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「ひとり狼」 [映画]

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〔1968年/日本〕


「人斬りの伊三蔵」と呼ばれる、
渡世人の追分伊三蔵(市川雷蔵)は、
あだ名の通り、
狙った相手は必ず仕留める、
凄腕の持ち主。


彼は賭博も強く、
しかも、引き際が綺麗で、
相手に遺恨を残さない方法を
心得ていた。


彼は三日と同じ場所に留まらず、
誰ともつるまず、
一人の女に執着しないと決めているようであり、
その表情には、
常に暗い影があった。


実は彼は、
かつて深く愛し合い、
子供までなした仲でありながら、
駆け落ちの土壇場で、
女に裏切られたという過去があるのだ・・・。





これまたかっちょいい雷蔵さん演じる渡世人。


クールで、どんな場面でも
決して慌てないヤクザな男の役が
彼にピッタリ。


ああ、でも、
女の私には、
刀で斬り合う場面より、
彼が、我が子に父と名乗れぬまま、
会話する場面に涙。


雷蔵さんは、
妊娠までしていながら、
自分と駆け落ちしなかった恋人が、
子供を連れて歩いている所に遭遇するんだな。


年恰好からして、
その子は自分の息子に間違いない。
恋人は、息子に、
「父は死んだ」と教えているらしい。


息子に会いにいく雷蔵さん。
通りすがりの「おじさん」として、
息子と会話する。
我が子を目の前にして、
父とは名乗れないけれど、
その愛情溢れた眼差しや会話は、
涙なくしては観られない。


そして、雷蔵さんを捨てた恋人の気持ちも、
分からなくないから、
また辛い。


やっぱり彼女は、
咄嗟に計算しちゃったんでしょうね。
雷蔵さんについていくのと、
武士の親元で子供を育てるのとでは、
どちらが、自分にとって都合がいいかって。


重大な岐路に立った時、
そういった選択をせざるを得ない事ってあるから。
悲しいけれども。


評価 ★★★☆☆

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