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「ガチ☆ボーイ」 [映画]

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〔2007年/日本〕

北海道のある大学のプロレス同好会「HWA」。
とはいえ、部員たちは本気で戦うわけではなく、
ショー的な意味合いの強い、
安全第一の会である。


そんな「HWA」に入部希望者・五十嵐(佐藤隆太)がやって来る。
彼は学内屈指の成績優秀な学生で、
なぜこのような会に入りたいのか、
皆、不思議に感じたが、
部の存続危機という事もあり、受け入れられる。


五十嵐はなぜか、
事ある毎にメモを取り、
ポラロイドで写真を撮っている。
成績優秀というわりに、
忘れっぽいところもあるようだ。


五十嵐の真面目な練習態度に、
部員たちは好感を持ち、
ついにデビューが決まる。
ある商店街のアーケードで、
彼のデビュー戦が始まった。


ところが、五十嵐は途中から
試合の段取りを無視したように暴走、
対戦相手は怪我をしてしまう。
実は彼は、記憶が一日しか持たない病気を持っていたのだ・・・。





記憶って何だろう、
思い出って何だろうと、
真剣に考えてしまった。


主人公の五十嵐は、
自転車の事故により、
一晩眠ると、記憶が事故の先日に戻ってしまうという
病気を抱えている。


朝起きると、壁じゅうに、
「日記を見ろ!」という紙が貼りめぐらされているのを見て、
机の上のノートで、過去の出来事を確認してから出掛ける日々。


それって、
生きている日々が増えれば増えるほど、
読まなければならない日記の量も増えてくるわけで、
そのうち、「朝、ちょっと確認する」程度の時間じゃ
済まなくなると思うと、
観ているこちらの方が辛くなってくる。


私たちって、日々を暮らしていく中で、
毎日毎日の何気ない出来事が、
どんどん積み重なって、
それがいつか思い出と呼ばれるものになってゆくんだなと、
今まで考えたことのなかった、
記憶というもののありがたさを感じずにはいられない。


五十嵐がこのまま年を取って、
事故を起こす20歳までの年月より、
記憶障害を持って生きる年数の方が長くなることを考えると、
本当に切ない。
鏡に映る自分は老人でも、
記憶はいつまでも20歳という事態がいつかやって来る。


そんな彼を心配する、
父親役の泉谷しげるが良かった。
今まで、成績優秀な息子を、
とても自慢に思っていた父は、
この事態に向き合う事ができず、
どうしていいのか分からない。
そんな心の葛藤が、
とても上手く表現されていたように感じた。


プロレス部の部員たちも良かった。
みんないい奴らばかりなんだ。
銭湯を営む五十嵐の実家に、
深夜、全員で内緒で入りに来る場面なんて、
なんだか羨ましいくらいだった。


それから、ラストのプロレスの試合が
なかなかの迫力な上に、
結構な時間を割いて、
そのガチな様子が描かれていたのが良かったな。
スポーツものは、やっぱりこうでなくっちゃね、って、
お手本みたいな映画だった。


評価 ★★★☆☆

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