SSブログ

「滝の白糸」 [映画]

takinoshiraito.jpg
〔1952年/日本〕


明治時代。
旅芸人一座・「滝の白糸」の座長で、
女水芸師でもある、滝の白糸太夫(京マチ子)は、
大変に美しいと評判の女。


ある日、太夫は、
ひょんな事から、馬丁の村越欣弥(森雅之)と知り合い、
彼が、法律学校へ行くために、
金を必要としている事を聞く。


知的で優しい村越に惹かれた太夫は、
自分が学資を出すから、
学校へ行けと申し出る。
驚いた村越だったが、
太夫の熱心な口説きに、
最後はその厚意を受け入れる。


その後3年間、
太夫は村越にせっせと金を送り続け、
村越も勉強に励み、卒業の日を迎えた。
さらに、就職の口まで決まったと言う。


初めての職場に、
みっともない恰好をさせてはならないと、
太夫は、高利貸しの松永に金を借りに行く。
しかし、松永に手籠めにされそうになり、
逃げようとして、出刃包丁で彼を刺し殺してしまう・・・。





以前に、
若尾文子さん版と、入江たか子さん版の
「滝の白糸」についてのレビューを書いたけれど、
こちらは京マチ子さん版。
ずっと観たいと思っていた所に、
やっとソフトを見つけ、借りられたのがとても嬉しい。


京さんは、若尾さんとはまた違う魅力で
大好き。
私のように平凡な生活をしていたら、
おそらく一生出会う事がなさそうな
持って生まれた妖艶な雰囲気を纏った、
素晴らしい女優。


ストーリーは、若尾さん版とほぼ同じだけれど、
色っぽい京さんが、
惚れた苦学生・村越に、
これでもかと献身的に尽くす姿が美しい。


この物語の良い所は、
村越が、決して太夫を裏切らない所であろう。


遠距離恋愛の2人、
特に太夫は、
時間もままならないものだから、
アポなしで、
急に村越の下宿を訪ねる事がある。


村越が不実な男だったら、
部屋に女の子を引っ張り込んだり、
合コンしたり(そんな言葉、当時はないだろうが(笑))して、
太夫を不安にさせる所であろうが、
彼にやましい所がないので、
こちらも安心して観ていられる。


それだけに、太夫が松永を殺してしまうのが、
本当に悔しくて。


「高い木に登って、下りてくる際は、
 地上に近付いた時こそ、より注意をしろ」という言葉を思い出す。


終わりが近づいて、
気が緩んだ時こそ、事故が起こりやすいという意味であろうが、
村越が卒業してホッとした太夫が、
よりにもよって、悪党の松永に金を借りに行くなど、
最悪も最悪。
なぜそんな男の家に行ったのか。
就職のとき、村越に良い服を着せてやりたいと言うけれど、
村越だって子供じゃない、
そんなもの自分でなんとかするだろうよ。


ラストが原作と違っているのが、
せめてもの救い。


評価 ★★★☆☆

nice!(65)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画