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「ハルク」 [映画]

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〔2003年/アメリカ〕


砂漠の中にある米軍の研究所。
ニック・ノルティは、動物による遺伝子実験を行っていたが、
好奇心に勝てず、
新薬を自分に注入する。


しかしその後、妻が妊娠し、
生まれた息子の遺伝子にまで、
新薬が影響していると知ったノルティは、
大きなショックを受ける。
その後、彼は職場でも家庭でも暴力沙汰を起こし、
姿を消す。


成長した息子、エリック・バナは、
父と同じ科学者になっていたが、
仕事中、大量のガンマ線を浴びてしまう。
奇跡的に助かったものの、
怒りを覚えると、感情をコントロールできず、
体が膨張し、緑色に変化する、
「ハルク」に変身するようになってしまう。


彼の味方は、元恋人のジェニファー・コネリーだけ。
しかしコネリーの父親で将軍のサム・エリオットは、
ハルクを亡き者にしようと、
激しい攻撃を仕掛ける。


コネリーは、なんとかハルクを救おうとするのだが・・・。





テレビシリーズの「超人ハルク」は、
再放送か何かで、
ちょっと観た事があるだけで、
殆ど知らないので、
私の中でこれが「ハルク」初体験に近いと言っていいと思う。


だから、名作と言われるテレビと比べてどうかというのも分からず、
単純に映画の感想だけを言うとするなら、
まぁ、平凡な出来といった所。


巨大なハルクはもちろんCGだろうが、
その動きはまるで、
粘土で作られたアニメみたいだったし、
ハルクの体そのものも、粘土みたいな質感に感じられた(笑)。


ハルクに変身してしまう苦悩を、
エリック・バナから感じ取る事も難しかったな。


ただ、記憶違いかもしれないけれど、
映画の中でハルクは、
人を一人も殺していないような気がした。
逆に、橋にぶつかりそうになった飛行機を助けてるし。
それは、ハルクは決して悪者じゃないという、
製作側の表現なのだろうか。


この映画から5年後に作られた、「インクレディブル・ハルク」。
続編というわけではないらしい。
この映画を気に入らなかった誰かが、
作り直したのだろうか。
今夜はそちらを観るつもり。
どんな風に違うのか、ちょっと楽しみ。


評価 ★★★☆☆

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「兵隊やくざ 大脱走」 [映画]

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〔1966年/日本〕


戦争も末期に近づき、
ソ連軍からの攻撃を待つばかりの部隊。
有田(田村高廣)と大宮貴三郎(勝新太郎)も、
玉砕覚悟の空気の中にいた。


そんなある日、
大宮は、集団からはぐれてしまった、
慰問団員の父娘(南都雄二・大楠道代)を保護する。
久し振りに女を見た兵隊たちは色めき、
大宮もその例外ではない。


狡猾な上官3人から、帰国の汽車に乗せてもらえる事を条件に、
慰安婦の真似事をしろと言われた娘は、
生きる為に、それを承諾する。
しかし、間一髪の所で偶然大宮が現れ、
大宮は3人を叩きのめす。


その後、大宮はリンチを受けるが、
有田の機転で助けられ、
大宮が父娘を駅まで護送し、無事汽車の乗せる。
しかし、戻ってみると、
隊は攻撃を受け、全滅。
有田も死んでしまったと思い込んだ大宮は号泣。
しかし、彼は何とか助かっていた。


2人は別の隊に潜り込むが、
どうせなら偉くなったほうがいいと、
将校に成り済まし、兵隊に命令する立場となる。
大宮は豪放なその性格から、
兵隊たちから人気が上がる。
しかし、兵隊の中に、
以前2人を苦しめた、憲兵の青柳(成田三樹夫)がいたのだ・・・。





シリーズ5作目。


一度は、「やくざ」だけになりかけたが、
また「兵隊やくざ」に戻った感じ(笑)。
やっぱり話は軍隊の中の方が面白い。


最初から笑わされる。
上官から遺書を書けと言われた兵隊たちは、
便箋に向かうが、
大宮は何もしようとしない。
彼が字が書けなかったのだ。
それに気付いた有田が代筆をしてやると言うと、
大宮は、女が多すぎて誰に宛てていいのか迷うと言う。
女好きの大宮らしい、でも憎めない場面。


