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「スナイパー 狙撃」 [映画]

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〔1996年/イギリス・カナダ〕 


建設途中のハイテクビル。 
ガードマンは二人。


そこへ、ドルフ・ラングレンがやって来る。
ラングレンは、金網を破り、監視カメラを操作し、
ガードマンに気付かれないように、最上階のペントハウスに上がる。


次に女が来る。
彼女、ジーナ・ベルマンは、
ガードマンに、コンピュータの修理をしにやって来たと告げ、
こちらもまた、ペントハウスに上がる。
そしてラングレンがいる事に驚く。


実は、ラングレンは優秀なスナイパー、
ベルマンは監視役として、
昔、ペアを組んでいたのだ。


今回の仕事は、ペントハウスから見えるハイウェイを朝方に通過する車を
狙撃するというもので、
二人は準備を始める。


しかし、話はそう簡単にはいかない。
ガードマンの一人、クリストファー・ハイアーダールはコカイン中毒の変態で、
ベルマンに襲い掛かろうと、ペントハウスに上がってきたのだ。
ベルマン一人だけだと思っていたところに、
まさかのラングレンの存在に驚くハイアーダール。
ラングレンは、狙撃の前にハイアダールを片付ける事を余儀なくされる。


そして近づく夜明け。
はたしてラングレンの狙撃は上手くいくのか・・。





ラングレンとベルマン、
ペントハウスで夜明けを待つ現在の二人のシーンに、
回想シーンとして、二人が行ってきた過去の狙撃が挿入されるという作り。


現在場面は、この2人にガードマン2人の
合計4人しか出てこないが、
それなりに緊張感を持って観られる。
ラングレンよりも、ハイアーダールのしつこさと変態っぷりが気持ち悪くて、
そちらに見入ってしまう。


可笑しいのは、
優秀な狙撃者であるはずのラングレンが、
チンケなチンピラ、ハイアーダールを中々倒せない事。
「あんた、意外とドンくさいのね(笑)」と言いたくなるくらい。


ラングレンとベルマンが、
途中、なぜかいいムードになって、
いたしちゃうのも、笑える。
いくら夜明けまで間があるとは言っても、
そんな事している場合ではないだろうに。
そんなに暇か?


それから、肝心の狙撃の場面が、
私にはものすごーく不満。
あれじゃ、本当に消化不良。
詳しくは書けないけどさ。
それまで面白かったのに、惜しい事だよ。


評価 ★★★☆☆

「クレージー黄金作戦」 [映画]

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〔1967年/日本〕  


数年前、ひどく心が沈んで、
自分で自分を持て余していた時期があった。


何をしても、テンションが上がらず、
何もしていないのに、涙が出た。
映画館の暗闇が怖くなって、
「あんなに好きだった映画も観られなくなったら、
 この先自分はどうすればいいんだろう」と、
途方に暮れた。


そんな時、友人がクレージーキャッツのDVDを数本貸してくれたんだ。
友人はクレージーキャッツのDVDのコレクターで、
そんな私を見兼ねて薦めてくれたのだと思う。


私も、映画から遠ざかるよりも、
何でもいいから内容の明るい物を観て
元気を取り戻す方がいいと判断し、
借りた物を観た。


すると、観終わった後、
本当に、心がスーッと軽くなったんだ。
クレージーキャッツの面々(特に植木等)の、
何も考えてないような、脳天気な様子が可笑しくて、
くよくよ悩む事が馬鹿馬鹿しく思えてくる、そんな内容の作品ばかり。


一つハマったものだから、
それ以降、集中してクレージーのDVDを観た。
レンタルできる範囲の作品は、
ほぼ観尽してしまったと言ってもいいくらい。
そして、DVDを観てゆくうちに、
薄皮をはがすように、私も元気を取り戻していった。


作られた映画の本数からして、
当時の彼らの人気がいかに凄かったかが偲ばれるし、
そして、高度成長期の東京の街並みや風俗が見られるなど、
そういう意味で、映像としてもとても貴重な物だと思う。





そして昨日、未見だった彼らの作品を、
久し振りに観た。


本作は東宝創立35周年記念映画だそうで、
ストーリーはともかく、
作りが物凄く豪華な上に、150分以上のとても長い内容だ。
(その長さゆえ、中々手が出なかったという事もあるが)


なにせ、日本映画初のアメリカロケが行われた映画だそうで、
ハワイ、ロサンゼルス、ラスベガスと、
場所が移動する。
ロスの場面は、まるでこちらまで旅をしている気分が味わえるような
作りになっているし、
ラスベガスでは、大通りでクレージーのメンバーがダンスを踊り、
それを一般客が見ているといった場面さえある。


加山雄三や藤田まことやザ・ピーナッツが、
チョイ役で登場したり、
クレージーの後輩のドリフターズが全員で出てきて、
一人一つずつセリフがあり、
これから彼らを売り出そうとしているのが分かる。


クレージーの映画を観てゆくうちにファンになってしまった
石橋エータローの活躍が少なかったのが
わたし的にちょっと淋しかったけれど、
ゴージャスな気分になれるには間違いない一本。


評価 ★★★☆☆

「奈緒子」 [映画]

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〔2007年/日本〕


小学生の奈緒子(藤本七海)は、喘息の療養の為に、
長崎にある波切島に船で向かう途中、
帽子が風に飛ばされて、自分も海に落ちてしまう。


船に乗っていた男性が海に飛び込み、
奈緒子を助けてくれるのだが、
男性は死亡してしまう。


その男性の息子で、小学生の雄介(境大輝)は、
父を殺した奈緒子を許せずにいた。


それから数年後、
高校生になった奈緒子(上野樹里)と雄介(三浦春馬)は、
都内の陸上競技会場で再会。
雄介は波切島高校の陸上部のエースで、
将来を有望視されていた。


