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「ジュリアン」 [映画]

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〔2017年/フランス〕


11歳の少年・ジュリアンの両親が離婚し、
親権の問題で揉めている。
父親は、
暴力的で野卑な男で、
ジュリアンの姉に怪我をさせた事もある。


しかし、裁判所の決定で、
父親は2週間に一度の面会権を得る。
ジュリアンは父親と会う事が、
たまらなく嫌なのだが、
どうする事もできない。


父親はジュリアンを脅し、
ジュリアンたちの新しい住所を聞き出し、
家に乗り込んできて・・・。





試写会で観た。


辛くて辛くて、
途中で席を立ちたいくらい辛くて、
気が変になりそうだった。


少年・ジュリアンは、
暴力的な父を嫌い、
母や姉を守りたいと思っているけれど、
彼はまだ、たったの11歳。


もう少し大きければ、
そんな父に対処のしようもあるんだろうけど、
脅されて、新居の鍵を無理矢理奪われても、
逃れる術がない。


この、気違いじみた、
ストーカーのような男は、
一体どういうつもりで、
元妻や、子どもたちを苦しめるのか。


裁判所では、
いかに自分が子供たちを愛しているかを訴え、
面会権を得るけれど、
あれが、愛する者に対する態度なのか。


そんな男を、
どんな親が育てたのか、顔が見たいと思ったけれど、
両親は意外と真っ当で、
息子を激しく叱る。
「お前がそんなだから、
家族に逃げられるんだ」と。
結局、本人の資質の問題なのだろう。


そして、ラスト。
映画的には、
とりあえず、一段落するんだけど、
あれが現実なら、
人生はずっと続いてゆく。


もうジュリアンたちは、
父親とはまるで縁のない場所で
暮らした方がいい。
生涯会ってはならない。
ああいった人間は、
1を許すと、残りの99まで許されたと思ってしまうような気がする。


上映前に、
子役繋がりという事で、
寺田心くんのトークショーがあった。

oshoshiki.jpg

心くんは、この映画について、
「好きという感情を間違えると、悲しい事になる」みたいな、
立派な感想を披露。


さらに、
トークショーが終わったあと、
スタッフさんより先に、
小道具を片付け始めてビックリ。


私なんかより、ずっと人間ができてるわ(笑)。


評価 ★★★★☆

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「女めくら物語」 [映画]

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〔1965年/日本〕


鶴子(若尾文子)は、
16歳の時、病で視力を失った。


絶望した彼女はしかし、
按摩の勉強をし、
努力の甲斐もあって、
指名客も増え、
忙しい日々を送るようになる。


そんなある日、
石段で転びそうになった彼女を支えてくれた、
木越(宇津井健)という男。
鶴子は木越に淡い恋心を寄せるようになる。


しかし、その後、事業に失敗した木越は
姿を消し・・・。





若尾文子さんが、
盲目の按摩を演じているのだけれど、


同じ大映の、
勝新太郎さんの「座頭市」のような、
仕込み杖を持ち歩いているのではなく、
あくまでも、女、
女の中の女、を演じている。


大映といえば、
この映画、
「座頭市」とは違った意味で、
実に大映らしい。
だって、男女問題がぐちゃぐちゃ(笑)。


若尾さんが住み込む按摩院に、
糸子という若い女が
働くようになるのだけれど、
この女が、見事なあばずれで(笑)。


糸子は、
院長演じる中村鴈治郎さんと出来上がってしまい、
昼間から乳繰り合い
(すみません、女が書く言葉ではないですね(笑)。
 でも、他に書きようがない感じなので)
鴈治郎さんの妻は嫉妬でキリキリしている。


若尾さんも、
宇津井さんが姿を消したあと、
按摩院に入ってきた男に、
騙されて連れ込み宿に連れ込まれたりしてる。


こやつは、
出てきた時から胡散臭くて、
そしたら、
やっぱり正体を現す。


この映画、
若尾文子映画祭などでも、
なかなかかからない。
やっぱり「めくら」がだめなのだろうか。
結構面白いのに、勿体ないな。
若尾さんが、
一番美しい頃に撮られた映画という気がするのに。


