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「最後の切札」 [映画]

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〔1960年/日本〕


銀座シネパトスで観た。
ビデオ化、DVD化、共にされていないようだ。
(佐田啓二さんの写真も映画とは関係ありません)

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佐田啓二と宮口精二は、新聞記者を装い、
新興宗教「不滅協会」の建物に入ろうとした政治家にフラッシュを浴びせる。


後日、「宗教研究家」を名乗った二人は、
教祖に会い、
いかにも新聞社との繋がりが深いように見せかけ、
記事の揉み消しを頼まれ、大金を手にする。


表向き、商店街の店主の顔をしている佐田は、
実は悪どい詐欺師なのだ。
宮口と組み、
また警察内部にも懇意にしている刑事もおり、
「不滅協会」から二度三度をと金を騙し取っていた。


「不滅協会」から独立し、
今は対立している「誠心会」の幹部が、
数年前、不審な死を遂げた事から、
佐田はそこに事件の匂いを嗅ぎ付ける。


墓を掘り起こして、
遺体から毒を検出しようと目論むが・・・。





なんといっても面白いのは、
後半の、佐田啓二が墓を暴くシーン。
当たり前の事だけれど、
深夜、土葬された遺体を掘り起こすなんて、
考えただけでゾッとする。
「オーメン」でも同じようなシーンがあったと記憶しているが、
あれはホラーと分かって観ているので、
衝撃だけでいえば、こちらの方が強い。


彼は、二人の人夫を雇って、
それを手伝わせる。
ガラが悪く、悪態ばかりの人夫たちも、
棺が現れ、蓋を開ける段階になると向こうを向き、
中を見ようとはしない。
(あとでちょっと覗くけど)


その後、「え!?そうなるの?」という、意外な展開になる。
ちょっと驚く。


やっぱり佐田啓二はいい男だね。
ちょっと線が細くて、
誠実そうにも、嘘つきにも見え、
詐欺師というにはピッタリだ。
彼は、女関係もお盛んだ。
暴力で女を屈服させるのではなく、
言葉で操るタイプ(笑)。
こちらもイメージに合っている。


評価 ★★★☆☆

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「わたしを深く埋めて」 [映画]

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〔1963年/日本〕


現在、銀座シネパトスで上映されている映画のテーマ、
「名画座サスペンス劇場 傑作選 第3幕」。
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弁護士、田宮二郎が出張先から戻ると、
下着姿の見知らぬ女が部屋で待っており、挑発される。


出張中、彼は親友の川崎敬三に部屋を貸しており、
女は川崎に関係があると思われた。
川崎は妻、若尾文子と離婚を前提に別居しているのだ。
田宮は、酔っていた女を何とかタクシーに乗せるが、
車内で彼女が死んだと連絡が入り、殺人容疑をかけられる。
死因は、女の飲んでいた酒に入っていた毒に因るものだった。


しかしこれは、川崎と彼の顧問弁護士が仕組んだ狂言だと分かる。
川崎はまだ、若尾を深く愛しており、
親族から責められている若尾を守ろうと、
離婚は自分の浮気が原因だという既成事実を作ろうとしたのだが、
時間に遅れたのだ。


嫌疑が晴れた田宮だが、
女が誰に殺されたのかは、まだ分からなかった。
田宮と警察の捜査により、
女は、ある富豪夫妻が交通事故で死んだ際、
その場に居合わせた証人だった事が分かってくる。
死んだ富豪の財産分与を巡って、
女の証言が大変重要になってくるのだ。


さらに、田宮の部屋で、今度は川崎が射殺される。
田宮と間違えられて殺されたらしい。
ショックを受ける若尾だが、
彼女は、田宮を箱根旅行に誘う。
二人は以前から惹かれあっており、
やっと結ばれる事ができたのだ。


次々起こる殺人事件。
真犯人は誰なのか・・・。





ずいぶん沢山の人が死ぬが、
結構コミカルな印象で、軽い。
コミカルじゃないのは、
離婚寸前の若尾さんくらい。
「わたくしは弱い女ですわ」って、何度も言う。
綺麗なお着物でそんな事言われたら、
田宮二郎じゃなくても、クラクラしてしまうだろう(笑)。