二人の過去を知った雄介のコーチ(笑福亭鶴瓶)に頼まれ、
奈緒子は、
波切島高校陸上部の夏の合宿の手伝いをする事になるのだが・・・。





題名は「奈緒子」なのに、
なぜか奈緒子より雄介の方が目立つという、不思議な映画。
それに、
“奈緒子のせいで父を失い、奈緒子を憎む雄介”
という図式があまり生きていないように思える。


三浦春馬があまりに良い子ちゃんすぎないか?
もう少し屈折した少年にキャラ設定した方が、
面白いと思うのだが。


三浦に嫉妬したり、
鶴瓶に反抗したりするチームメイトの方が、
よほど人間らしかった。


原作は未読だが
9年間も雑誌に連載された漫画だそうだ。
それだけの内容を短い映画にするには、
描ききれない部分も多かったのかもしれない。
今度は原作で味わってみたい。


評価 ★★★☆☆
 

「リッチ・アンド・ストレンジ」 [映画]

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〔1931年/イギリス〕


ヘンリー・ケンドールは、仕事に疲れたサラリーマン。
今日も不快な満員電車に揺られ、帰宅の途へ。


彼の妻、ジョーン・バリーは慎ましい性格で、
倹約して家を持つ夢を持っているが、
ケンドールには、その気持ちは上手く伝わっていない。


ケンドールな退屈な毎日に辟易しており、
どこか遠く旅してみたいと願っているのだ。


ある日、そんな二人の所に、伯父から手紙が届く。
なんとそれは、
「費用を持ってあげるから、二人で旅行しなさい」という内容だった。


二人は早速、豪華客船の船旅へ出発する。
楽しみにしていたはずの旅だったが、
船内で、
ケンドールは、王女と呼ばれる金持ち女と、
バリーは、中佐と呼ばれる中年男と、
それぞれ恋に落ちてしまう。


二人は互いに、新しい相手と、新しい生活を始めようとするが、
すんでの所で思い留まり、元の鞘に納まる。
しかし、その後、思いも掛けない運命が二人を待ち受ける・・・。





ヒッチコックの初期の頃の作品であるが、
日本未公開だそうで、
そのせいか、いくつか別のタイトルで紹介される事もあるようだ。
一番有名なのは、「おかしな成金夫婦」であるが、
これだとコメディのような印象を与えてしまい、
(多少はコメディの要素もあるが)
ちょっと違うかも。
もう一つの、「金あり怪事件あり」の方がまだいいかもしれない。


ヘンリー・ケンドールが物凄く嫌な男で、
こんな男を愛して、尽くしているジョーン・バリーが、
なんだか可哀想だった。


だから、ケンドールと王女の恋は、全く共感できなかったけれど
バリーと中佐の恋は、
ケンドールと生活を続けるより、
彼女がずっと幸せになれそうで、応援していたのに。


夫婦がもう一度やり直そうと決めた後、
起こった事件は、
作品のカラーが変わってしまうような出来事である。
「え!?そうなるの?」といった感じ。


ラストは、
「夫婦なんて、そんなものさ」という
ヒッチコックの声が聞こえるようなオチ。


しっかし、そんな事より、
私も、豪華客船旅行の費用を
全額出してくれる伯父さんがほしいよ(笑)。


評価 ★★★☆☆

「間宮兄弟」 [映画]

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〔2006年/日本〕


佐々木蔵之介と塚地武雅は仲の良い兄弟。
佐々木はビール工場に、
塚地は小学校の用務員として、
それぞれ勤務している。


彼らは子供のような遊びに興じたり、
(買い物に行く途中で“チヨコレイト”をしてしまうような)
また、テレビで野球観戦をしながらスコアをつける事に夢中になったり、
どちらかというとオタクっぽい、
大人になりきれない大人、といった風情である。


二人は、行き着けのビデオショップの店員、
沢尻エリカの可愛さに参っており、
沢尻も、このオタクっぽい二人を毛嫌いする事なく、
明るく接している。


また塚地は、勤務する先の小学校の教師、常盤貴子を、
佐々木の恋人候補にどうかと考えており、
二人は自宅でカレーパーティを開き、
沢尻と常盤を誘う事に成功する。


このパーティがきっかけで親しくなった彼らは、
次回、浴衣パーティを企画。
すると、沢尻の妹、北川景子とその恋人までやって来て、
ゲームをしたり、花火をしたりと、
それなりに楽しい時間を過ごす。


しかし、彼らとて、
そんな中学生みたいな集団デートでは、
人生に何ら進展が無い事は分かっており、
それぞれが、
特定の相手を見つけ、
彼らなり精一杯の方法で、モーションをかけるのだが・・・。





江國香織の同名小説は、
以前に読んではいるが、
正直、内容は殆ど覚えていないくらい、
私の中では、特に感動も感慨も無かった。
でも、きっと、この映画は、
あの本の映像化としては正しい、そんな気がする。


なんだか去勢されたような兄弟である。
ギラギラした感じがなく、
女の子への接し方も、どこまでも優しく、
性の匂いは全く感じられない。


私には男の兄弟もいないし、
男同士の兄弟がどんなものなのかもよく分からないが、
こんなに仲の良い二人っているものなのだろうか。
なにせ、佐々木が夜、出張先から塚地に電話し、
電話が途中で切れると、
「おやすみも言っていないのにぃ」と独り言。
うーん。


ただ、そのあと佐々木が発する、
「一日の終わりに話せる相手がいるって幸せだな」みたいなセリフ、
それは確かになーと思う。
彼らに流れる優しい時間は、
全てがその感覚から来ているのだろうと、
そんな風に思えた。


評価 ★★★☆☆