薄幸な若尾さんだけど、
ラスト、
一つだけ、ホッとできる事があって、
胸を撫で下ろす。


評価 ★★★★☆





この作品で、
若尾文子さんの出演映画、160本中121本を観た事となりました。


(★は観た作品)


★春の雪 (2005)
★竹取物語 (1987)
★ある映画監督の生涯 溝口健二の記録 (1975)
 幻の殺意 (1971)
★男はつらいよ 純情篇 (1971)
★スパルタ教育 くたばれ親父 (1970)
 座頭市と用心棒 (1970)
★天狗党 (1969)
★千羽鶴 (1969)
★濡れた二人 (1968)
★積木の箱 (1968)
★不信のとき (1968)
★鉄砲伝来記 (1968)
★華岡青洲の妻 (1967)
★砂糖菓子が壊れるとき (1967)
★妻二人 (1967)
★夜の罠 (1967)
★雪の喪章 (1967)
 処女受胎 (1966)
★赤い天使 (1966)
★雁 (1966)
★氷点 (1966)
★処女が見た (1966)
★刺青 (1966)
★妻の日の愛のかたみに (1965)
★不倫 (1965)
★清作の妻 (1965)
★帯をとく夏子 (1965)
★女めくら物語 (1965)
★波影 (1965)
★花実のない森 (1965)
★幸せなら手をたたこう (1964)
 悶え (1964)
★卍(まんじ) (1964)
★獣の戯れ (1964)
★傷だらけの山河 (1964)
★「女の小箱」より 夫が見た (1964)
★温泉女医 (1964)
★新・忍びの者 (1963)
★越前竹人形 (1963)
 女が愛して憎むとき (1963)
★わたしを深く埋めて (1963)
★女系家族 (1963)
 八月生れの女 (1963)
★雪之丞変化 (1963)
★しとやかな獣 (1962)
★秦・始皇帝 (1962)
★瘋癲老人日記 (1962)
★その夜は忘れない (1962)
★やっちゃ場の女 (1962)
★仲よし音頭 日本一だよ (1962)
★閉店時間 (1962)
★爛(ただれ) (1962)
★雁の寺 (1962)
★家庭の事情 (1962)
★妻は告白する (1961)
★新源氏物語 (1961)
★銀座のぼんぼん (1961)
★女は二度生まれる (1961)
★女の勲章 (1961)
★東京おにぎり娘 (1961)
★好色一代男 (1961)
★お嬢さん (1961)
★婚期 (1961)
★花くらべ狸道中 (1961)
★銀座っ子物語 (1961)
 素敵な野郎(1961)
 鎮花祭 (1960)
★偽大学生 (1960)
★安珍と清姫 (1960)
★勝利と敗北 (1960)
★ぼんち (1960)
★からっ風野郎 (1960)
★女は抵抗する (1960)
★女経(じょきょう) (1960)
★初春狸御殿 (1959)
★浮草 (1959)
 実は熟したり (1959)
★美貌に罪あり (1959)
 花の大障碍 (1959)
★次郎長富士 (1959)
★氾濫 (1959)
★山田長政 王者の剣 (1959)
★薔薇の木にバラの花咲く (1959)
★最高殊勲夫人 (1959)
★あなたと私の合言葉 さようなら、今日は (1959)
 新婚七つの楽しみ(1959)
★母(1958)
★娘の冒険 (1958)
★夜の素顔 (1958)
 嵐の講道館(1958)
★一粒の麦 (1958)
★息子の結婚 (1958)
★口笛を吹く渡り鳥 (1958)
★愛河 (1958)
★忠臣蔵 (1958)
★螢火 (1958)
★東京の瞳 (1958)
 妻こそわが命(1958)
★青空娘 (1957)
★夕凪 (1957)
★誘惑からの脱出 (1957)
★永すぎた春 (1957)
★朱雀門 (1957)
★慕情の河 (1957)
 続銀河の都 (1957)
★スタジオはてんやわんや (1957)
 銀河の都 (1957)
 君を愛す (1956)
★四十八歳の抵抗 (1956)
★日本橋 (1956)
★涙 (1956)
 スタジオは大騒ぎ (1956)
 あさ潮ゆう潮 (1956)
★滝の白糸 (1956)
★処刑の部屋 (1956)
★新婚日記 恥ずかしい夢(1956)
★新婚日記 嬉しい朝(1956)
★赤線地帯 (1956)
★虹いくたび (1956)
★新妻の寝ごと (1956)
★花嫁のため息 (1956)
 薔薇の絋道館 (1956)
★弾痕街 (1955)
 七人の兄いもうと (1955)
★珠はくだけず (1955)
★長崎の夜 (1955)
★幻の馬 (1955)
 娘の縁談 (1955)
★薔薇いくたびか (1955)
★月に飛ぶ雁 (1955)
 幸福を配達する娘 (1955)
★螢の光 (1955)
 勝敗(1954)
 荒城の月 (1954)
★月よりの使者 (1954)
 緑の仲間 (1954)
★浅草の夜 (1954)
 慕情 (1954)
★舞妓物語 (1954)
★酔いどれ二刀流 (1954)
★或る女 (1954)
★心の日月 (1954)
 十代の誘惑 (1953)
 無法者 (1953)
 続続十代の性典 (1953)
 春雪の門 (1953)
★祇園囃子 (1953)
 続十代の性典 (1953)
 チャタレー夫人は日本にもいた (1953)
 怒れ三平 (1953)
★十代の性典 (1953)
 彼女の特ダネ (1952)
 街の小天狗 (1952)
 秘密 (1952)
 明日は日曜日 (1952)
 花嫁花婿チャンバラ節(1952)
★母子鶴 (1952)
 猛獣使いの少女 (1952)
★死の街を脱れて (1952)

