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「色即ぜねれいしょん」 [映画]

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〔2008年/日本〕


1970年代。
京都の仏教系高校1年生の渡辺大知は、
ヤンキーにもなれず、優等生にもなれず、
中途半端な自分を持て余す。


ボブ・ディランが大好きな彼は、
自室で作詞作曲に励んではいるが、
それらの曲を発表する予定も場所も、
今の所、ない。


ある日、渡辺は、高校の友人2人から、
夏休みに隠岐島に行こうと誘われる。
何でもその島のユースホステルは、
奔放な若い男女が集まる場所で、
そこへ行けば、自分たちも「やりたい放題」ができると言うのである。


意気込んで旅の準備をし、
フェリーに乗った3人だが、
着いたユースは想像以上にボロく、
それらしい男女も見当たらない。


それでも、可愛い女子大生・臼田あさ美と親しく口をきき、
ユースでバイトをしながら夢を語る峯田和伸に説教され、
渡辺は、ほんの少し、大人になった気分を味わう。


日常に戻った渡辺は、
文化祭で自作曲の披露を決意し、
小学校から片思いしていた石橋杏奈を誘う。
さらに、島で別れた臼田とデートの約束を取り付け・・・。





中高生の男子は、女が考えている以上に、
悶々とした日常を送っているのだとは、
よく耳にする言葉だし、
この映画も、そこを描きたいのだろうが、
渡辺大知のキャラのせいなのか、
そこまで強い性欲は感じられない。


ヤンキーにも優等生にもなれないって、
つまりは、殆どの学生がそんなものなわけで、
彼が特別普通(変な言葉(笑))だとは思わない。


渡辺は両親(堀ちえみ・リリー・フランキー)からもめっちゃ可愛がられていて、
不良になる理由がない。
そんな両親が彼に家庭教師・岸田繁をつけてくれるのだが、
渡辺と岸田のやり取りが、
私はこの映画の中で一番好き。


岸田はヒッピーみたいなナリで、
勉強そっちのけで、
「彼女が妊娠したかもしれなくて、困ってんだよね」
などと、渡辺に相談する。


女の子の手も握った事のない渡辺にそんな事言ったって・・・と
観ているこちらは大変に可笑しい。
渡辺も仰天し、「大人な悩みだ・・・」と憧憬の念さえ抱く。


隠岐島のユースでバイトする峯田和伸も、
ヒッピーみたいな奴で、
人が自由に集まってくる場所を作りたいなどと、
夢みたいな事をほざいて、渡辺たちを惹き付け、
またもっともらしい説教をする。
しかし翌日、「夢の実現の為に、このレコード買わないかな?」と、
自費製作したらしい物を3,000円で売りつけようとするのだよ。
渡辺の友人2人も、観ているこちらもドン引きした場面であった。
(渡辺だけは買うのだけれど)。





余談だけれど、
数年前、高校でバンドをしていた友人男子が、
下北沢を歩いていたら、
偶然、峯田和伸に会ったそうだ。
バンド少年にしたら、峯田は神様のような存在で、
声を掛けたら、どこかの店で飲み物をご馳走してくれたそうで、
それはそれは夢のような出来事だったと話してくれた。
以来、私も峯田の事がとても好き。


評価 ★★★☆☆

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