後半、将校に化けた大宮が、
「東大卒」だと言い張る場面も可笑しい。
東大だというわりに、
大学の事を聞かれると何も答えられない。
質問は全て、有田が答えてやる始末。


南都雄二と大楠道代の父娘もいい。
上官からの理不尽な申し出を、
「娘は慰安婦ではない。それだけはご勘弁を」と断る父親。
親だったら、胸がつぶれそうな場面。
しかし、戦局も押し迫った空気の中、
大楠は「それも生き抜くため」と承諾する。
戦争の異常な雰囲気が物凄く伝わってくる。


後半は成田三樹夫が物語りの重要人物となってくる。
悪党だった彼が、
大宮とほのかな友情を感じ合う、
素晴らしい作り。
シリーズの中でも、面白い内容だと思う。


評価 ★★★★☆

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「ママの遺したラヴソング」 [映画]

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〔2004年/アメリカ〕


同棲相手の男と自堕落な生活を送るスカーレット・ヨハンソンは、
音信不通だった母親が死んだとの報せを受ける。


ニューオーリンズの母の家に行ったヨハンソンは、
そこに、ジョン・トラヴォルタとガブリエル・マクトの2人の男が
住み着いている事を知る。


トラヴォルタたちの主張によれば、
母は遺言で、家の権利は三分の一ずつだとの事で、
ヨハンソンは迷った末、
その家に住む事になる。


知らない中年男2人との共同生活に、
初めは戸惑う事も多かったヨハンソンだが、
彼女の頭の良さに気付いたトラヴォルタの進言により、
学校に行く事を決め、
彼女の生活は変わってゆく。


しかし、実は家の権利は、
ヨハンソン一人にあるという事が分かる。
怒ったヨハンソンは腹いせに、
家を売りに出す事を勝手に決めてしまう。
さらに、もっと重大な秘密がある事が分かる・・・。





スカーレット・ヨハンソンの、
良い意味でのふてぶてしさが、
上手くハマっている映画だと思う。


映画が始まってすぐ、
彼女の食べ物を見て仰天した。
椅子にだらしなく座った彼女は、
スプーンですくったM&M'S(みたいな、いわゆるマーブルチョコね)に、
ピーナッツクリームを絡めて食べているのだよ。
私も甘い物はとても好きだけれど、
それでもそれは「勘弁してー」と思う代物で(笑)。


つまりそれは、
彼女はこんな怠惰な人生を送っているんですよと、
最初に観客に伝える場面だと思うのだが、
本当に、物の食べ方一つで、
その人の生活まで表せるものなのだな、と。
私が今後、この映画のストーリーを忘れる事はあっても、
あの食べ方は忘れない気がする(笑)。


全体のストーリーに特筆すべき点はない。
「ママ」が死んだとはいっても、
その「ママ」との思い出がヨハンソンの中に殆ど無いので、
特に悲しいわけではない。
ヨハンソンの成長物語なのは分かるけど、
学校の場面なども出てこないので、
どこかピンとこない。


それから、トラヴォルタがあまりにもお爺さんの扱いで、
ちょっと違和感。
計算すると、
この映画が公開されたとき、彼は50歳。
白髪頭にして役作りしているけれど、
そこまで年食ってはいないだろうって。


ヨハンソンが魅力的だから、まぁ良し。
彼女は、整形やダイエットには興味の無い女優だと聞く。
そのせいというわけではないけれど、
女の私から見て、とても自然で、
強がってるけど、繊細で可愛い。
好きだな。


評価 ★★★☆☆

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「ラビット・ホール」 [映画]

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〔2010年/アメリカ〕


ニコール・キッドマンとアーロン・エッカート夫妻は、
8か月前、
愛犬を追いかけて道路に飛び出し、
車に轢かれた4歳の息子の死から立ち直れず、
苦しみ抜いていた。


2人は、なんとか気持ちを立て直そうと努力する。
子どもを亡くした親の会にも行ってみるが、
車座になって自分の体験を語る会員の、
その空気がどうにも性に合わず、
中座してしまうキッドマン。


エッカートは夜中に一人、
ケータイに入った息子の動画を見つめる。
何度も何度も同じ動画を。


キッドマンは息子の服を処分し、
冷蔵庫に貼られた絵を捨てる。
思い出と決別するように。
さらには、エッカートの動画まで消してしまい、
2人は激しい言い争いとなる。


