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「兵隊やくざ」 [映画]

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〔1965年/日本〕


昭和18年。
ソ連との国境に近い満州にある兵舎。


ここに駐留しているインテリ上等兵、有田(田村高廣)は、
軍隊が大嫌い。
上官になる試験をワザと落ちて、
日本に帰る事だけを考えている男。


そんなある日、入隊前はやくざだったという、
大宮貴三郎(勝新太郎)が新兵として入隊してくる。
破天荒で暴れん坊な大宮は、
前にいた隊で誰の手にも負えず、
有田がその教育係を任されたのだ。


大宮は入隊直後から、早速風呂場で大乱闘。
上等兵から目を付けられてしまう。
一度は痛めつけられた大宮だが、
その後の決闘でやっつける。


有田は、大宮の荒っぽいが憎めないその性格を気に入り、
何くれとなく彼に目をかけるようになる。
大宮も有田のその気持ちに応えるように彼に懐き、
二人の間、強い絆が生れる。


戦況が激しくなり、
日本への帰国が絶望的になった有田はショックを受ける。
大宮は日頃の有田からの恩を返すべく、
自ら計画した案により、
脱走しようと有田に持ちかける・・・。





勝新太郎演じる大宮貴三郎が可愛くてたまらない。
ずんぐりとした、ダルマのような男だが、
どこか純粋な所があり、
有田が惹かれていく気持ちが
物凄く理解できる。
所々でクスクス笑ってしまう。


大宮はたぶん、学校の勉強が出来るタイプではないが、
日常の困難を乗り切るのに長けている男だと思う。
軍隊という、これ以上ない厳しい集団において、
枠にハマり切れない彼だが、
その自由奔放な性格で、
周りを巻き込んでしまう。


田村高廣もいいなぁ。
インテリで軍隊を憎んでいる役がめっちゃハマっていた。
あれだけ鉄拳制裁が横行する中で、
暴力が大嫌いというのもいい。


そもそも、軍隊の中で鉄拳を振るっている、
エラソーな軍人たちは、
戦争前はどうやって暮らしていたのか。
家族に暴力を振るっていたのか。
大半は違うだろう。
戦争の空気に酔っているのか、
ストレスを部下に向けているだけなのか。
もちろん、そうしなければ生きていけないって事もあるんだろうけどさ。


今の日本の戦争映画は、
なんとなく戦争を茶化してはいけないみたいな、
妙に固い作品が多いが、
こんな風にコメディタッチに描いてもいいんじゃないかなぁ、
気持ちは十分伝わるよ、そんな風に思った。


評価 ★★★★☆

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