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「ツーリスト」 [映画]

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〔2010年/フランス・アメリカ〕


アンジェリーナ・ジョリーは、
常に見張られている。
パリの朝、ホテルを出て、
優雅にカフェでお茶する時も、
車がピッタリ張り付いてくる。
彼女もそれを承知しているようで、
特に嫌がる風でもなく、
どこまでも優雅なんである。


そんな彼女が列車の中でジョニー・デップと出会う。
冴えない数学教師のデップは、
数年前に妻を亡くし、傷心の旅行者。
ジョリーはデップの向かいの席に座り、
デップもまんざらではなさそうだ。


その後、様々な展開があり(省略)、
デップは巻き込まれる形で、
追われたり、殺されそうになったり、警察にぶち込まれたり、
散々な目に遭わされる。
でも、なぜかへこたれない。
ジョリーの美しさに目が眩んでしまったようだ。





こういった、大スター同士を組み合わせて、
お話は後から付けときましたぁ、みたいな映画は、
それほど好きではないのだけれど、
これは、世間が言うほど酷いとは思わなかったな。


追われ続ける二人なのだけれど、
見終わった後、体に残る映画の余韻に、
ドタバタした感じがない。
思うにそれは、
舞台がヨーロッパ(ほぼベニス)で、
カーチェイスではなく、
もっぱら船での追いかけっこだからなのかもしれない。



ジョリーの物腰も、あくまでも優雅で、
身に纏うお洋服は超高級そうなものばかり。
そして、顔が叶恭子みたいなのだよ。
叶恭子が走ったり、慌てたりする姿が想像しにくいように、
ジョリーも決して慌てない。
そんな感じ。


オチも好きだな。


評価 ★★★★☆

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「恋愛上手になるために」 [映画]

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〔2007年/アメリカ・イギリス・ドイツ〕


冴えないCM作曲家、マーティン・フリーマンは、
恋人のグウィネス・パルトロウと同棲しているが、
倦怠期のせいか、今一つしっくりいっていない。


そんなある夜、フリーマンは、
眠っている最中、夢の中でペネロペ・クルスと出会う。
クルスの美しさは完璧で、
フリーマンはすっかり彼女の夢中になってしまい、
良い眠りを得る為に、努力するようになる。


しかし、外からの騒音やパルトロウの読書の明かりで、
夢は、中々思うような展開にはならない。
そして、そんなフリーマンに愛想をつかしたパルトロウは、
家を出ていってしまう。


そしてついに、夢の中の美人とそっくりな女を発見したフリーマンは、
親友のサイモン・ペッグに頼んで、
美人と近づきになるのだが・・・。





夢で会える美人というのが、
この映画の見せ場なんだろうが、
それより私は、フリーマンとパルトロウの関係が面白かった。


二人は良い時も悪い時も、
ダブルベッドで眠る前に、必ず、
「I love you」と言い、「me,too」と返す。
実はこれって、とても大切な事だと思うなぁ。


仲の良い恋人時代は、そんな言葉は意識せずとも出てくるものであるが、
一度、そういった言葉を口にしなくなると、
もう二度と言えなくなる、そんな気がする。


だからもし、恋人気分を持続させたいのなら、口先だけでもいい、
何も言わないよりは、言い続けていた方がずっといいと思うのが、
私の考えなのだけれど。


とは言え、他に特筆すべき場面はなかった。
全く印象に残らず、すぐに忘れてしまいそうな映画。


評価 ★★☆☆☆

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「いそしぎ」 [映画]

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〔1965年/アメリカ〕  


海辺の家に暮らすエリザベス・テーラーは、
小学生の息子を学校に行かせず、
自分が勉強を教え、
彼女自身は絵を描き、生計を立てていた。


テーラーの考えは独特で、
「社会に触れさせていない息子は洗脳されておらず、純粋だ」と
言い張るのである。


しかし、就学年齢に達した子どもを学校に行かせない事は法律違反であり、
息子は強制的に、神父であるリチャード・バートンが校長をする寄宿学校へ
入れられてしまう。


テーラーの家を訪ねたバートンは、
テーラーに惹かれ、関係を持ってしまうのである。





公開された当時の事は分からないが、
今観ると、突っ込みどころ満載である。
エリザベス・テーラーは、息子を社会と馴染ませたくないと言うが、
じゃあ、どうしたいんだ、
一生海辺の家に押し込めておきたいのか?と聞きたくなる。


そして彼女は人間が嫌いだと言うが、
その理由というのがふるっている。
12歳になった頃から、男たちが皆、自分をジロジロ見るようになって、
息苦しくなったんだと。
なんという自信(笑)。
いや、実際そうだとしても、それを口に出す女って少ないだろう。


それに、男に対してそんな風に感じるなら、
何故、子どもを作った?
何故、子どもが出来るような行為をした?
そして、そんなに人間嫌いだというのに、
ヒッピーのような輩が集うバーへ行ったりもしている。
彼女の信念、ブレすぎ。


