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「続 兵隊やくざ」 [映画]

zokuheitaiyakuza.jpg
〔1965年/日本〕


前作、ある方法で、軍隊からの脱走を試み、
成功したかと思われた、
大宮貴三郎(勝新太郎)と有田上等兵(田村高廣)だったが、
敵の爆弾に吹き飛ばされて怪我を負い、
病院送りになってしまう。


二人の行動を不審に思った上官に、
色々問い詰められたが、
なんとか誤魔化し、
二人はまた、軍隊に逆戻り。


今度の隊は、最前線にある独立守備隊で、
駐留している兵士たちも曲者揃いだった。
破天荒な大宮は、ここでも早速騒ぎを起こし睨まれるが、
有田の配慮で当番兵となる。
官舎に住む岩波曹長(睦五郎)と八木曹長(上野山功一)は、
芸者染子(水谷良重)を巡って犬猿の仲であり、
大宮は間に入って、四苦八苦する。


そんなある日、軍隊は、
中国人の老人と、その孫娘を拘束する。
老人を処刑せよと命令する上官に、
「何の罪もない人間を殺すのは、復讐を連鎖させるだけだ」と、
強く抗議する有田。
結局処刑は行われなかったが、
有田は酷い制裁を受ける。
怒った大宮は、ある方法で仕返しをするのだった。


敵との激しい銃撃戦となった時、
そのどさくさに、岩波は八木を撃ち殺す。
それを知った有田と大宮は・・・。





シリーズ2作目。


これまた面白くて笑ってしまった。
たとえば、勝新太郎演じる大宮貴三郎が、
上官より先に、たった一人で悠々と一番風呂に入っている場面。
そこに入ってきた二人の上官(芦屋小雁、芦屋雁之助)は、
彼を位の高い人間と勘違いし、
背中を流し始める、
内心ヒヤヒヤしながらも、それをさせる大宮。
勝新太郎の風貌のせいでか、
なんとも言えない可笑しみがある。


岩波が泊まりの晩、
八木と染子が部屋で逢引していると、
岩波が突然帰ってくる。
染子は大慌てで押入れに隠れるが、
寒さに耐え切れず、
眠っている大宮の布団に入ってくる。
それを岩波に見られ、焦る大宮。
まるでコントのようだよ(笑)。


今回、大宮は恋もする。
冒頭の怪我で入院した病院の看護婦、緒方恭子(小山明子)。
退院した時は、もう二度と会えないと思っていたのに、
再会できた二人。
体に似合わない大宮の純情ぶりが可愛い。
小山明子も、若い頃、とっても綺麗だったのね。


有田と大宮の仲の良さったら、
「あんたら、友情以上に何か特別な感情があるんじゃないの?」と、
勘繰りたくなるくらい、
とにかく睦まじい。
二人が見つめ合う場面なんか、
まるでウブな男女が恋し合ってるみたい(笑)。


評価 ★★★★☆

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「兵隊やくざ」 [映画]

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〔1965年/日本〕


昭和18年。
ソ連との国境に近い満州にある兵舎。


ここに駐留しているインテリ上等兵、有田(田村高廣)は、
軍隊が大嫌い。
上官になる試験をワザと落ちて、
日本に帰る事だけを考えている男。


そんなある日、入隊前はやくざだったという、
大宮貴三郎(勝新太郎)が新兵として入隊してくる。
破天荒で暴れん坊な大宮は、
前にいた隊で誰の手にも負えず、
有田がその教育係を任されたのだ。


大宮は入隊直後から、早速風呂場で大乱闘。
上等兵から目を付けられてしまう。
一度は痛めつけられた大宮だが、
その後の決闘でやっつける。


有田は、大宮の荒っぽいが憎めないその性格を気に入り、
何くれとなく彼に目をかけるようになる。
大宮も有田のその気持ちに応えるように彼に懐き、
二人の間、強い絆が生れる。


戦況が激しくなり、
日本への帰国が絶望的になった有田はショックを受ける。
大宮は日頃の有田からの恩を返すべく、
自ら計画した案により、
脱走しようと有田に持ちかける・・・。





勝新太郎演じる大宮貴三郎が可愛くてたまらない。
ずんぐりとした、ダルマのような男だが、
どこか純粋な所があり、
有田が惹かれていく気持ちが
物凄く理解できる。
所々でクスクス笑ってしまう。


大宮はたぶん、学校の勉強が出来るタイプではないが、
日常の困難を乗り切るのに長けている男だと思う。
軍隊という、これ以上ない厳しい集団において、
枠にハマり切れない彼だが、
その自由奔放な性格で、
周りを巻き込んでしまう。


