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「サード・パーソン」 [映画]

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〔2013年/アメリカ〕


パリ。
高級ホテルに宿泊している有名作家・リーアム・ニーソンは、
別の階に泊まるオリヴィア・ワイルドを愛人にしている。
ニーソンに時折電話をしてくる妻・キム・ベイシンガーは、
どこか病んでいる様相。


ワイルドは、ニーソンと付き合いながらも、
どこか彼を愛し切れていないようで
彼を振り切って別の男に会いに行く・・・。


ナポリ。
アメリカ人のエイドリアン・ブロディは、
小さなバーで、ロマ族の女・モラン・アティアスに
強く心惹かれる。
アティアスは、誰かと電話で話した後、
慌てて店を飛び出し、その際、バッグを忘れてゆく。


翌日、バーで再会したブロディとアティアスだが、
彼女はバッグに入っていた金が無いと言い出す。
その金は、誘拐された幼い娘を取り戻す為の身代金だと・・・。


ニューヨーク。
高級ホテルのメイド・ミラ・クニスは、
最愛の息子を、元夫・ジェームズ・フランコに取られ、
現在、親権争い中。
しかし、金が無い上、
息子に怪我を負わせた事のあるクニスは不利な立場で、
八方塞な状況。


弁護士を交えたフランコとの話し合いの日、
クニスは住所を書いたメモを、
不注意から無くしてしまい・・・。





パリ、ナポリ、ニューヨークの三大都市を舞台に描かれる、
オムニバス映画。


途中、パリとニューヨークのホテルルームで
同じような事が起こり、
少し混乱する。
「え? ミラ・クニスが働いてるホテルってパリなの?」みたいな。


で、DVDを戻し、
ホテル内のインテリアを確認(笑)。
劇場だったら絶対できない事だけど、
自宅鑑賞も、こういう事が出来るから悪くない。


私は自分の勝手な解釈で、
「どんなに辛い事があっても、
 広い世界中を見渡せば、
 それはよくある事なんだ。
 あなただけが特別不幸ではないんだ」と
言いたいのかなぁと思っていたのだけれど、
どこかの映画サイトで、
原作小説の解説を読んだ。


一連の物語の殆どは、
リーアム・ニーソンの小説の中の出来事なのだという。
だから、物語がどこかシンクロしていたんだと納得。
理解力の無いわ、自分(笑)。


3人の主人公の共通点は、子供。
特に、ミラ・クニス演じる若い母親は、
元夫の家に押しかけ、
子供に会わせてほしいと、大きな騒ぎを起こす。
色々問題の有りそうな彼女だけれど、
その気持ちと、その後、子供に告げた一言は、
なんともやるせなかった。


一箇所、ある親子が、
近親相姦を匂わせる場面があって、
それだけはどうしても好きになれない。
他の事はともかく、
心に大きな拒絶反応が起きてしまう。


評価 ★★★☆☆

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「幸せはシャンソニア劇場から」 [映画]

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〔2008年/フランス〕


1936年。
パリの下町の小さなミュージックホール、
「シャンソニア劇場」は、
不況の波をもろに受け、
閉鎖に追い込まれてしまう。


劇場で長年働いてきたピゴワル(ジェラール・ジュニョ)は、
妻に逃げられ、
次の仕事を探す事もせず、自堕落な日々。
そして、そんなピゴワルを見かねた、
幼い息子ジョジョ(マクサンス・ペラン)は、
金を稼ぐため、街頭でアコーディオン弾きを始める。


しかし、未成年のそんな行為は、
すぐ警察の目に止まる事となり、
ピゴワルは保護者の資格無しと判断され、
ジョジョは、再婚した母の所へ送られてしまう。


このままではいけないと一念発起したピゴワルは、
昔の仲間を誘って、
「シャンソニア劇場」の再興を決心する。
オーディションに来た美しい娘・ドゥース(ノラ・アルネゼデール)を採用し、
初日の幕が上がるが、
客から受けたのはドゥースだけで、
他の出演者たちの芸はスベるばかり・・・。





ハートウォーミングなだけの物語かと思っていたら、
意外にも、
警察の取り調べ室で、
ピゴワルが殺人容疑で尋問されている場面から
映画が始まる。


観ているうちに、
そんな始まりは忘れていくのだが、
途中でふと思い出す。
「ピゴワルは、誰を、なぜ殺したのだろう」と。


昔、この映画のような劇場が、
どれくらいの数あったのかは分からないけれど、
不況になれば、真っ先に潰れてしまうというのは、
分かる気がする。
衣食の足りない人々が節約を考えた時、
真っ先に切られるのは、娯楽だものね。


