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「落下の王国」 [映画]

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〔2006年/インド〕


1910年代のロサンゼルス。
スタントマンのリー・ペイスは、
映画の撮影中、鉄道の橋から落ちて大怪我を負い、
今は病院のベッドの上。
さらに、恋人を主演俳優に奪われ、
生きる気力を失いかける日々。


同じ頃、腕を骨折して入院していた、
5歳の少女・カティンカ・アンタルーは、
小児病棟を抜け出し、偶然ペイスの病室にやって来る。


アンタルーとペイスは気が合い、
交流するようになる。
ペイスが語って聞かせる物語に、
アンタルーは目を輝かせて聞き入る・・・。


その物語とは、
遠い国で、総督オウディアスの手によって
孤島に追いやられた6人の男たちが、
それぞれの理由により、
オウディアスに復讐するというもので、
その冒険物語は、アンタルーの心を掴むのにピッタリだった。


しかし、ペイスは暇つぶしにそんな事をしたわけではなく、
実は理由があった。
生きる希望を失った彼は、
アンタルーを利用して、
薬剤室から自死用の薬物を盗み出してこさせるために、
まずは彼女の心を惹き付けたのだ。


ペイスの言う通りに、薬を盗みだすアンタルー。
しかし、まだ文字を読む事が覚束ない彼女は、
笑ってしまうような間違いをおかす・・・。





リー・ペイスとカティンカ・アンタルーの入院生活と、
ペイスが語る物語が、
並行して描かれる。


劇中劇である、ペイスの物語の前半は、
面白くて見入ってしまう。
総督オウディアスへの復讐を誓う6人の男たちの、
それぞれの理由が、
そりゃ復讐したくもなるよ、と言いたくなるもので、
アンタルーが話しをせがむのも分かる。


これが、復讐劇だけの独立した話だったら、
ここまで面白くは観られなかった気がする。
ペイスがアンタルーに語って聞かせているんだと思うからこそ、
ワクワクできるというものだ。


復讐劇の後半は、私にはちょっと飽きた。
映像はとっても綺麗なんだけれど。


現実的な私は、劇中劇より、
スタントマンとして、
失意のどん底にいるペイスの心がとても気になった。
5歳の子供を利用して、
自死する為の薬を盗ませるとは、
絶対にしてはいけない行為だが、
そこまで追い詰められた彼の辛さはどれほどか、と。


アンタルーも、何か悲しい私生活があるようだ。
彼女自身は5歳で、何も分かっていないようだけれど、
無邪気な言葉の端々から、それを感じる。


しかし、ラストがとても良い。
先日観た、「ヒューゴの不思議な発明」に似ていて、
初期の頃の映画への愛に溢れている。
スタントマンの体を張った活躍の数々の映像に、
この時代があるから、今がある、と、
「ヒューゴ~」で抱いた時と同じ感動が湧き上がってくる。


評価 ★★★☆☆

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