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「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」 [映画]

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〔2015年/アメリカ〕


女子大生のアナスタシア(ダコタ・ジョンソン)は、
学生新聞の取材で、
27歳にして大企業の社長・クリスチャン・グレイ(ジェイミー・ドーナン)の
会社を訪ねる。


そこで強く惹かれあった二人は再会し、
アナスタシアはクリスチャンのペントハウスに招待される。


そこでクリスチャンは奇妙な事を言い出した。
「自分は恋愛はしない。ある契約を結ばないか?」、と。


そして、アナが連れて行かれた「プレイルーム」。
禁断の部屋に驚くアナだったが・・・。





「100分中、20分が性描写」というのが
宣伝文句のこの映画、
見ようと思えば、どんな映像でも手に入るこの時代、
そんなキャッチコピーが“売り”になるのか、
疑問だったけれど、
案の定、大した事なく映画は終った(笑)。


「プレイルーム」が出てきた頃までは良かったのよ。
正直、「うわっ!スゲー!」と思ったもの(笑)。
なにせグレイは大変な大金持ち。
お部屋にある「お道具」は、
そんじょそこらの趣味程度のものとは大違いの、
あらゆるSMプレイに対応できそうな品揃え(笑)。


おそらく私が生涯体験する事のない禁断の世界が、
この部屋で繰り広げられるんだわ、早く見せて!って感じで、
ワクワクしたもんだ(笑)。


ところがグレイとアナスタシアは、
延々と、「契約する」「しない」の話ばかりで、
全然佳境に入ろうとしない。
もちろん、それらしい場面は何度もあるけど、
私には満足できず。
物足りないったらありゃしない(笑)。


アナスタシアが、してもいいプレイと、
したくないプレイを取り決める方法って、
日本のAV女優さんがデビュー前に交わす契約と全く同じだなと考えると、
なんだか可笑しかった。
まぁ、そういった契約は大事かも。
「絶対無理、したくない」って線引きは、
きっと誰にでもあると思うし。


アメリカではベストセラーなのだそうで、
入り込めない私が変なのかと、
ネットでの評価を見てみたら、少し安心。
めちゃくちゃ点数低かった(笑)。
コメント欄もボロクソの嵐。
そもそも、向こうの人の心の動きがよく分からない。
何でここで怒るの?とか。


同じエロだったら、
去年観た、「愛の渦」の方がずっと分かり易かったな。
私にとって、エロ話は、
精神構造の同じ日本人同士の方がしっくりくるのかも(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密」 [映画]

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〔2015年/アメリカ〕


チャーリー・モルデカイ(ジョニー・デップ)は、
イギリスの貴族にして美術商ではあるが、
実は財政は火の車。


ある日、ゴヤの名画が何者かに盗まれ、
イギリスの諜報機関・MI5が、
チャーリーに捜査の依頼にやって来る。


チャーリーはボディガードのジョック(ポール・ベタニー)を引き連れ、
絵の行方を追うが、
その絵の裏には、
大変な暗号が書かれている事が分かり、
マフィアやテロリストとの
争奪戦となってゆく・・・。





盗まれたゴヤの絵を探して、
ジョニー・デップ扮するチャーリー・モルデカイが右往左往。


とはいえ、絵の行方などはどうでも良くて、
デップのおふざけと、
ポール・ベタニー扮するボディガード・ジョックの不死身な役を楽しむ映画。


このベタニー、
普通ならとっくに、「死んでるでしょ」という目に、
何度も何度も遭っているというのに、
絶対に立ち直る。
不死身のターミネーターみたいな男。


これがアクション映画なら、
それなりに納得して観られるのだけれど、
コメディだから、逆に心配になってしまう。
「だ、大丈夫!?」って(笑)。


モルデカイは、そんなジョックに全幅の信頼を寄せているようで、
頼り切っている様子が可笑しい。
ジョックも、モルデカイに従順で、
どんな犠牲を厭わない。
いいコンビだわ(笑)。


モルデカイの嫁・グウィネス・パルトローは
髭アレルギーなのだけれど、
その理由を聞いて、
わたし的に大きく納得。


言いたい事、分かるなー。
私も彼女と同じものを一度連想してしまったら、
もうキスするのもイヤだと思ってしまいそう。
それをここに書くのはちょっと憚られるから書かないけど(笑)。


評価 ★★☆☆☆

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「神様のくれた赤ん坊」 [映画]

