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「盆唄」 [映画]

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〔2019年/日本〕


試写会で観た。


福島県双葉町に伝わる「盆唄」を
何とか後世に伝えようとする
人々を描いたドキュメンタリー。


2011年の東日本大震災以降、
多くの被災者の皆様が、
日本各地にバラバラに散るように
避難するしかなかったわけだけれど、
福島県双葉町の皆様も例外でなかった。


元住人の皆様は、
双葉町に先祖代々伝わる「盆唄」の存続が
危ぶまれると危惧していた。


そこで、歌い手や、太鼓や笛の名手たちが、
ハワイに行き、
自分たちの唄を伝える。


いつかいつか、
双葉町がかつての活気を取り戻した時、
この唄を伝えてやってほしい、と。


震災と原発事故で、
閉鎖された町の映像は、
今までにも見た事があるけれど、
何度見ても、見慣れるという事がない。


自分の町なのに、
自分の家なのに、
自由に出入りする事ができず、
閉ざされたゲートの前で、
身分証明書を提示して中に入り、
滞在できるのは5時間だけ。


元の家の周辺には、
天敵のいないイノシシの親子が
普通に歩いていて、
驚かされる。


もう生きている間に、
故郷に戻るのは無理かも、と、
人々の間には
そんな諦めムードも漂い始めているけれど、


あぁ、なんとかならないものなのか。


ラスト、
元双葉町の皆様は、
力を合わせて、
櫓を組み、
盆唄を披露する。
その場面は圧巻。


評価 ★★★☆☆

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「愛と銃弾」 [映画]

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〔2017年/イタリア〕


イタリア・ナポリの2人組の殺し屋、
チーロとロザリオは、
街の魚介王・ヴィンチェンツィオに、
用心棒として雇われている。


一方、同じナポリで暮らすファティマは、
チャーミングな看護師。


ある日、病院で、
ファティマに悪だくみを知られてしまったヴィンチェンツィオは、
チーロとロザリオに、
彼女を殺すように命令する。


ファティマを追ったチーロは、
彼女の顔を見た瞬間、驚く。
彼女は幼馴染で、深く愛し合った初恋の相手だったのだ。


かくして、
2人の逃避行が始まるが・・・。





試写会で観た。


これは面白い!
映画を観た!という満足感でいっぱい。


ストーリーは、
単純なようで、複雑で、
複雑なようで、単純で、
どう粗筋を書いていいものか、
何度も書き直した。


私の文章力だと、
なんだかハードな犯罪物みたいな
印象を与えてしまうかもしれないけれど、
それだけではなく、
ハードな中にも笑いがあり、
笑いの中にロマンスあり、
親子愛もあり、と盛りだくさんで、
とにかく楽しめる。


それから、もう一つの特徴。
それは、登場人物たちが、
突然、歌って踊り始める事。
インド映画かよ!と突っ込みたくなるくらい(笑)。


特に、チーロとファティマが再会した場面で、
ファティマが歌い出すのが、
映画「フラッシュダンス」の主題歌。
しかも、殆どフルで。
あぁ、最高。
嬉しくて、顔が笑っちゃって、
足をバタバタさせたいのを必死でこらえた(笑)。


上映前に、
翻訳家の岡本太郎さんによる
トークショーがあり、
「イタリア映画には、SFとミュージカルは殆どない」と話され、
確かにそうだなぁと思った。
つまり、この映画は、
異色な作品なのだ。


ラストのどんでん返しも面白く、
とても楽しかった。
いい映画を観て、
帰りの足取りまで軽くなった。


評価 ★★★★★

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「日日是好日」 [映画]

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〔2018年/日本〕


大学生の典子(黒木華)は、
ふとしたきっかけで、
同い年の従姉妹・美智子(多部未華子)と共に、
茶道を習い始める。


教えてくれるのは、
武田先生(樹木希林)。
凛とした先生の佇まいに、
2人は身も引き締まるような思い。


軽い気持ちで始めた茶道だが、
典子にとってそれは、
生活の一部となり、
気が付くと44歳になっていた。
24年の歳月には、
実に様々な事があり・・・。





10月13日に公開された、
この映画。


もう随分経っているし、
きっと空いているだろうと、
1月4日に観にいったのだけれど、
なんと、立ち見が多数出るほどの大盛況。


静かな人気があるのか、
それとも、正月休みで、
皆様、暇だったのか(笑)。


物語は地味だけれど、
何と言っても、
樹木希林さんの演技の素晴らしさに、
言葉もない。


樹木さんは、
もう何十年もお茶のお稽古をされているかのような、
(実際、されていたのかもしれないけど)
本当の先生のようで、
黒木華と多部未華子への教え方も、
柔らかく、
でも、その柔らかさの中に厳しさを感じるような、
本物然とした佇まい。


多部未華子は、途中で、
人生の転換期を迎え、
教室には通わなくなってしまうのだけれど、
黒木華は、24年間通い続ける。


映画は茶道と並行して、
黒木華の人生が描かれる。


私は、この映画を観ながら、
ホッとしたというか、
そんな気持ちになっていた。


というのも、
私もずっと以前に、
たった半年間だけど、
茶道の教室に通った事があって、


お稽古で、
一人ずつ順番にお茶をたててゆく中で、
私は、教わった手順を、
必死で頭で考えながらぎこちなく動くしかなく、
同じタイミングで習い始めた生徒さんたちが、
すんなりこなしているのに比べて、
自分は駄目だなぁと、
ちょっと自己嫌悪に陥った思い出があって。


でも、この映画で、
黒木さんも、多部さんも、
当たり前のように、手順を忘れたり、抜かしたりして、
樹木さんに注意されているのを見て、
「なぁんだ、あの時の私と同じだ」と思い、
もしかしたら、一緒に習っていた皆様も、
実は内心、間違えないように必死だったのかもしれない、と、
今になって、初めて気が付いたというわけで。