そんなある日、
キッドマンは息子を轢いた高校生、マイルズ・テラーを見掛ける。
彼は真面目な若者で、
事故も、彼に過失はなかった。
会話をするようになった2人は、
公園のベンチで、テラーの描くパラレルワールドについて
語り合うようになる。
無数に存在するパラレルワールドの別の世界では、
幸せに暮らしている同じ自分がいると教えられたキッドマンは、
次第に心が安らいでゆくのを感じる・・・。





軽々しい事や、分かったような事は絶対に言えないが、
人が体験する様々な死による別れの中でも、
我が子を失う事ほど、
立ち直るのに時間がかかるものは無いのではと思われる。


子どもを失った人は、
みんな自分を責めている。
「あの時こうしていたら」
「あの時こうしていなかったら」
しかしそれを考えていたらキリがなく、
究極は、自分が生まれた事さえ失敗だったと、
そこまで遡りそうな気が、私にはする。


ニコール・キッドマンの演技を、
今まで、上手いとも下手とも思った事がなかったけれど、
この映画は実に良かった。
彼女は物凄く美しくて、
でも、その美しい女がヒステリックになるものだから、
余計に怖く、悲しく感じられる。


実際、彼女と会話していると、
何が地雷になるか分からなくて、
周囲の人はみんな困っている。
普通に会話していても、
全てが自分への当てこすりのように感じられて、
怒り出す。
妊娠している妹の誕生パーティも、
そのせいで、めちゃくちゃになる。


悪人が出てこないのが救い。
息子を轢いたマイルズ・テラーもとてもいい子で、
夫妻も、彼を恨む様子はない。
これは人間の再生の物語。
悲しみは一生消える事はないだろうけれど、
ほんの1ミリずつでも、前に進めたらって、
そう思わされる。


評価 ★★★★☆

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「誰かに見られてる」 [映画]

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〔1987年/アメリカ〕


ニューヨーク警察に勤務するトム・べレンジャーは、
愛する妻と可愛い息子と3人暮らし。
仕事は昇進し、順調な日々だ。


あるパーティで、
富豪の女、ミミ・ロジャースが、
殺人事件を目撃してしまう。
犯人のアンドレアス・カツラスはロジャースを狙う可能性があり、
彼女の警護に就かされるべレンジャー。


彼女のマンションに行ったべレンジャーは、
自分の生活とはまるで違う、
ロジャースのゴージャスな生活に驚く。
上流階級の優雅な物腰と丁寧な言葉遣いを
目の当たりにしたべレンジャーは、
今まで気付かなかった、
妻のガサツさが気に触るようになってしまう。


外出先でカツラスに脅されたロジャースだが、
その後、カツラスは逮捕される。
しかし、彼は弁護士の申し立てにより、
釈放されてしまう。


不安に駆られるロジャースとべレンジャーは、
いつしか不倫関係へ陥ってしまう・・・。





サスペンスのようでありながら、
ラブロマンスの要素もいっぱいの映画。
トム・べレンジャーとミミ・ロジャースの恋愛に、
納得いくか否かが、
評価の分かれ目であろう。


私は、最初に可愛い息子の顔を見てしまったせいか、
やっぱり、この恋愛は駄目でしょ、と思ったクチかなぁ。
妻もガサツだけど、
苦しい生活をやり繰りする、いい奥さんだしね。
子どももいず、
妻が嫌な女だったら、もう少し恋愛部分に酔えるのだろうけれど。


そもそも、べレンジャーの雰囲気に上流階級が合わないのよ(笑)。
人にはそれぞれ身の丈に合った世界があるしね。
もしべレンジャーが妻と離婚して、
ロジャースと一緒になるなんて事になったら、
ロジャースだって困るんじゃない?
生れも育ちも全然違うし、
ロジャースの父が残した学校だかなんかを、
べレンジャーが運営できるとは思えないし。


なーんて、すぐに物語の「その後」を心配してしまう私(笑)。


ロジャースの家が豪華で羨ましかった。
お掃除が大変そうだけど、
家政婦さんがするんだよね、きっと。
いらぬ心配してすみません(笑)。


評価 ★★★☆☆

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