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「転校生」 [映画]

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〔1982年/日本〕


広島県尾道市で暮らす斉藤一夫(尾美としのり)のクラスに、
転校生・斉藤一美(小林聡美)がやって来る。
一美は、一夫を見た途端、
「幼稚園で一緒だった一夫ちゃん!」と再会を喜ぶが、
クラスメイトの手前もあり、一夫は素直に喜べない。


帰り道、一夫はうるさく付き纏う一美から逃げようとするが、
彼女に向かって蹴った空き缶が原因で、
一美は長い石段の上でよろけ、
助けようとした一夫と抱き合うようにして、
一番下まで転げ落ちてしまう。


怪我もなく、
そのまま家に帰った2人は、
自分たちの身に、大変な事が起こっている事に気付く。
なんと、互いの体が入れ替わってしまったのだ。


どうする事もできずに、
互いの家で暮らすしかない2人だったが、
さらに大変な事態が持ち上がる。
一夫の父が出世し、
夏休み中に横浜に引っ越すというのだ・・・。





小林聡美と尾美としのりの演技が瑞々しい傑作。


まずは小林聡美。
彼女以上に、この役を上手く演じられる女優さんって
いるんだろうか、と思うくらい上手い。


演技の中に、ちょっとでも「女」が見えてしまったら、
興醒めになってしまう所であろうが、
全くそのような事はなく、
体が入れ替わった時から、
彼女は間違いなく「男」だ、「男」にしか見えない。


私は、彼女は、
この役を楽しんで演じていたのだろうと、
ずっと思っていた。
サバサバした性格(そう見える)から、
裸を見せるシーンも、特に気にせずこなしたのかな、なんて。


しかし、調べてみるとそうではなかった事が分かる。
考えてみれば当たり前。
17歳の女の子が、
カメラの前で自分の体を晒すなど、
恥ずかしくないわけがなく、
相当な覚悟と葛藤が必要だったのだろう。
「平気そう」だなんて思った私は、
自分の考えを申し訳なく、恥ずかしく思った。


それから、尾美としのり。
彼の演技は、
ある意味、小林聡美より難しいかもしれない。
女の子が「うるせーよ」などと男言葉で話すのは、
日常でもよくある事だけれど、
中学生の男の子が女言葉で話すというは、
あまり聞いた事がない。


それだけに、外見は男の子で、
内面が女の子の役は、
尾美としのりにとって、
小林聡美の裸と同じくらい、
抵抗があったのではないかと想像する。
でも、きっちり女の子になりきっていた。
素晴らしかった。


もしも異性と体が入れ替わってしまったら・・・
と想像すると楽しい。
けれど、女の私は、
多くの男性が書かれているような感想、
「うひゃひゃ」な気持ちにはならないかなぁ(笑)。
「ふーん」って感じで。
まぁ、色々試してはみたいけれども(笑)。


ラストも素晴らしい。


一夫と一美の物語に続きがあるとしたら、
2人はどんな大人になるのだろう。


評価 ★★★★☆