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〔1979年/日本〕


売れない漫画家・渡瀬恒彦と、
無名の女優・桃井かおりが同棲するアパートに、
見知らぬ女が、
5歳ほどの男の子を連れて訪ねてきた。


女は、この子の母親からの手紙を預かっており、
そこには、
「自分は南米に行くので、この子を引き取ってほしい」との文章と、
「父親候補は5人いる」と、
5人の男の住所と名前が記されていて、
そのうちの1人・渡瀬の所にやって来たということなのだ。


身に覚えがなくもない渡瀬は焦るが、
桃井の手前、絶対自分の子ではないと言い張った。
こうなったら、他の4人の誰かに、
子供を押し付けるしかない。


他の候補者たちは、
住所が中国地方と九州に集中している。
渡瀬が子供を連れて列車に乗ると、
桃井が席で待っていた。


彼女は彼女で、
自分の生まれた故郷と、
母の思い出を辿って九州に行くので、
同行するという・・・。





先日観た、「集金旅行」のリメイク。


とはいえ、雰囲気は全然違う。
「集金~」は、全くの赤の他人の男女が、
珍道中を繰り広げるのに対して、
こちらは同棲カップル。
しかも、女は妊娠しているかもしれないと言う。


子供を産むのは絶対反対の渡瀬恒彦なのに、
突然、これがあなたの子です、と、
5歳児を押し付けられるのだから、
強い事は言えない。
人には産むなと言っておいて、
自分にはこんな大きな子がいるのかよ、って(笑)。


3人が行った先々で出会う、
父親候補たちが、可笑しくてたまらない。
それぞれ、年齢も立場も全然違ってはいるけれど、
やはり渡瀬と同じように、
父親は絶対自分ではないと言い張る。
そりゃそうだ(笑)。


彼らが父親であるか否かを、
血液型だけを拠り所にしている事に時代を感じる。
今なら、DNA検査だとか、
いくらでも証明の方法はあるだろう。


ただ、そのような検査が当たり前になると、
この映画のような話はもう出来ないわけで、
医学の発達は、映画にとっては、曖昧な、ほわんとした物語を
作りにくくさせてしまっているのかも。
もちろん、今度をそれを利用した、
「そして父になる」などの新しい映画が作られてはいるけれど。


子供の父親探しより、
桃井かおりの母のルーツを探るお話の方が、
絶対的にいいし、泣ける。


彼女は、今は亡き母の過去の秘密を知り、
ショックを受ける。
けれど母親を大好きな彼女は、
母を嫌悪するのではなく、
母の気持ちに近づこうと、
ある行動に出る。
母を愛する気持ちに、何の迷いもないって、
本当は凄い事なのかもと思ったりして。


それから、彼女は、
自分が育った故郷の場所が特定できず、
それも探している。
やっとその場所を見つけた時は、
こちらまで泣けちゃった。


私も、随分前から、
自分の育った町を、じっくり歩いてみたいと思ってはいるのだけれど、
ずっと実行できずにいる。
行こうと思えば、すぐ行けるのに、
理由は特にないけど、行けていない。
そうだ、今年中には行ってみよう。
ちょうどいい映画を観た。
いいきっかけになった。


評価 ★★★☆☆

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「悼む人」 [映画]

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〔2015年/日本〕


週刊誌の記者・蒔野(椎名桔平)は、
ある事故の現場で、
何かを祈るような、不思議な動きをしている
青年と出会う。


その後、青年と再会した蒔野は、
彼が坂築静人(高良健吾)という名前で、
不慮の事件や事故で亡くなった人の為に、
全国を歩きながら、「悼んでいる」のだと知らされる。


一方、静人の実家では、
そんな静人の行動のせいで、
妹・美汐(貫地谷しほり)の結婚が破断となり、
また、母(大竹しのぶ)は、
末期癌で、いつ亡くなってもおかしくない状況となっている。


ある理由で夫を刺し殺した奈義倖世(石田ゆり子)は、
刑期を終え、出所するが、
どこにも行き場がないうえに、
いつまでも夫の呪縛から逃れられず、
苦しんでいる。
そんな中、静人と出会った彼女は、
いつしか行動を共にするようになり・・・。





