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◆春琴抄◆ [本]


春琴抄 (新潮文庫)

春琴抄 (新潮文庫)

  • 作者: 谷崎 潤一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1951/02/02
  • メディア: 文庫


11月に斎藤工くんの「春琴抄」を観て、
その世界観に圧倒され、
5日連続5本の映画化作品を
観たわけだけれど、


やはり原作を読まなければ、
完全に理解したとは言えない、と、
図書館で借りた。


映画もいいけど、
やっぱり本はいい。
映画では理解しきれなかった、
春琴と佐助の気持ちが、
より深く心に沁みこんでゆく。


映画ではあまり描かれる事のなかった、
春琴の両親の気持ちも、
小説では丁寧に描かれ、
盲目となった娘に対する哀しみと、
しかし、次第に驕慢になってゆくその性格への憂慮などが、
細やかな文章で綴られる。


春琴のお腹の子の父親問題だけれど、
小説では、
生まれた子は佐助にソックリであったと書かれていて、
断定的な表現ではないけれども、
暗に答えが分かるようになっている。
(ラストでは、もっとハッキリ描かれているけれど)


気位が高く、
格下の丁稚と関係を持ったなどと、
他人に知られるのは、
春琴にとって耐えがたい屈辱らしいのだけれど、
それも悲しいなぁ。


まぁ、元々、嗜虐的な傾向があって、
そんな状況をどこかで楽しんでいたのなら、
それも有りかなと思ったりもするけれど。


斎藤工くんの映画を一番最初に観たせいもあるけど、
5本観た映画の中で、
一番春琴のイメージに近かったのは、
長澤奈央さんだったように思う。
(次点は渡辺督子さん)


そして、前にも書いたけれど、
一番観たい京マチ子さん版だけが、
未ソフト化のようで、本当に残念。
名画座では何度かかかっているようなので、
今後に期待。

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