メインのキャストより、
交通事故で亡くなった富豪夫婦の財産の行方の方が、
私にはとても面白く感じられた。


なにせ、この夫婦、
金持ちの老人と若妻という組み合わせ。
もちろん新婚。
なんだか今の日本で話題になっている、
数組の芸能人夫婦を思い出す。


夫婦はどちらかが先に亡くなった場合を想定して、
財産の相続先を明文化してある。
つまり、交通事故とはいえ、
たった数分でも、どちらが長く生きていたかで、
財産の行方が変わってくるのだ。
「なるほど」、と思う。


気の弱い夫に川崎敬三、
その妻、若尾文子。
そして、間に立つ田宮二郎。
なんだか前にも観たようなパターンだが、
若尾さんを観られるなら、もうなんでもいいや、という気になる。


評価 ★★★☆☆

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「三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」 [映画]

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〔2011年/フランス・イギリス・アメリカ・ドイツ〕


試写会で観た。


17世紀。ヴェネチア。
アトス(マシュー・マクファディン)、ポルトス(レイ・スティーヴンソン)、
アラミス(ルーク・エヴァンス)の三銃士は、
アトスの恋人、ミレディ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)に裏切られ、
巨大飛行船の設計図が、
敵国イギリスのバッキンガム公爵(オーランド・ブルーム)の手に渡ってしまう。


同じ頃、フランスでは、
ルイ13世(フレディ・フォックス)が王位を継承していたが、
若すぎる彼に国を動かす力は無く、
リシュリュー枢機卿(クリストフ・ヴァルツ)が、
実質、権力を掌握していた。


数年後、銃士に憧れ、
フランスの田舎からパリに出てきたダルタニアン(ローガン・ラーマン)は、
偶然、アトスたちと知り合い、
仲間となる。


リシュリュー枢機卿は、ミレディと結託して王妃の首飾りを盗み出し、
それをきっかけに、
戦争を起こそうと企んでいた。
盗んだ首飾りはバッキンガム公爵の手に渡り、イギリスへ。


首飾りを奪還すべく、
三銃士とダルタニアンはイギリスへ向かう・・・。





子どもの頃、「三銃士」は確かに読んだ記憶があるのに、
ストーリーは全然覚えていない(笑)。
遠いおフランスのお話というのが、
子どもには理解しづらかったのだろうか。


そもそも、「銃士」というのが、
何なのかが、よく分からなかったのよ(笑)。
大人になって良かったなと、
こんな時は、そう思う。


で、この映画。
ストーリーは中々面白い。
ちょっと間抜けなルイ13世が、
妻を愛するあまり、
その気持ちをダルタニアンに相談したり、
首飾りをめぐって、疑心暗鬼になったりするのが可愛い。


鍵を回すと現れる地下への階段なんかも、
ワクワクできて好き。


アクションは普通かな。
2つの飛行船の戦闘場面が見せ場だけど、
こんなものかという感じ。


そもそも、この映画の売りは、
三銃士やダルタニアンより、
ミラ・ジョヴォヴィッチやオーランド・ブルームが、
悪役を演じる事にあるようだ。


確かに、三銃士より2人に目がいってしまう。
ダルタニアンを演じるローガン・ラーマンも
今一つ華が無いのが惜しい。


評価 ★★★☆☆

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「眠狂四郎 悪女狩り」 [映画]

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〔1969年/日本〕


江戸城下で、眠狂四郎(市川雷蔵)の偽者が現れ、
人を斬ったり、女に乱暴する事件が続発。
本物の狂四郎も、初めは無視を決め込んでいたが、
そうも言っていられない事態になる。


一方、大奥では、将軍の世継ぎを身篭り、
寵愛を受けているお千加の方(松尾嘉代)が、
錦小路の局(久保菜穂子)から激しい狼藉を受け、
お腹の子を流されそうになる。


堕胎を生業とする「中条流」に連れ込まれたお千加の方を
助け出した狂四郎だが、
怒った錦小路の局の手下に捕まる。
手足を縛られ、嬲り者にされそうになるが、
いつもの機転で、ピンチを切り抜ける。