天童荒太さんの原作小説を読んだのは
2009年だと記憶している。


今まで小説でも読んだことがなければ、
現実でも出会った事も、聞いた事もない主人公・静人の行動に、
とても戸惑った事を覚えている。


私の友人の一人は、この小説をハッキリと、
「嫌いだ」と言った。
私は、「嫌い」とまでは思わないけれど、
賛否が分かれる内容なのは想像がつく。


静人という青年が、
なぜ、会った事もない赤の他人の死を「悼む」ために、
自費で全国を行脚しているのか、
本を読んで理解できなかったけど、
映画を観ても、
まだ理解できない。


もし、現実にこのような人に出会ったとしたら、
おそらく一番最初に思うのは、
「何かの宗教の人」という事だろう。
怪しげな新興宗教なら、近寄らない方がいい、
そう判断してしまう。


けれど、彼は宗教とは何の関係もなく、
ただ自分の意志だけで「悼んで」いる。
よく分からないけれど、
彼は人の死に対して、
一般的な常識の範疇を越えて、
ものすごく過敏なのではないかと思う。
そうせずにはいられない衝動が、
彼を「悼む」事に駆り立てる。


一つ清々しいと思うのは、
静人が、「悼む」行為を、
パフォーマンス的に行っているのではないという事。
もし彼が、
他人の目やマスコミなどを意識しているとしたら、
それはもう、とてつもなく嫌らしい行為に感じられるだろうが、
そういった感覚はまるでなく、
むしろ放っておいてほしいと考えているようだ。
それが彼を最後まで「嫌い」と思えない理由なのかもと思う。


石田ゆり子演じる倖世と夫の夫婦関係や、
夫殺害に至る経緯も実に独特で、
世間の狭い私には、
会った事もないような人たちだ。
この夫婦の関係も、私には理解ができない。
そんなのばっか(笑)。


考えさせられるような、
何も考えられないような(笑)、
何とも言いようのない物語。
これを機会に、続編のような「静人日記」を読んでみようと思う。
もう少し踏み込んでみるためにも。


評価 ★★★☆☆

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「集金旅行」 [映画]

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〔1957年/日本〕


佐田啓二と、彼のアパートの大家が外出先から帰ってみると、
大家の若い嫁が、
幼い息子・勇太を残して、住人の一人を駆け落ちしていた。
大家は、ショックのあまり死んでしまう。


住人たちが集まり、
抵当に入っているアパートと、
勇太をどうするかを相談。
結果、部屋代を未払いのまま逃げた住人たちから
金を集める事と、
勇太を母親の所へ送ってゆく事で話がまとまる。


一番暇そうな佐田啓二にその役が任され、
それから、ちょうど、
今まで関わった男たちから慰謝料巻き上げ行脚に出ようとしていた、
岡田茉莉子が同行する事になる。


行先は、中国地方と四国方面。
かくして佐田、岡田、そして勇太の3人旅が始まった・・・。





なんだか中国地方の宣伝の為の、
観光映画みたいだなと思ったけれど、
井伏鱒二が原作というから、
そういった意味合いはないようだ。


無関係の男女+他人の子という、
映画ではまぁ、よく有りそうな組み合わせの
ロードムービー。


とはいえ、佐田啓二と岡田茉莉子が、
常に反発しあっていて、
時々、声を上げて笑ってしまう。
佐田は、あまり女性には感心が無いようで、
可愛く、色っぽい岡田と一緒に旅しても、
心動かされる様子はない。


それに反して岡田は、
中国地方各地に、関わった男がいるらしく、
慰謝料を集金して回る。


それらの男たちは、
地元の名士や、敬虔なクリスチャンなど、
一見、浮気とは縁の無さそうな輩ばかりだもんだから、
岡田が現れると、
皆、一様に慌てるんだな。
どいつもこいつも、
一皮剥けば、ただのエロ親父ばかり(笑)。


佐田と岡田は途中の旅館で、
同じ部屋に泊まらせられる。
岡田の方がその気になっているのに、
それでも佐田が彼女に手を出す事はない。
彼は、据え膳食わなくても、恥とは思わない男のようだ(笑)。


こんなコメディだけど、ラストが意外で。
こんな終わり方のコメディって、
あんまり無いような気がするんだけど、
私が不勉強なだけなのだろうか。


そして、このラストで、
佐田の微妙な気持ちも分かるようになっている。
彼もやっぱり男だったのね。


桃井かおり主演の「神様のくれた赤ん坊」は、
この映画のリメイクなのだそうだ。
近いうちに絶対観てみるつもり。


評価 ★★★☆☆

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