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「ニューヨーク、アイラブユー」 [映画]

NewYorkiloveyou.JPG
〔2008年/アメリカ・フランス〕


ニュー・ヨークを舞台にした短編映画集。
「パリ・ジュテーム」と同じプロデューサーだそうだが、
私はこちら方が好き。


短編映画集ではあるけれど、
それぞれの物語が
完全に独立しているわけではなく、
登場人物たちがリンクしていたり、
つなぎの映像が挿入されているので、
それを観る楽しみもある。


日本からは、岩井俊二監督が参加している。
別に私が日本人だから言うわけではないが、
これがもう本当に面白くて、
声を上げて笑ってしまった。
オーランド・ブルームが、ある事情から、
ドストエフスキーの
「カラマーゾフの兄弟」を読まされる事になり、
悲鳴を上げるという内容。


もちろん、岩井監督作品以外の作品も、
全てに味があり、
楽しめた。


大人の恋愛あり、
高校生の可愛い出会いあり、
黒人青年と白人の少女の交流あり、
老年夫婦の愛情あり、と、
ここには書ききれない、
物語がいっぱいに詰まっている。
珠玉の短篇小説のようだ。


ブラッドリー・クーパーが、
空車と間違えて、
女の子の乗っているタクシーに乗り込んでくる場面があった。
あんなハンサムとそんなアクシデントがあったら、
もう、声も出せないでしょうね(笑)
映画って本当に夢を見させてくれる。


評価 ★★★★☆

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「フレンチ・コネクション」 [映画]

Frenchconnection.jpg
〔1971年/アメリカ〕 


ジーン・ハックマンとロイ・シャイダーの二人は、
麻薬密売人逮捕に燃える刑事。


フランスはマルセイユとニューヨークを結んだ麻薬ルート、
通称“フレンチ・コネクション”の壊滅を目指して、
捜査に力が入る。


フランス人実業家、フェルナンド・レイが臭いとにらんだ彼らは、
執拗に彼の後を追う。
ハックマンは地下鉄までレイを追い詰めるが、
相手も一筋縄ではいかず、
簡単には捕まらない。


さらに、ハックマンは殺し屋に狙われるが、
弾は外れ、
犯人は電車で逃走、
ハックマンは道行く車を借り、
電車と並走して、殺し屋を銃撃するのであった。


その後、別の容疑者のフランス人俳優、フレデリック・ド・パスカルの車を押収、
大量の麻薬を発見したハックマンは、
麻薬を元に戻し、
レイやパスカルを泳がせ、
一網打尽の逮捕を狙う。





やはり一番の見所は、
列車と並走するハックマンのカーチェイスであろう。
今の映画を見慣れた目には、
迫力には欠けるが、
CGや凝ったアクションのない、
生身の人間の体を張った演技が見られる。


列車の中で、
人間が一人撃たれているのに、
乗務員や客があまり動揺していないのは、
ちょっと変だったけど。


話の本筋とは関係ないけれど、
容疑者たちが、高級レストランでお食事をしているのに、
張り込んでいるハックマンが、
あまり美味しそうじゃないパンか何かを齧るシーンは、
観ている私の方が辛かった(笑)。
私には刑事の仕事は出来そうにもないわ(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「炎のランナー」 [映画]

honoonorunner.jpg
〔1981年/イギリス〕


1919年、イギリス。
ハロルド・エイブラハムズは、名門ケンブリッジ大学に入学したが、
ユダヤ人である自分と、
また、彼をユダヤ人として特別な目で見る周囲の人間を強く意識し、
差別を撥ね返すべく、陸上競技に情熱を燃やす。


一方、宣教師、エリック・リデルは大変な駿足で評判だったが、
彼にとって走る事は、神の為であった。


走る目的は全く異なる二人。
1923年のロンドンでの競技会で初めての対決をし、
僅差でリデルが勝つ。


エイブラハムズは、イタリアとアラブの血が混じったコーチ、
サム・ムサビーニを雇い、自分の指導を依頼するが、
大学の学長と寮長から、
金で雇ったコーチを使うとは、アマチュア精神に反する事と、
コーチの人種の問題から、
非難を受ける。
しかし、彼はそんな事は意に介さず、
自分の決めた道を進む。


そして、エイブラハムズ、リデルの両者は、
1924年のパリオリンピックの出場権を得る。


ところが、問題が起こる。
リデルの出場する100メートルの予選が日曜日であり、
日曜日は安息の日だと、固く教義を守っているリデルは、
出場辞退を申し出たのだ。


オリンピック選手より前に、宣教師でありたいとの思いが強いリデルに、
誰も説得できない。
しかし、エイブラハムズの学友、アンドリュー・リンゼイが、
自分の400メートルの権利をリデルに譲ると申し出る事で、
問題は収束。


