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「嵐が丘」 [映画]

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〔1953年/メキシコ〕


メキシコのある家に、
実業家として成功した男・アレハンドロ(ホルヘ・ミストラス)がやって来る。
ここは、アレハンドロがかつて深く愛した娘・カタリナ(イラセマ・ディリアン)の
嫁ぎ先なのだ。


アレハンドロとカタリナは深く愛し合っていたが、
カタリナが金持ち男・エドアルドを選んだ事が原因で、
アレハンドロの心は復讐に燃えている。


まずは、かつて自分を下男として扱い、
現在は破産している
カタリナの兄・リカルドから家を買い上げ、
そこに住んだ。


そしてエドアルドの妹・イザベルが
自分に恋心を寄せているのを利用し、結婚、
しかし夫としての愛情は欠片もなく、
イザベルを絶望させる。


そんな中、カタリナは妊娠するが、
重篤な病に冒されてしまい・・・。





どこかの国の文学を、
その国と全く関係の無い国を舞台にして、
映画化されたものを観るのは楽しくて大好き。
同じ物語なのに、
国や人種が違うと、こうも雰囲気が変わるものかと、
その味わいの違いがとても興味深い。


この映画は、
あのイギリスの名作、エミリー・ブロンテの「嵐が丘」を、
舞台をメキシコに変えて描いた物語。


「嵐が丘」自体が、とても激しい復讐の物語であるのに、
これはさらに輪をかけて激しく、
メキシコっぽい、ラテンの血が燃えるような映画。
本家が、荒涼としたイギリスの寒々しい光景を連想させるのに対して、
こちらは、何かもっと熱いものを感じる。
(あくまでも、私の感覚だけれど)


登場人物のセリフも、
常に激しく、
穏やかに会話する場面など、殆ど思い出せない。
全員がこんなにいつも喧嘩腰じゃ、
人生疲れそうだけど(笑)、
生まれた時からそうなら、
何も感じないのかもしれないな。


ヒースクリフに当たる人物・アレハンドロの、
自分の感情を隠そうともしない様子が怖いわ。
彼はカタリナの家に入れてもらえないと、
扉を壊してでも入ってくるような男。
その激しさは、
ヒースクリフ以上にヒースクリフかも(笑)。


ラストも激しい。
復讐に燃えているとはいえ、
アレハンドロがカタリナをどれほど愛しているかが
分かる展開。
私には絶対できない事を彼はする。
それはホラーに近いとも思える場面。


評価 ★★★★☆

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