「限りなき舗道」 [映画]
〔1934年/日本〕
銀座のカフェで女給をする杉子(忍節子)は、
恋人からプロポーズされ、
有頂天になる。
しかし、舗道を歩いていた彼女は、
金持ちの息子・山内弘(山内光)が運転する車にぶつかってしまい、
そのまま山内の車に乗せられ、
病院に運ばれる。
その事故が原因で、
恋人とはすれ違いが続き、
破局を迎えるが、
一方、山内はすっかり杉子に夢中になってしまい、
身分の違いを乗り越えて、2人は結婚する。
やっと幸せになれると思われた杉子だが、
上流を気取る、山内の母と姉にいじめられ、
苦しみの日々。
間に入った山内も苦しみ、
酒に逃げるようになる。
もう無理だと、婚家を出た杉子の所へ、
山内が交通事故に遭ったとの連絡が入り・・・。
成瀬巳喜男監督のサイレント映画。
昭和9年に撮られたこの映画は、
物語と同時に、
当時の銀座や、カフェのメニューなども楽しめる。
幸せを求めて、紆余曲折の末、
金持ち男・山内弘と結婚する、
主人公の杉子。
しっかし、山内の母と姉の意地の悪い事ったら。
特に姉。
よくもここまで
弟の嫁を苛められるものだよ。
杉子が山内を「弱い」と言う場面があるけれども、
私は、特別そうは思わなかった。
彼は、自分の妻を苛める母と姉に、
結構、言い返してくれている。
そういった時、何も言えない男もいる中で、
頑張ってくれている方ではないかと。
現代の感覚なら、
「別居すれば解決するじゃん」と思ってしまうけど、
当時、それはできなかったのかなぁ。
この映画には
2組の、姉と弟が出てくる。
1組は、この、山内と姉、
そしてもう1組は、杉子と弟。
私はきょうだいの組み合わせでは、
姉と弟が一番好きで、
羨ましく思うのだけれど、
杉子と、彼女の弟の関係は、
私の理想そのもの。
二人とも優しくて、
互いが互いを思い遣る。
なので、余計に、
山内と姉の関係が醜悪に見える。
弟の嫁を愛する事は、
結局は、弟の幸せに繋がるという事が分からないのか。
評価 ★★★☆☆