SSブログ

「大阪ど根性物語 どえらい奴」 [映画]

osakadokonjomonogatari.jpg
〔1965年/日本〕


明治時代の大阪。
街に2軒ある葬儀屋、「駕為」と「駕花」。


「駕花」は、明治天皇崩御の際、
葬儀を取り仕切り、その事を誇大に触れ回る。
老舗の「駕為」はそれを快く思わず、
2軒の仲は悪い。


「駕為」で働く藤田まことは、
幼い頃、父を亡くし、たった一人で遺体を運んでいる所を、
「駕為」の主人・曽我廼家明蝶に助けられ、
それ以来、「駕為」に丁稚として働いていた。


働き者で才気溢れる藤田は、
曽我廼家の信頼も厚かったが、
「これからは車の時代です。
 火葬場までの道筋、遺体は車で運んだらどうでしょう」と、
曽我廼家に提案した所、
「仏を車に乗せるなど、以ての外」と、
激しく叱責され、勘当されてしまう。


藤田が「駕為」を出ると、
彼に惚れている曽我廼家の愛娘・富司純子までが、
一緒に家を出てしまい、その後すぐ2人は結婚。
藤田夫妻と、彼らの友人で運送屋の長門裕之の3人は、
葬儀屋「博益社」を立ち上げる。


最初の1年は、商売も思うようにいかなかったが、
藤田の商才で、商売は軌道に乗り始め・・・。





葬儀屋の話というと、
なんだか辛気臭いイメージかもしれないが、
全編、コテコテの大阪弁でまくし立てるこの映画は、
暗い所など全く無い、吉本新喜劇を観ているような感じ。


藤田まことが、「ご遺体を車で・・・」と言った時、
私はてっきり曽我廼家明蝶が喜ぶものだと思っていたので、
その反応にビックリ。
まだ車が珍しかった時代は、
仏様をそんな物で運ぶなんて考えられなかっただろう。


富司純子が若くて、とにかく可愛い。
家を出てからの彼女は、
貧乏でも文句一つ言わず、藤田に付いてゆく。


それにしても、2人の新婚所帯というのが、
長門裕之のアパートで、3人で寝泊りしている。
今じゃ考えられない事だわ(笑)。
しかも、子供まで生まれる。
やっぱり考えられない(笑)。


曽我廼家は孫が生まれたと、
風の便りに聞き、
本当は会いに行きたくてたまらないのだが、
意地を張るばかり。
ある夜、そっと彼らのアパートの下に行くと、
赤ちゃんをあやすために、富司が外に出てくる。
その可愛い孫の顔と、
富司が呼ぶ名前が、「為一」だと知り、
曽我廼家は、電話ボックスの中で涙する。
いい場面だった。


ストーリーは予想通りの展開だが、
だからこそ、安心して観ていられる、
元気になれそうな映画。


評価 ★★★☆☆

nice!(14)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画