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「麦秋」 [映画]

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〔1951年/日本〕


原節子は28歳。
この時代にしては、多少の嫁き遅れ感のある娘である。


両親、兄、兄嫁、兄の二人の子供たちと暮らしている。
家族は原の結婚を気に掛けているが、
本人は意外と呑気で、
あまりその気もないらしく、のほほんとしている。


しかし、そんな彼女に縁談が持ち込まれる。
なかなか立派な紳士という触れ込みで、
家族は喜ぶのだが、
相手が40歳だと知り、
母親と兄嫁は急に乗り気でなくなる。
あまりにも年が離れていて、
原が可哀相だというのだ。


一方、原の兄の同僚で、
妻に死なれ、母親と娘がいる男が近所に住んでいる。
彼の秋田への転勤が急に決まった。
彼の母は、転勤の前日に家に来た原に、
「あなたのような人が息子の嫁になってくれたら」と言うのだが・・・。





本筋とは関係ないのだが、
この時代の人々は、いい意味でとても強かったんだなぁ、と、
それが私が一番の強く感じた事。


原と友人たちの会話を見ていても、
結婚している組と、していない組の会話が、
今の女性たちなら「傷ついた」と怒って帰りそうな内容なのである。
“大手小町“あたりに書いたら、「非常識」と非難の嵐が起こりそうな、
そんな会話。
しかし彼女たちは、特に気にする風でもなく、
楽しそうだ。


兄嫁にしても、夫の両親や妹と、何の疑問もなく同居し、
原とも実に上手くやっているのである。
「同居は絶対に嫌!」なんて事は決して言わない、
というより思ってもいない。


何もかもに恵まれすぎて、
逆に忘れてしまった何かが、
ここにあるような気がしてならない。
とても良い映画だ。


評価 ★★★★☆

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