田村高廣もいいなぁ。
インテリで軍隊を憎んでいる役がめっちゃハマっていた。
あれだけ鉄拳制裁が横行する中で、
暴力が大嫌いというのもいい。


そもそも、軍隊の中で鉄拳を振るっている、
エラソーな軍人たちは、
戦争前はどうやって暮らしていたのか。
家族に暴力を振るっていたのか。
大半は違うだろう。
戦争の空気に酔っているのか、
ストレスを部下に向けているだけなのか。
もちろん、そうしなければ生きていけないって事もあるんだろうけどさ。


今の日本の戦争映画は、
なんとなく戦争を茶化してはいけないみたいな、
妙に固い作品が多いが、
こんな風にコメディタッチに描いてもいいんじゃないかなぁ、
気持ちは十分伝わるよ、そんな風に思った。


評価 ★★★★☆

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「アマロ神父の罪」 [映画]

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〔2002年/メキシコ〕


メキシコの田舎町の教会に、
アマロ神父(ガエル・ガルシア・ベルナル)が派遣されてくる。
彼は将来有望な新人神父で、
少しの間、この教会のベニト神父(サンチョ・グラシア)の元で
修行する為にやって来たのだ。


若くハンサムで、熱心に信者と接するアマロ神父は、
すぐに町の注目となる。
母親と二人でレストランを切り盛りする
16歳の少女アメリア(アナ・クラウディア・タランコン)も、
その一人。
敬虔なクリスチャンである彼女は、
アマロ神父に憧れの念を抱く。


しかし、教会の内部は腐敗していた。
ベニト神父は、アメリアの母と愛人関係にあり、
また、マフィアの家に出入りしては、金を受け取っているのだ。


そして、そんな内情が、
ある日、新聞社にスッパ抜かれてしまう。
記事を書いたのは、アメリアの幼馴染で、
何度も彼女にプロポーズしている新聞記者。


そんなゴタゴタの中、
アマロ神父とアメリアは、ついに肉体関係を持ってしまう。
教会の戒律により、
神父の姦淫は御法度。
しかし、アメリアは妊娠してしまう。
二人の運命は・・・。





何?これ。
ガエル、めっちゃ嫌な役じゃん。


神父でありながら信者の女の子に手を出す。
それはいい、彼も人間だしね。
でも、彼女の妊娠が分かった途端、
「生まれた子は里子に出せ」だの、
「堕胎しろ」だの、
しまいには、アメリアと彼女の幼馴染の新聞記者とを、
素知らぬ顔で一緒にさせようとまでする、最低男。


二人はむさぼるように、何度も肉体を重ねるのだが、
その場所がまた、最悪なのよ。
町の住人で、
生れた時から寝たきりの娘を育てている父親がいて、
ガエルが相談に乗っているのだけれど、
その娘が喋れないのをいい事に、
父親を騙して、その娘の隣室を借りるのよ。
教会どころか、障害者まで利用するガエル。
もうやりたい放題。


アメリアが、「神父を辞めて結婚してほしい」と懇願しても、
自分は聖職を放棄できないって都合のいい事言って、
ただ、出世したいだけなのが丸わかり。
そこまでの思いがあるなら、
関係するのはいいとして、なぜ避妊しないかな。


まぁ、ガエルは最悪だけど、
映画としては面白い。
メキシコでは、あまりに教会を冒涜した内容に、
上映反対運動まで起きたそうだよ。


髪の短いガエルが可愛い(結局そこかよって(笑))。
前半の、禁欲的な神父様のお姿は良かったんだけどなぁ。


評価 ★★★☆☆

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「スマグラー おまえの未来を運べ」 [映画]

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〔2011年/日本〕


まずこの映画、
バイオレンスの嫌いな方、
痛いのや、血を見るのが嫌な方には絶対にお勧めしない。
予備知識ゼロで、
大好きな妻夫木君観たさに出掛けた私は、
彼がとんでもない目に遭わされるのを観て驚いたよ(笑)。





役者になるのを諦め、
今はどん底のフリーター生活をする妻夫木聡は、
パチスロでつまらない儲け話に乗ったおかげで、
300万円の借金を背負う事になってしまう。


高利貸しの松雪泰子に金を借り、
借金を返済したのはいいが、
今度は松雪に金を返す為に、
何かヤバいブツを運ぶ運送屋の手伝いをする事になる。
リーダーの永瀬正敏と助手の我修院達也。
この、クセの強い2人と一緒に、
妻夫木が最初に運んだのは、首を切り落とされたヤクザの組長の死体。
ショックで声も出ない妻夫木。


