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「北朝鮮 素顔の人々」 [映画]

KimIlsungnoparade.jpg
〔2014年/日本〕


昨日書いた、「金日成のパレード」と併映されていた作品。


北朝鮮の町や、人々の様子を隠しカメラで撮った映像を、
大阪のどこか一般家庭のテレビで見ながら、
脱北者の方々らが口々に説明を加えるという、
映画としての体はなしてはいないけれど、
妙に生々しい一本。


昨日の「金日成のパレード」が北朝鮮の表の顔なら、
こちらは裏の顔、というより、本当の顔と言っていいのかもしれない。


北朝鮮で、こんな風に隠しカメラで撮影する事は、
もう命懸けと言っていいそうで、
見つかったら、どのような怖ろしい目に遭うか、
分からないという事らしい。


怖ろしいといえば、
30分の短い映画の中で、
公開銃殺刑の模様が2度も映されていた。
公開処刑があると、
近隣の人々は、広場や河原に集められ、
その様子を見なければならないらしい。
それは、人々を恐怖支配する効果絶大だと想像する。


幼い浮浪児たちの映像も多い。
彼らが捨てられた弁当を貪るように食べる様子は、
胸が痛むと同時に、
大変なたくましさも感じる。
脱北者の方が、映像を見ながら、
「この弁当はおそらく腐っているけれど、
 浮浪児たちは慣れているのでお腹を壊さない」などと、
少し笑いを交えた声で話されていた。


市場の様子も映し出されていたけれど、
それは、私が普段思い描く市場とは全然違っている。
なんとなく、市場と言うと、沢山の食べ物や品物が積まれていて、
その中を人々が買い物して回るというイメージだけれど、
そこに映っているのは人間ばかりで、
どこに物資があるのか、よく分からない。
ただ、人が集まっている広場にしか見えない。
脱北者の説明もあったけれど、
需要と供給のバランスがまるで取れていないのは明らかで、
ある意味、私には、
この場面こそが、一番北朝鮮の現状を感じられるシーンだった。


南北朝鮮については、
報道しきれないくらいの問題があるのだと思うけど、
私の勝手な考えを書かせていただけるのなら、
やっぱりこの二国の統一は、日本の為には
されない方がいいのではないか、と。


互いにギクシャクしている
A、B、Cというクラスメイト(同僚でも近所の人でも可)がいる。
そのうち、BとCが突然和解して、
タッグを組んでAを攻撃されたのではたまらない。
そんな感じ。
国を自分の人間関係に例える事自体、
お前の世界はどんだけ狭いんだよ、って感じだけど(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「金日成のパレード 東欧の見た“赤い王朝”」 [映画]

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〔1989年/ポーランド〕


1988年9月に行われた、
北朝鮮・建国40周年記念式典のパレードの模様や、
国民の様子を、
ポーランドの国営テレビが取材したという映画。
(実際は、北朝鮮側が提供した映像が殆どらしいが(笑))。


89年に公開された時、一部で話題なっていたけれど、
私は観る機会がないまま、ここまで来てしまった。
今回は名画座にかかったので、チャンス!という事で。
お客さんは5人ほどだった(笑)。


これは、公開された時観るのが、
本当はベストなのでしょうね。
今でも北朝鮮の事は、
容易には分からないようになってはいるけれど、
それでも、1988年の頃よりは、
少しはその実情が分かっている気がする。
公開時に観れば、もっと驚けたでしょうに、残念。


とは言え、
やっぱりすごいよ、北朝鮮(笑)。
パレードをする人々の足は、
全く乱れず、
また、スタジアムの客席で、
そこにいる全員が頭の上に掲げたボードを使って
描かれる絵(マスゲームっていうのかしら)が、
次から次へと変化する。


「どんだけ練習したんだよ」、と言いたくなるくらい、
全く乱れない、その統一された動きは一体なんなんだ?
「あ、間違っちゃった、てへ♪」なーんて事は、
許されないんだろうか(笑)。
何より一番凄いのは、
それを指導した人だと思うなぁ。
何か特別な才能があるんだろうと、
変な所で本気で感心してしまう。