リチャード・バートンも駄目でしょ。
神父のくせに、預かった子どもの母親と関係するなんて。
その後は、世界は二人のために、といった風情である。
息子の事なんか、どこかへ行っちゃったみたいに愛し合う。
勝手にやってくれ。
良かったのは、美しい音楽と景色だけ。


評価 ★★☆☆☆


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「涙」 [映画]

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〔1956年/日本〕

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神保町シアターで観た。


浜松の楽器工場で働く若尾文子。
彼女には、
前科者で、今はドサ回りの旅芸人の父、
自殺した母、
渡世人の兄、佐田啓二がおり、
自身は叔父の家で居候という、肩身の狭い生活をしている。


若尾には、同じ工場で働く恋人、石浜朗がいるが、
大きな農家の次男である石浜の家族は、
若尾を毛嫌いし、二人の交際は絶対に認めなかった。


叔父夫婦は、若尾に早く家を出ていってほしいという思いから、
彼女に見合いを勧め、
若尾もそれを承諾する。


見合いの相手、田村高廣はめちゃくちゃ良い人で、
若尾には申し分のない相手であったが、
若尾は最後に石浜に会いにゆく。


そして佐田啓二は、妹を思う気持ちから、
田村に会いにゆき、その人柄に惚れ込むのである。





不幸な境遇から、
幸せになる事を最初から諦めているような若尾文子が哀れで、
こちらまで息苦しくなってしまう。


石浜朗は家を捨てて若尾と一緒になると言うが、
それで万事が解決ではない事を、若尾はちゃんと知っている。
家に帰れば、叔父夫婦(特に叔母)から見合いをせっつかれ、
どうせ一緒になれない石浜と付き合っていても仕方がないと説教されるなど、
明らかに邪魔者扱いで、八方塞がりとはこの事かと、そんな思いがした。


救いは田村高廣の存在だ。
彼は一目で若尾を気に入り、
彼女の境遇など気にもせずに、若尾を愛する。
そしてまた、石浜の事でグズグズと気の晴れない若尾も、
少しずつ、田村を愛し始めるのである。


それから、佐田啓二!
何ていい男なんだ。
荒っぽいが、妹の身の上を心配する兄という役が、
大変にハマっていて良かった。
彼が今の人なら、大好きになっていたと思うなぁ。
惜しい人を亡くしたと思う。
もっともっと生きて、
良い映画を作ってほしかった。


評価 ★★★★☆

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「愛染かつら 総集編」 [映画]

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〔1938年/日本〕


以前からこの映画の事は知っていたし、
興味は持っていたのだが、
なぜソフトの題名に「総集編」とついているのか、
「総集編」があるなら、「完全版」もあるのか、
どうせ観るならちゃんとした方が観たいという気持ちから、
先延ばしになっていた。


しかし調べてみると、元々、
「愛染かつら 前編」、「愛染かつら 後編」、
「続 愛染かつら」、「愛染かつら 完結篇」の4編、合計315分があったそうなのだが、
フィルムは現存せず、
残っているのは「総集編」だけらしい。
なぜ現存しないのか、理由は分からないが、
それなら「総集編」を観る以外にない。





田中絹代は、子どもがある事を隠して看護婦として働いていた。
子どもの父親は妊娠中に亡くなったのだ。
勤務する病院は、独身が条件であり、
それは生きる為、仕方のない事だった。
その事が看護婦仲間に知れ、一度は吊るし上げられかけるが、
事情を話すと涙を流す者もおり、
皆、田中の味方となる。


病院の跡取り息子、上原謙は田中に惹かれ求愛するが、
田中は子どもの事を言い出せずにいた。
何より、病院の跡取りと看護婦の組み合わせは、
釣り合いがとれず、
上原の両親が反対する事は、火を見るより明らかだった。


上原は田中に、京都に駆け落ちしようと持ち掛け、
田中もその気になるが、
約束の日、田中の子どもが発熱、
駅に駆けつけた時に、列車は動き出していた。


上原は田中が忘れられず、
両親が勧める縁談を断り、独身を通していたが、
あるきっかけから、田中に子どもがある事を知りショックを受ける。


一方、田中は、
レコード会社に自作の曲を送ったものが採用され、
歌手としてデビューする事になった。
かつての看護婦仲間が、
田中の歌手デビューと、子どものいきさつを上原に告げると、
上原は納得し、
田中の初舞台の楽屋で再会する。





長い映画をまとめたものだから、
ダイジェスト版を観ているようで、物語がどんどん進む。
なぜそうなるの?という部分が多く、感情移入している間がない。
携帯の無い時代の、擦れ違いのメロドラマである。


田中絹代が意外と気が強く驚く。
上原謙の妹との会話にしても、
決して負けていない。
「それ、脅迫じゃん(笑)」と思えるようなセリフさえある。


しかし、もし今の時代、フィルムが残っていたとしても、
展開がまどろっこしくて、
4本を観るのは辛いのではないだろうか。
この内容では、「総集編」くらいで丁度良かった。


評価 ★★★☆☆

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