劇場が再開した初日、
料金は無料とあって、
大勢のお客さんが入るのだけれど、
出てきた芸人さんたちのパフォーマンスが、
惨憺たる有様で(笑)。


申し訳ないけれど、その芸は、
家族や友人同士で、
ちょっとおちゃらけた人なら普通にしていそうな程度のもので、
あれにお金を払おうという人は少ない気がする(笑)。
映画で観ている分には、
そこがまた、可笑しいのだけれど。


ピゴワルを思うジョジョの気持ちが大変にいいし、
ジョジョの母も、不倫はしたけれど、
ジョジョの事は誰よりも愛しているのが分かる。
大人はともかく、
子供が不幸な目に遭うような内容だと辛くなるばかりなので、
その辺は割と安心して観ていられる。


評価 ★★★☆☆

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「酔っぱらい天国」 [映画]

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〔1962年/日本〕

笠智衆は、10年前に妻を亡くし、
今は息子・石浜朗と2人暮らし。


笠は酒が大好きで、
飲むと普段の温厚な性格から、
人が変わったようになってしまう。
今日も、警察に保護され、
酔いが醒めると恐縮しきり。


そんなある日、石浜が、
恋人・倍賞千恵子と結婚したいと言い出した。
石浜と2人の生活を気に入っている笠は反対するが、
石浜は、彼女は妊娠していると嘘をつき、
なんとか認めさせる。


ところが、数日後、
バーで、喧嘩に巻き込まれた石浜は、
プロ野球選手・津川雅彦が振り回したバットが頭に当たり、
打ち所が悪く、死んでしまう・・・





タイトルから、勝手にコメディだと思い込んでいた
私が悪いのだけれど、
これはない。
辛すぎる。


酔っ払いの喧嘩に巻き込まれて、
息子が死んでしまうなんて、
観ていて、
「え、嘘でしょ・・・」って感じだった。
「もしかして、夢オチ?というか酔いオチ?」とまで思った。


笠さんは、息子を深く愛していて、
妻亡きあと、彼を生き甲斐にしている。
なので、息子が死んだ時のショックな様子に
胸が詰まる思いがする。


私だって、自分の身内が、
酔っぱらいの喧嘩に巻き込まれて死んだりしたら、
その相手を絶対に許しはしない。


息子の結婚に反対していた笠さんだけど、
倍賞さんのお腹に息子の子供がいる事を気にかけ、
一緒に暮らさないか、とまで言う。
妊娠は嘘だとも知らずに。


一度はOKした倍賞さんだけど、
なんと彼女は、
故意ではないにせよ、
結果的に恋人を殺した野球選手に誘惑され、
恋仲になってしまうんだな。


それを知った笠さんの衝撃。


つまりこの映画のタイトルは、
酔った上での事だと言えば、
全てが許される日本、
「酔っぱらいにとって、天国のような国」と
いう意味なのだろう。


後味の悪い映画だった。


評価 ★★★☆☆

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「トプカピ」 [映画]

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〔1964年/アメリカ〕


女泥棒・メリナ・メルクーリは、
イスタンブールのトプカピ宮殿に展示されている、
宝石が散りばめられている短剣を手に入れたくて
ウズウズしている。


恋人で、泥棒仲間のマクシミリアン・シェルと共謀し、
短剣を盗む事を決めたメルクーリは、
まずはギリシャで運転手・ピーター・ユスティノフ を雇った。
けれど、国境の検問所で、ユスティノフが乗った車に
積んである武器が見つかってしまい、
盗賊逮捕の協力を強要されてしまう。


そんな事は知らないメルクーリたちは、
力自慢の男や、身の軽い男たちを仲間に引き入れ、
着々と準備を進めてゆく。


決行の日。
あらゆる仕掛けの裏をかき、
彼らは命がけでトプカピ宮殿に入り込むが・・・。





大好きな映画、「黄金の七人」の
元ネタと言われているそうだけれど、
本当なんだろうか。


「黄金の七人」には無駄な場面が全くなく、
退屈しなかったけれど、
こちらは、佳境に入るまでがちょっと長いかな。
特に、国境の検問所の場面が。


トプカピ宮殿に忍び込む所から、
短剣を盗み出す一連の作業は、
真剣に見入ってしまう。
こういった映画は、
どうしたって泥棒の側に感情移入して観てしまうので、
頑張れ!ってな気持ちになる(笑)。