何人かの方へのインタビュー映像もある。
誰もが口をそろえて、
「金日成様のおかげで、私はこんなに幸せです」みたいな事を言っていて、
観ているこちらは、
「ああそうですか」としか言いようがないような感じ。


これらの人々が心でどんな事を考えているかは分からない。
こちらは憶測でしか心の内をはかれない。
映像に出てくる人たちは、
おそらくは、それなりにいい暮らしをしている人たちだろうから、
「貧民層の人に比べたら幸せだ」と思っているかもしれないし。


佐藤慶さんがナレーターをしているのだけれど、
力強くて、映像に合っている。


それにしても、
金日成の名前を呼ぶとき、
「偉大なる首領様・金日成同志」と一々付けて言っているのが、
最初は可笑しいけど、
何度も何度も繰り返されると、
段々ウザくなってくる。
「それ、言わなくちゃいけない決まり?」と言いたくなる(笑)。
佐藤さんはどんな気持ちで、
このナレーションを読んでいたのだろうか。


金日成の名前には、
そんな素晴らしい修飾語を加えるのに、
板門店での映像に映っている、
アメリカ兵の呼び方は、
「アメリカの奴」。
「奴」て(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「若親分千両肌」 [映画]

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〔1967年/日本〕


河原を歩いていた南条武(市川雷蔵)は、
数人の男に襲われ、ピストルで撃たれてしまう。


襲った男たちは、
「人違いだ。栄吉じゃねぇ」という言葉を残し、
その場を去る。


見世物小屋の一座に助けられた南条は、
恩返しの為、小屋に残り、
法外なみかじめ料を吹っ掛けてきたヤクザ・青柳組の若い衆を
追い払う。


青柳組の組長・竜作(東野英治郎)は、
男気のある人物だが、
今は、病で臥せっており、
若い衆がやりたい放題をしているのだ。


そして、武が間違えられた栄吉(山口崇)こそ、
ヤクザ家業を嫌って出て行った、
竜作の息子だという事が分かる・・・。






シリーズ8作目にして最終話。


もう、どう感想を書いていいのか分からないくらい、
特筆すべき場面の無い映画(笑)。


これを最後に、
このシリーズが終わったのも分かる気がする。
雷蔵さんの行く先々で、
ヤクザのトラブルがあって、
揉めて、
最後はカッコ良く解決ってのが、
お決まりのパターンじゃ、
あまりにマンネリってもんだ(笑)。


この映画で、ちょっと面白かったのは、
ヤクザの組の一人息子・栄吉が、
カフェの女給・葉子に夢中になっている場面。


葉子は誰が見ても蓮っ葉な女で、
栄吉を本気で相手にしているとは思えない。
でも、恋は盲目とでもいうのか、
栄吉は葉子を信じ切っていて、
プロポーズまでする。


ヤクザの切った張ったより、
恋愛沙汰のエピソードを面白く感じるのだから、
この映画本来の意味からは、
もう離れている気がする。
まぁ、そんな人、私だけかもしれないけど(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「BUNRAKU ブンラク」 [映画]

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〔2010年/アメリカ〕


近未来。
核戦争後、
銃の使用を禁止する法律ができるが、
だからといって、悪人がいなくなるわけではない。


ニコラ(ロン・パールマン)というボスが牛耳る町にやってきた
ドリフター(ジョシュ・ハートネット)は、
ある男とポーカーで対決するための資金を貸してくれる
人間を探していた。


同じ頃、日本人・ヨシ(GACKT)は、
曾祖父が殺された際に奪われた家宝「竜の紋章」を取り戻すべく、
やはり町にやって来た。


2人はあるバーで出会うが、
ささいな事から喧嘩に発展、
すると2人の強さを見込んだ
バーテンダー(ウディ・ハレルソン)が、
ニコラの組織と対決できるチームを作ろうと持ち掛けてくる・・・。