ところが、組長を殺された組の幹部が動き出し、
手を下したのは、誰も顔を知らないチャイニーズマフィア、“背骨”“内臓”と呼ばれる
2人組の男という事が分かる。
“内臓”は殺されたが、
“背骨”は生きたまま捕えられ、
彼を組の本部まで運ぶのが、妻夫木たちの次の仕事になる。


しかし、妻夫木の大失態により、
“背骨”が逃げ出すという事態が発生。
責任を取るため、妻夫木が“背骨”という事にされ、
組に送り届けられる・・・。





ここから、組の若い衆、高嶋政宏による、
妻夫木への壮絶なリンチが始まるのだよ。
それはもう、目を覆いたくなるような場面で、
「普通、寸前の所で誰か入ってきて中断するよね」なんて甘っちょろい期待は崩れ、
今まで暴力とは無縁の、ナヨナヨした妻夫木くんが、
延々と拷問を受ける。


高嶋政宏がまた、サディストらしい変態で、
妻夫木をいたぶる際、自分は紙オムツをつけているという徹底ぶり。


そういえば、この間観た、
「探偵はBARにいる」では、
弟の高嶋政伸が、
大泉洋をいたぶる、サイコな変態野郎を演じていたが、
兄弟揃ってどうしちゃったんだ?
そちらの方に開眼したのか?と、
なんだか可笑しかったよ。


“背骨”を演じる安藤政信の冷徹な感じも良かった。
日本語と中国語を操る、国籍不明な男を、
上手く演じていた。
我修院達也も面白いね。
彼も、高嶋政宏とは違った種類のサイコ野郎だ(笑)。


永瀬正敏も、癖のある運び屋の役がピッタリ。
組長の若妻役、満島ひかりと高利貸しの松雪泰子も、
共にクールな雰囲気で良かった。
それぞれの俳優が、それぞれの役を、
きっちりこなしていると思う。


ラストはちょっと綺麗にまとまりすぎているけど、
最後まで飽きさせない。
妻夫木くんの、あの可愛い顔に傷が残りませんようにと、
本気で思わせてくれたので、この点数。


評価 ★★★★☆

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「オンリー・ユー」 [映画]

onlyyou.jpg
〔1994年/アメリカ〕


幼い頃、占い遊びをしていたフェイス(マリサ・トメイ)は、
“デイモン・ブラッドリー”という名前の男が、将来の結婚相手だという結果を得る。
また、遊園地の占い師に見てもらうと、
「お前の結婚相手は“デイモン・ブラッドリー”という名だ」と
同じ事を告げられ驚く。


それから14年。
医師ドウェインとの結婚を10日後に控えたフェイスは、
ドウェインにかかってきた電話に出る。
ドウェインの同級生だというその男は、
“デイモン・ブラッドリー”と名乗り、衝撃を受けるフェイス。
今からイタリアに行くから、結婚式には出られないと言うデイモンを追いかけて、
フェイスは親友のケイト(ボニー・ハント)と共にイタリアに旅立つ。


わずかな手がかりを頼りに“デイモン・ブラッドリー”を探すフェイスは、
ついに彼(ロバート・ダウニーJr.)を見つける。
喜び、キスを交わす2人。
しかし実は彼は、“デイモン・ブラッドリー”ではなかった。
本名ピーターのその彼は、
フェイスに一目惚れし、咄嗟に嘘をついたのだ。


ピーターは、本当の“デイモン・ブラッドリー”を知っていると言い、
フェイスたちを連れて行く。
果たして“デイモン・ブラッドリー”とはどんな男なのか。
そして、フェイスとピーターの恋の行方は・・・。





少女時代に占いで、二度も結婚相手に同じ名前が出たら、
そりゃあ驚くし、もしかしてと思う気持ちも分からなくはない。
フェイスが子供の頃、自分で占った方法というのが、
日本の、いわゆる「コックリさん」とまるで同じなのが面白かった。
他の映画でも見た事があるような気もするのだが、
どこの国にも、似たような物があるんだな、って。


アメリカン人による、
イタリア観光映画とも取れる。
イタリアの都会から田舎まで、
マリサ・トメイたちが、旅してまわる。
ラブコメのロードムービーといった風情。


2人目の“デイモン・ブラッドリー”を、
ビリー・ゼーンが演じていて笑った。
「タイタニック」でケイト・ウィンスレットの婚約者を演じていた、
あの彼。
しかも、初登場シーンで、
見ている人全てが、ウットリするようないい男という設定。
それはちょっと無理がないか?と思ったよ(笑)。


マリサ・トメイも悪くはないけど、
94年といえば、メグ・ライアンがノリにノッてる頃。
メグちゃんならもっと良かったのに、と友人に言ったら、
「ギャラの問題じゃない?」とあっさり答えられた。
私も、「そっか」とあっさり納得(笑)。


評価 ★★★☆☆

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