この映画が公開されて50年。
その間、泥棒が主人公の映画は、
無数に作られたであろうけど、
どこか、この映画と少しずつ似ている気がする。
参考にされていると言うか。


鳥の剥製の形をした録音機などは、
古いなぁと思うけど(笑)。
今、あんな物を持参したら、
かえって怪しまれるわ(笑)。


鍵穴だって、ガムか何かで、
簡単に型を取って複製されてるし。
そう考えると、
犯罪物やスパイ物って、
一番時代が出やすいのかも。


評価 ★★★☆☆

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「悪魔のような女」 [映画]

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〔1955年/フランス〕


寄宿学校の理事長・ヴェラ・クルーゾーは、
校長で夫のポール・ムーリッスとの関係に苦しんでいた。
ムーリッスは暴君な上、
教師のシモーヌ・シニョレを愛人にし、
学校の寄宿部屋に平然と住まわせているのだ。


しかし、ムーリッスに暴力を振るわれているのは、
シニョレも同じ。
女2人は、いつしかムーリッスを殺害する事を
相談するようになる。


休暇を利用し、郊外のシニョレの家に行った女2人は、
ムーリッスを上手く騙して呼び出し、
睡眠薬を飲ませた上、
風呂に押し込んで殺害する。


遺体を大きな籐の籠に入れ、
学校に持ち帰った2人は、
プールにそれを投げ込み、
あとは発見されるのを待つだけ。


ところが、なぜか翌日、
遺体がなくなっており、
ムーリッスが生きているかのような出来事が
立て続けに起こる・・・。





シャロン・ストーンが、
シモーヌ・シニョレの役を演じたリメイク版の方は、
1996年の公開当時観たけれども、
あれからもう18年も経ってしまった事にビックリ。
一緒に行った友人までハッキリ覚えているというのに、
月日が経つのは本当に早い。


オリジナルを観たい観たいと思いつつ、
18年も何をしていたんだろう、自分(笑)。
とはいえ、
その頃は、自分が通うビデオショップ数件に
目的の作品がなければ、
諦めるしかなかったわけで。


1996年といえば、
私がネットを始めた前年。
今のように、レンタル店を検索したり、
中古のソフトをアマゾンやヤフオクで買うなんて未来は、
想像もしていなかった。
本当にいい時代になって幸せ。


で、この映画。
リメイク版よりさらに41年も前に作られた、
モノクロの作品だけれど、


まず、こんな学校、嫌だ(笑)。
校長先生が、
理事長先生と夫婦でありながら、
別の教師を愛人にして、
しかも、寄宿学校だから、
生徒たちと一つ屋根の下で生活してるなんて、
教育に良くないったらありゃしない(笑)。


こんな事が今の時代にあったら、
ネット、もしくは週刊文春あたりで(笑)火が付いて、
激しく糾弾される所であろうが、
特に世間が騒いでいる様子もない。


さらにこの男、
食費をケチって、
生徒たちに安い食材や、
腐りかけの魚を出したりしている。
親からも苦情が来そうなもんだけど。


この夫は、
日本でいうところの、婿なようで、
金持ちの女と結婚した事で、
今の地位を得たという男。
なのに、何を勘違いしたのか、
今では妻より偉そうにふんぞり返って、
ヴェラ・クルーゾーでなくても殺意を覚えるわ。


クルーゾーがシモーヌ・シニョレと、
夫殺害を決めて、
実行する場面や、
その後のオドオドした感じにちょっとイラつく。
「腹くくらんかい」と思ってしまう(笑)。


それに比べて、
シニョレの悪女っぷりったら。
殺人が罪だとは、もちろん分かってはいるけれど、
観る側は当然、
主人公の女2人に感情移入しているわけだから、
あの落ち着きっぷりは気持ちがいい。


オチは、今観ると、
とっても平凡なのは仕方ないか。
この映画が作られてから今までの60年の間に、
似たような物語が何本も作られている気がする。
リアルタイムで観ていたら、
もっと驚けただろうに、残念だ。


評価 ★★★☆☆

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