職場では経理課に所属している私の仕事の一つに、
定期的にやって来られる、
取引銀行の営業さんの応対、というのがある。


その銀行の方針らしく、
営業さんは2~3年に一度、担当替えになり、
新しい方が来るのだけれど、
仕事以外の雑談をしているうちに、
ついつい私は、
「映画、好きですか?」
「どんな映画が好きですか?」
「何か面白い映画はないですか?」などと聞いてしまう(笑)。


営業さんは25歳~30歳の男性が殆どで、
皆さん、大学を出た後、
きっちりと営業マンとしての教育を受けて、
外に出てくるようで、
会話は上手く、ソツがない。


けれど、そこはやはり若者(笑)。
映画の選択も若者らしい作品が多い。
この映画も、そんな営業さんが推薦してくれた作品で、
現在の担当さんの、前の前の担当の方。
教わってすぐ観ようと思っていたのだけれど、
いつの間にか時間が経ってしまった。
申し訳ない。


このタイトルや、GACKT氏が出演している事からも分かるように、
日本ぽい(あくまでも、“ぽい”だ(笑))雰囲気を出そうとしているのが分かる。
ただ、努力は分かるんだけど、
これはやっぱり日本じゃない(笑)。


さらに、西部劇風でもあり、
時代劇風でもあり、
アニメのようでもあり、
ゲームのようでもありと、
とにかくハチャメチャ(笑)。
まぁ、無国籍なアクションと思って
楽しめば良いのだろう。


日本ではイケメンとされているらしいGACKT氏も、
ハリウッドでは、
やっぱり「平たい顔族(テルマエロマエ風(笑))」なんだなぁと実感。


ジョシュ・ハートネットが、
今まで観た映画の中で、
一番イケメンに撮れていたので満足。
(そこか?(笑))。


評価 ★★★☆☆

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「浮かれ三度笠」 [映画]

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〔1959年/日本〕


徳川宗春は、徳川吉宗と将軍の座を争い、
負けてしまう。


吉宗は、甥の松平与一郎と、
宗春の娘・菊姫(中村玉緒)をさせようとするが、
与一郎に関する噂は最悪で、
菊姫はこの縁組を断固拒否する。


菊姫を説得していた老家臣は、
彼女の目の前で何者かに斬られ、
今際の際に、ある巻き物を手渡す。


それは、父・宗春に加担を約束した諸大名たちの連判状。
菊姫は、
見合い嫌さ&父の暴挙を止めるべく城を出るが、
旅の途中、お調子者の渡世人・与三郎(市川雷蔵)を出会い・・・。





見合いを断固拒否する姫が旅をする途中で
出会った渡世人と、
喧嘩しながら惹かれ合う、と聞けば、
誰が考えても、
その渡世人が見合い相手だろうと分かるという(笑)、
軽いコメディ。


この渡世人を演じる雷蔵さんが、
エライ言われようで(笑)。
「道楽者の上に、お脳が弱く、腑抜け」だと、
いいとこ無し。


雷蔵さんは、
それが自分の事だと分かっているけど、
もちろん、怒ったりはしない。
いつも悪戯っぽい表情で、
目を輝かせていて、
足取りもヒョイヒョイっと軽く、
すんごく可愛い。
シリアスからコメディまで、
何でもこなせて、凄い人だわ。


セリフも、時代劇だってのに、
「ファニーフェイス」とか「バックシャン」とか、
横文字が時々飛び出して、
(まぁ、上記の言葉自体、今はあまり使われないけど(笑))
ユルーく楽しめるようになっている。


中村玉緒さんも、
映画の雰囲気にピッタリ。
実生活では、勝新太郎さんと結婚したけれど、
雷蔵さんと並ぶと、
中々オシャレなカップルで、
この組み合わせも有りかな、と思ってしまう。


ラスト、玉緒さんを抱きしめる雷蔵さんに、
ちょっとドキドキしちゃった(馬鹿~(笑))。


評価 ★★★☆☆

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