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「鶴八鶴次郎」 [映画]

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〔1938年/日本〕


大正時代、
新内語りのコンビ、
三味線の鶴八(山田五十鈴)と太夫の鶴次郎(長谷川一夫)は、
その優れた芸で、絶大な人気を誇っていた。


兄妹同然で育った2人は、
普段はとても仲が良かったが、
芸の事となると、互いに一歩も退かず、
大喧嘩をしては、
コンビ別れする、しないの騒ぎは毎度の事。


そんなある日、
鶴八が、大きな料亭の息子・松崎からプロポーズされる。
それを鶴八から告げられた鶴次郎は、
自分が鶴八を深く愛していた事に気付き、
また、鶴八も、
鶴次郎からのプロポーズをずっと待っていたのだと告白、
ついに2人は結ばれる。


2人はかねてからの夢である、
寄席の経営の為に、
資金をかき集めるが、
鶴八が、母の遺産だと言っていた金が、
実は松崎からの借金だったと知った鶴次郎は激怒、
激しく罵倒しあった2人は、
本当に別れてしまう。


2年後。
鶴八は、松崎と結婚し、
幸せな生活を送っていたが、
鶴次郎の生活は荒み、
場末の劇場で、
お粗末な芸を披露するだけの男に成り下がっていたが・・・。





第一回直木賞の受賞作である、
川口松太郎さんの小説の映画化。


古い映画を観ていると、
「これも川口さんが原作なんだ」としょっちゅう思うくらい、
沢山の作品が映画化されているけれど、
その中でも、本作は大傑作。
ずっと後に残る作品であろうし、
もっと多くの方が観ればいいのになぁと、
勿体無いような気持ちにもさせられる。


山田五十鈴と長谷川一夫の、
演技の素晴らしさ。
特に、芸の事で
言い争う場面の激しさったらない。


2人の掛け合いがあまりに見事で、
観ているこちらは本気でハラハラしてしまう。
そして同時に、
芸の道に生きる人は違うのだなぁと痛感させられる。
私だったら、他人の少しのミスなら、
「ま、いっか」と流してしまうと思うわ(笑)。


そんな2人が、
初めて互いの恋心を打ち明けう場面は、
今の言葉でいえば、
「胸キュン」って感じ?(笑)


いいなぁ、
喧嘩ばかりしていた2人が、
実は互いに好きだったって、
恋愛の王道じゃないか。
普段の激しい争いとのギャップがいい。
とても可愛い場面。


ラストは詳しくは書かないけれど、
なるほどなぁと、
考えさせられる。


評価 ★★★★★

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