100メートルのエイブラハムズ、
400メートルのリデル、
果たして二人の結果は・・・。





オリンピックがまだ商業主義に走らず、
選手個人の側から、
その生き様が描き出された映画。


オリンピックの開会式から、
今との違いに驚く。
会場は、どこかの小さな競馬場かと思われるほど狭く、
観客も少ない。


今の華やかな、
ショー化したオリンピックを否定するつもりはないし、
それはそれで楽しくて好きなのだが、
こんな時代もあったんだなぁと、
少し原点に戻っても良いような気もした。


ただ、陸上の短距離って、
映画にしにくいのね。
競技時間があっと言う間で、
野球やボクシングのようには、
見せ場を作れない。
仕方のない事だけれど。


評価 ★★★☆☆

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「小さな中国のお針子」 [映画]

chiisanachuugokunoohariko.jpg
〔2002年/中国・フランス〕 


1970年代の中国。
リィウ・イエとチュン・コンの青年二人は、
親が反革命分子だった事から、
「再教育」の名の下に、中国の山深い奥地の村へ
送り込まれる。


険しい山々が連なるその地域で暮らす人々は、
文字を知らず、バイオリンを見る事も初めてであった。


イエとコンは過酷な労働を強いられるが、
ある日、“仕立て屋”と呼ばれる老人の孫娘、ジュウ・シュンを出会う。
“ちいさなお針子”と呼ばれる彼女の美しさに惹かれた二人は、
文盲の彼女に文明を教えたいという思いから、
西洋の書物を鞄一杯に持っていた別の若者から、
その鞄を盗み出す事に成功する。


バルザックやトルストイなど、それらの禁じられた書物たちは、
彼らにとっては宝の山といっていいものであり、
洞窟に隠した本を読み漁り、
シュンに物語を聞かせ、
読み書きを教える。


また、彼らは村人たちにも、
書物からヒントを得て創作した物語を語って聞かせ、
村は彼らが来る前より、モダンな空気が流れ出す。
さらに、シュンはコンを次第に愛し合うようになる。


しかし、村以外の知識を与えられた結果、
人がどのようになるのか、
イエとコンは、まだ分かっていなかった。


そして27年後。
青春時代を過ごしたあの村が、
ダムの底に沈むと知ったイエとコンは再会し、
シュンの現在を知りたいを願うのだが・・・。





全くの無垢の状態から、
新しい風を吹き込まれると、
人がどのようになるのか、
この映画は、その一例であろうか。


西洋の知識や考え方、文明が、
必ずしも人を幸せにするわけではないという、
月並みだが、それがこの映画の結論であろう。


しかし、
生まれて初めて、知識というものに触れ、
真綿が水を吸い込むように、
それらを吸収してゆくシュンの様子は羨ましくもあった。
私も子どもの頃は、
今よりもずっと心が柔らかく、
どんな書物を読んでも、
どんな映画を観ても、
本気でときめいたり、驚いたりした事を思い出す。


子どもに戻りたいとは決して思わないが、
何かに向き合う時は、
そんな気持ちを忘れずに取り組みたいと、
陳腐だが、そんな風に思う。


中国の景色が壮観。
村人以外、人間の手が入っていない自然の美さに見とれた。
しかしそれも、ダムの底に沈むのか。
あーあ。


評価 ★★★☆☆

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◆風花◆ [本]


風花

風花

  • 作者: 川上 弘美
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/04/02
  • メディア: 単行本


村上弘美の小説は、
なんだかいつも「かさかさ」しているように感じられる。
脂が抜けているような感じ。


本作も、
主人公の“のゆり”は、
夫に浮気され、
浮気相手の女から呼び出されたり、
また別の浮気相手の女から、
何度も無言電話を掛けられているのに、
それでも、焦る様子もなく、
題名のようにふわふわした女だ。


しかし、終わりの頃になって、
“のゆり”は反撃に出る。
それは、今まで穏やかだった彼女の、
精一杯の抵抗であり、
やりたい放題だった夫が、
慌てたように、
彼女に歩み寄ろうとする様子に
なんだか溜飲が下がった。


やっぱり、
「堪忍袋の緒が切れる」ってあるんだろう。
どんなに我慢強い女でも。


ただ、私はこんな男女関係って嫌だな。
互いに、物凄く気を使い過ぎてる。
一緒に暮らしているなら、
くだらない事に笑ったり、
ダラダラしたり、
したい。
それが出来ない相手じゃ、疲れる。

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