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「まらそん侍」 [映画]

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〔1956年/日本〕


安政年間。
安中藩では、武士たちが毎年十四里の道を走る、
「遠足(とおあし)の儀」が行われていた。
今年は上位5人が城に招かれ、
その褒美にと、
家宝の金のキセルで煙を吸う事を許されるが、
海保数馬(勝新太郎)と秋庭幾之助(夏目俊二)は、
むせてしまう。


その時、キセルを渡すお役目をしたのが、
家老の娘・千鶴(嵯峨三智子)。
千鶴は、男勝りのじゃじゃ馬であったが、
その美しさに、数馬も幾之助も一目惚れ。


数馬と幾之助は、
千鶴への思いを互いに打ち明け、
正々堂々と戦おうと誓いあう。
ところが、次席家老の息子・市之丞(大泉滉)までもが
千鶴に惚れており、
先に結婚の申し込みをされてしまう。


千鶴はナヨナヨした市之丞を嫌い、
プロポーズは断ったとの噂だが、
しかし、ウカウカしてはいられない。
数馬と幾之助のどちらが、
千鶴と結婚するのか、
殿は、次の遠足の儀で決めろと言う。


一方、泥棒の丹九郎(トニー谷)とその一味は、
金のキセルを盗み出そうと、
策を練っており・・・。





武士たちが、年に一回、
マラソン大会でその順位を競うという、
現実にそのような事があったのか、なかったのか、
よく分からないけど、楽しいコメディ時代劇。


勝新太郎と夏目俊二の親友同士が、
家老の娘を巡ってライバル関係になる様子が微笑ましく、
また、抜け駆けはよそうと話し合う若者らしい潔癖さが
とても良い。


千鶴は、気の荒い牡馬を手なずけてしまうような、
男の子のような姫で、
特に、数馬と幾之助を家に招いて
お茶をたてる場面には笑ってしまった。


なんというか、彼女のお茶は、
とっても荒っぽくて、
お湯を入れる時も、
茶筅でチャチャチャとする時も、
可笑しなくらい雑で(笑)。
演出とはいえ、
お茶の素養のない私でも分かるその表現が、
とても上手いな、と感心したりして。


クライマックスのマラソンの場面は、
いつの間にか、
モニターににじり寄って、
真剣に観てしまった。


数馬と幾之助のどちらが勝つのか。
そして、そこへ、
金のキセルを盗んだ泥棒が絡んできて、
結果どうなるのか、気になって気になって(笑)。


途中で挟まれる、
大泉滉の走りが笑える。
この物語に、
すんごく楽しいアクセントになっている。


普段、テレビで放映されるマラソン中継を、
積極的に観る事はあまりないけれど、
何かの拍子に観始めてしまうと、
なぜか最後まで観てしまうという、
あの感じって何なのだろう。


選手たちが少しずつ脱落し、
最後に誰が残るのか、
それを観るのが面白いのだろうか。
説明はつかないけど、
マラソンを観るの、嫌いじゃないかも。


評価 ★★★☆☆

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