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「M」 [映画]

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〔1931年/ドイツ〕


ドイツのある町で、
幼い少女ばかりが狙われる誘拐殺人事件が
連続して起こり、
人々を震撼させる。


警察は、手を尽くして犯人捜査にあたるが、
ついに8人目の犠牲者が出てしまった。


そんな中、盲目の風船売りが、
最後に殺された少女が誘拐された時、
ある口笛が聞こえていた事を思い出した。
そして、今まさに、その口笛を吹いている男が近くにいる。


風船売りは、近くにいた仲間に、
口笛を吹く男を追いかけろと言った。
仲間は男の後を付け、
ぶつかったフリをして、
男の肩に「M」の文字の目印を付ける・・・。





猟奇殺人の犯人については、
日頃から強い興味を持っていて、
時々、検索したり、本を読んだりしている。


殺人そのものに興味あるわけではなく、
一番知りたいのは、
犯人の生い立ち。
どんな環境で、どんな風に育てられのか、
それが知りたくて調べる。


例えば、ヘンリー・リー・ルーカスなどは、
私が知る中でも、最悪の成育歴の一人で、
子供時代の彼を思うと、
殺人犯とはいえ、可哀相な気さえしてしまう。


遺体に様々な手を加えた事で有名なエド・ゲインも、
ルーカスとは種類は違うけれど、
やはり特殊な成育歴の持ち主で、
彼が異常者として育っていったのも仕方ないと言える。


全米を震撼させた殺人者・ジェフリー・ダーマーの父は、
著書「息子ジェフリー・ダーマーとの日々」で、
幼い頃の様子について綴っている。
そんな風に本を出せる事自体、
ルーカスやゲインの親とは、明らかに違う、
それなりに知的な父親なのだけれど、
それでも事件が起こる時は起こる。


で、この映画、「M」は、
ドイツの異常殺人者・ペーター・キュルテンが起こした事件を
モチーフにしていると言われているそうだ。


キュルテンに関しては、
手塚治虫さんが、「ペーター・キュルテンの記録」という漫画で、
その人生を描いているので、
ご存知の方も多いのではないだろうか。
やはり彼も異常な家庭環境で育ち、
その後、おぞましい事件を多数起こしている。


映画は、
キュルテン自身を深く掘り下げているのではなく、
犯人が追い詰められてゆく様子を
大変な緊張感で描く秀作。


その後、捕まった犯人の叫びの場面にも
見入ってしまう。
自分は自分から逃げたい、でも逃げられない、
という風なセリフ。


タイトルの「M」とは、
マーダー=殺人者の頭文字なのだそうだ。


評価 ★★★★☆