータ

プラチナデータ

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2010/07
  • メディア: 単行本


毛髪、血液、唾液、汗、粘膜、皮脂、耳垢などから、
採取したDNAをプロファイリングすると、
性別、年齢、血液型、身長、体質、
足のサイズ、肌の色、顔の形、
歯の特徴、体毛の質、瞳の色などなど、
あらゆる個人データが得られ、
犯罪者の検挙率が格段に上がるというシステムを
開発した警察、そして、国家。


本人のDNAは登録がなくとも、
三親等以内の身内の登録があれば、
そこから、縁戚関係が割り出せる。
サンプルの提出は任意だが、
国は、全ての国民のDNA登録を強く促す・・・。


そんな社会を舞台にした、
SFのようなサスペンス。


犯人探しより、
そのような社会になったら、
自分はDNAの登録をするか否かと、
そればかり考えてしまった。


日常、自分は、
犯罪の加害者になる確率より、
被害者になる確率の方が高いと、
無意識にでも考えているし、
近しい身内から犯罪者が出るとも想像してはいない。


だから、万が一、被害者の立場になった時、
早急な犯人検挙の為にも、
全ての国民がDNA登録をした方がいいのでは、と思う反面、
そこまで、国家に管理されたくない、
そんな社会は嫌だと思う自分もいる。


ただ、髪の毛一本で、
本当にそこまでプロファイリングできるのなら、
私もやってみてほしいなと思う。
どこまで当たっているか、試してほしい。


物凄く印象に残った言葉。
「人の心を探るのに、遺伝子なんかはお呼びじゃない。
 人の心は、単なる化学反応と電気信号にすぎない」


それが本当だとしたら、
自分の心が弾んだり、落ち込んだりするのは全て、
化学反応だと考えればいいのかと、
少し心が軽くなった。

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「アガサ 愛の失踪事件」 [映画]

agatha.jpg
〔1979年/イギリス・アメリカ〕


人気女流ミステリー作家のアガサ・クリスティ(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)は、
仕事は充実していたが、
私生活は悲しみに満ちていた。


夫(ティモシー・ダルトン)のアガサへの愛情は完全に冷めており、
秘書のナンシー(セリア・グレゴリー)を愛人にしているのだ。


ある朝、夫はアガサに離婚を願い出るが、
夫をまだ愛していたアガサは彼にすがりつく。
(すがりつくという以外、言いようのないようなすがりつき方である)
しかし夫は、それさえ使用人へのアピールだろうと冷たく言い放ち、
部屋を出る。


アガサはナンシーが休暇で泊まるホテルを調べ、
自分も車を運転して家を出るが、
車は木にぶつかりエンコ、
車を放置したまま、列車に乗り目的地へ向かう。
しかし、放置された車から、
アガサの失踪が警察に知られる事となり、
人気作家が自殺か!?と、世間は大騒ぎとなってしまう。


そんな中、たった一人、アガサの居所を突き止めたのが、
コラムニストのウォーリー・スタントン(ダスティン・ホフマン)であった。
彼は特ダネをモノにすべく、アガサが宿泊するホテルに出向き、
彼女に近付き、親しくなる事に成功する。


アガサは、ナンシーが、
痩身の為の電気治療(今のエステのようなものか)を受ける事を知り、
それを利用して、
彼女に復讐しようと企てるが、
それを知ったスタントンは・・・。





ユーミンは著書、「ルージュの伝言」の中で、
あの名曲、「5cmの向う岸」は、この映画からヒントを得て作ったと語っており、
以来、ずっと長い間、観たくてたまらない映画の一つだった本作。


ユーミンは、
長身のヴァネッサ・レッドグレイヴと、
小柄なダスティン・ホフマンがダンスをするシーンに惹かれたと書いていたが、
それを観た時、
「おぉ、これか!」と思わずにはいられなかった。


カメラは、ダンスをする二人を映すだけでなく、
レッドグレイヴの目線で、ホフマンを大げさなくらい見下ろすように、
ホフマンの目線で、これまた大げさなくらいレッドグレイヴを見上げるように撮られており、
それが逆に、不思議で素敵な雰囲気に仕上がっている。


その数日後の、
男女が入れ替わったような、
レッドグレイヴが腰をかがめて、ホフマンとキスするシーンも、
ロマンティックで、そしてまた、なんだか可愛くて。


レッドグレイヴの復讐というのがまた、
「そうくるか」と思うような、
考えていたのと全然違う結末。
ラストも切なかった。


1926年、アガサ・クリスティは、
実際に、11日間失踪した事があり、
しかし、その理由は今もって分からないというのが真相だそうで、
本作は、その事件を元に作られたフィクションであるという。


それにしても、
何もかも放り出して、
誰も知らない土地へ
誰にも知らせずに突然旅行できる、
その立場が羨ましい。
もちろん、やって出来ない事はないのだろうけれど、
普通は中々難しいだろうなぁ。


評価 ★★★★☆

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