ついに偽者と対峙する狂四郎。
勝負の行方は・・・。





シリーズ12作目にして、最終章。


ウィキペディアによると、
本作の撮影時、既に市川雷蔵は癌に冒されており、
体力の衰弱が激しかったという。


元々12作で終わりと決まっていたのか、
市川雷蔵の体調により、終わらざるをえなかったのか、
そこはよく分からない。


観た限り、彼はそれほど痩せている感じはしないが、
そういう先入観があるせいか、
目が鋭く、美しさも増しているように感じられた。


手足を縛られ、身動き取れない狂四郎が、
久保菜穂子から口移しで酒を飲まされる場面で、
二人の唇がアップになる。
市川雷蔵の唇がとても柔らかそうで、
大変に淫靡な場面であった。


この映画が公開されたのが、
1969年1月。
そして、同じ年の7月に亡くなったそうだ。


評価 ★★★☆☆

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「ベスト・キッド」 [映画]

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〔2010年/アメリカ〕


ジェイデン・スミス12歳は、
母親の転勤でデトロイトから北京へ引っ越してくる。


早速、公園に遊びに行くと、
ベンチでバイオリンの練習をしていた少女ハン・ウェンウェンと知り合い、
打ち解けあう。
しかし、ジェイデンは、
それに嫉妬した少年グループのボス、ワン・ツェンウェイに目を付けられてしまう。


以来、グループのジェイデンへの壮絶な苛めが始まる。
ある日、またジェイデンが殴られていると、
すんでの所で助けてくれた人物がいた。
それは、ジェイデンが住むアパートの管理人、ジャッキー・チェン。
飄々とした見た目からは想像できぬが、
彼はカンフーの達人だった。


紆余曲折の末、ジェイデンとワンは、カンフーの大会で、
決着をつける事が決まる。
その日から、ジャッキーによるジェイデンへの特訓が始まる・・・。





親バカ映画とは分かっているが、
なかなか面白く、素直に楽しめる。
オリジナルの「ベスト・キッド」を、
もっと深く、丁寧に描いてあり、
2時間20分の長い映画だが、時間を感じさせない。


オリジナルでは、
空手の稽古が、ワックスがけと床磨きとペンキ塗りだけだったのに対し、
(それはそれでいい味出していたが)
こちらの特訓は、もっと本格的だ。
師匠にジャッキー・チェンを据えたのも説得力があるし、
彼の存在が映画に力を与えている。


人っ子一人いない万里の長城での訓練シーンに笑った。
ジャッキーは車の運転をしないという設定なのに、
どうやってあそこまで行ったのか。
実際、人が電車で行ける範囲の万里の長城って、
観光客で、芋を洗うようにごった返していると思うのだが。
誰も登ってこない場所まで歩いていったとか?(笑)


相手役の少女、ハン・ウェンウェンのルックスには賛否あるようだが、
私はとても可愛いと思った。
彼女は北京に住みながら、
英語が話せて、ダンスまで出来るという設定。
中国系アメリカ人で、
オーディションも、踊れる事が条件だったんじゃないのかと
憶測してみた(笑)。


いじめグループの男の子たちも、
みんな端整な顔立ちだ。
カンフーの型も決まっているように見える。
(素人なのでよくは分からないが)
彼らはどこから連れてきたのかと、
くだらない事が気になる私。


それから、これは本気で疑問なのだが、
ジェイデンがしてる事ってカンフーだよね。
でも原題は、「Karate」となっている。
これをアメリカ人は、心でどう折り合いつけて観ていたんだろう。
ま、空手もカンフーも、西洋人には同じようなものかもしれぬが(笑)。


ジェイデンはいい親を持って幸せだね。
あとは、ドラッグと酒と女に気を付ける事が、
あなたの今後の人生の課題よと言いたくなるけれど、
それこそ、あれだけの親が付いているんだから、
そんな心配、余計なお世話でしょうね(笑)。


評価 ★★★★☆

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