その時、樹木さんが、
「頭で覚えるのでなく、
 お稽古を重ねれば、体が自然に動く」というような事を仰り、
なるほど、とも思ったり。


もしも、あの時、
茶道が私の性に合っていたら、
期間限定の半年のお稽古が終わっても、
他の教室を探すなりして、
続けていただろう。
そうしたら、今ここには、
こんなガサツな私でなく、
別の私がいたかもしれない(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「バジュランギおじさんと、小さな迷子」 [映画]

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〔2015年/インド〕


パキスタンの山岳地帯で暮らす6歳の少女・シャヒーダーは、
生まれつき、声を出す事ができない。
そんな娘を心配した母は、
ご利益があると言われる、
国境を越えたインドの寺院に、
シャヒーダーを連れてお参りに行く。


ところが、その帰り道、
シャヒーダーは、母親とはぐれてしまい、
一人インドに取り残されてしまう。


そんなシャヒーダーと出会ったのが、
優しくて、お人好しのインド人・バジュランギ。
彼は、なんとかシャヒーダーをパキスタンに返そうと、
警察や領事館に連れていくのだが、
話も聞いてもらえない。


仕方なく、
自分でシャヒーダーを送り届けようと思い立ったバジュランギ。
しかし、激しく対立するインドとパキスタン、
パスポートもビザも無しに、
国境を越える事ができるのか・・・。





試写会で観た。


日本に入ってくるインド映画は、
力強い作品が多いけれど、
この映画もまた、素晴らしい。
観た夜、夢に出てきたほど(笑)。


前半は、割と平凡で、
他のインド映画との違いはそれほどない。
迷子の少女、シャヒーダーと、
彼女を助けたバジュランギの出会いが、
コメディタッチで描かれる。


突然、意味もなく歌って踊り出すのも、
いつものインド映画と同じ(笑)。
それがなかったら、160分の映画も、
もう少し短くできることだろう(笑)。
インドの皆様は、
殆どが3時間近くある映画を、
長いと思わないのだろうか。
悠久のインドは、
時間の流れ方まで違うのだろうか(笑)。


という話はさておき、


後半からが面白い。
シャヒーダーをパキスタンの自宅まで、
送り届けると決めたバジュランギなんだけど、
これが、トラブル続き。


というのも、
激しく対立するインドとパキスタンは、
国境を越えることさえ、
一般人には中々できないし、
なんとか越えられても、
スパイ容疑で、指名手配されてしまう。


本当に不勉強でお恥ずかしい話だけれど、
私は、インドとパキスタンの国境が、
あれほどの緊張感があるとは知らず、驚いた。


鉄条網が張り巡らされ、
機関銃を持った兵士が見回りをしている。
映画だからコメディタッチに描かれているけれど、
現実に、どちらかに不法入国でもしようとしたなら、
その場で射殺されそうな雰囲気。


そんなこんなで、
旅してゆくバジュランギとシャヒーダーだけど、
ラストは感動の嵐。
インド映画、侮れない。


評価 ★★★★☆

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「TAXi ダイヤモンド・ミッション」 [映画]

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〔2018年/フランス〕


パリ警察のマロ(フランク・ガスタンビド)は、
ドライブテクニックを誇る、
検挙率ナンバー1の警官だったが、
問題ばかり起こすせいで、
マルセイユ警察に左遷されてしまう。


マルセイユでは、
フェラーリなどのスーパーカーを駆使し、
宝石を盗むイタリアの強盗団が跋扈し、
警察を悩ませていた。


強盗団に対抗するには、
伝説のタクシー「プジョー407」を探し出すしかない。
マロは、「プジョー407」がある場所を知っている、
マヌケなタクシー運転手・エディ(マリク・ベンタルハ)と
組んで・・・。





試写会で観た。


「TAXI」シリーズ、5作目・・・
と書かれているけれど、
あれ?6作目では?と思ったら、
「TAXI NY」は、
ハリウッド版リメイクという扱いで、
数に入らないらしい(笑)。


ただ、私は、
おフランス製の4作より、
「TAXI NY」が一番好き。(笑)。
主演の女性ドライバー役のクイーン・ラティファが、
めっちゃカッコ良かったし。


で、本作は、
「TAXI4」から、
実に11年目の映画化。


過去の主人公・ダニエルは引退し、
その代わりに、
甥のエディが、
警察官と組んで、強盗団を捕まえる、というお話。


やっぱり、この映画、
本当の主人公は、
人間より、マシン、という事で、
“あの”タクシーが登場した時は、
お!と思い、
ボタン一つで、
タイヤや、ナンバーが入れ替わったり、
猛スピードで走る姿には、
やっぱり見入ってしまう。
ちょっと酔いそうになる(笑)。


マルセイユ警察の面子も、
超個性派で笑える。
特に女性署員が可笑しい。


それから、これはもう、
私だけの感動だと思うのだけれど、
以前に観た、
「ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走」を観て以来、
 ↓
https://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04
気になる女優さん・シャルロット・ガブリに
似ている人が、
ほんのチョイ役で出てたので、
気になって、エンドロールで確認してみたら、
やっぱり、ご本人。


嬉しいなぁ。
こんな所で、お目にかかれるなんて。


それから、上映後、
レース関連のグッズプレゼントの抽選会が行われたのですが、
DVD4枚セットが当たってしまいました。

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もう全然、そちらの方面には詳しくない私なんかが
いただいていいのでしょうか。
なんだか宝の持ち腐れのようで、
申し訳ない気持ちでいます。


評価 ★★★☆☆

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