「とんかつ大将」 [映画]
〔1952年/日本〕
佐野周二は、貧乏長屋に住む医師。
開業しているわけでもなく、勤務医でもなく、
しかし、腕は抜群だ。
彼はとんかつが大好物なところから、
長屋の住人から、“とんかつ大将”と呼ばれ、
頼りにされ、親しまれていた。
長屋の裏で大きな病院を経営する津島恵子は、
美人医師だが、世間知らずのお嬢さんで、
腕も今一つ。
そんな彼女が、病院拡張の為、
長屋の住人を立ち退かせると宣言。
彼女は、立派な病院を建てる事こそが、
人々の為になると信じて疑わないのだ。
住人のリーダーとして、津島とやりあう佐野。
しかし津島は、佐野を愛し始める。
そこに佐野に惚れている、近所の飲み屋の女将、角梨枝子が
絡んでくるものだから、もう大騒ぎ。
しかし、佐野は女たちに全く関心がない。
実は佐野には忘れられない女がいるのだ。
学徒出陣の際、将来を誓ったが、
今は音信不通となっている幾野道子が。
ある日、佐野はデパートで幾野道子とバッタリ出会う。
なんと彼女は、佐野の親友、徳大寺伸の妻となり、
子供までいたのだ。
しかし、結婚後、徳大寺は荒れ、
幾野は辛い日々を過ごしている事を知る。
長屋の立ち退きはどうなるのか、
そして佐野と幾野と徳大寺の三角関係は・・・。
無骨だが、
男気あふれる医師を、佐野周二が好演。
彼は出会う女みんなに惚れられる。
彼にその気が全くなくても、
女たちが放っておかない。
私が男だったら、羨ましく思うであろうくらいに(笑)。
あまりにモテるせいで、
仲を取り持とうとした親友の恋でさえ、
図らずも、ぶち壊してしまう始末である。
たしかに、彼のやる事なす事に懐の深さが見え、
物凄く頼りになる。
こんな人と一緒だったら、
一生安心して暮らせると思わせる何かが、彼にはある。
“とんかつ大将”と呼ばれるわりに、
とんかつを食べるシーンが殆どないのが惜しい。
タイトルにはあまり意味がなかった(笑)。
評価 ★★★☆☆
◆東京の階段◆ [本]
東京の、数々の階段が、
綺麗なカラー写真で紹介されている本。
とても興味深い。
普段、意識した事のない階段に焦点を当てて、
その成り立ちや特徴を、
丁寧に説明してある。
記憶にある階段もあるし、
見た事もない面白い階段もある。
もしかしたら、昇り降りした事があるのに、
忘れてしまっている階段もあるかもしれない。
こういう本を見ると、
掲載されている全ての場所に行ってみたくなる。
片っ端から昇り降りしていったら面白いだろうなぁと思うけれど、
月に1箇所として、1年間でたった12箇所。
全制覇に10年かかるという事か。
でも、必ず月1で行けるとも限らないし、
実際はもっとだろう。
そんな事を考えると、
人生って短いといつも思う。