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「ファインディング ベイビーパンダ くしゃみパンダを探せ!」 [映画]

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〔2015年/オーストラリア〕


オーストラリアのある動物園で働く、
女性動物学者・マーニーは、
ネットで大人気になっている、
「くしゃみをするパンダ」を招致しようと、
中国に行く。


中国を探し回り、
やっと見つけた、くしゃみパンダ・チーチー。


しかし、チーチーを狙って、
他の国からも、
沢山の人が中国に押し寄せてきていた。
果たしてマーニーは、
チーチーをオーストラリアに連れて帰れるのか・・・。





上野動物園のシャンシャン好きが高じて、
観てみたこの映画だけど、
ストーリーについては問うまい(笑)。


某映画サイトでは、
B級、C級ならぬ、
Z級と書かれている方までいる(笑)。


なにせ、オーストラリアから中国に、
「くしゃみパンダ・チーチー」を探しにきた女性動物学者が、
なんと、町ゆく人々にチーチーの写真を見せ、
「すみません、このパンダ知りませんか?」と尋ねて回るという出だし。
知るか!(笑)。


でも、そんな事はどーでもいい。
そもそも、このマーニーなる女性は、
あまり出てこず、
映像の7割は、
中国パンダ保護センターでの、
パンダの様子が描かれる。


パンダ保護センターの映画といえば、
先日観た秀作、「パンダフルライフ」があるけれど、
 ↓
https://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2018-08-18
こちらも、
かなり自然の中で暮らすパンダが見られる。


草の中で転がったり、
木に登るパンダを見ていると、
「あぁ、シャンシャンがここにいたら、
 お転婆で活発なあの子のこと、
 どんなにか喜ぶだろう」と思ってしまう。


それから、1930年代、
アメリカやイギリスに連れて行かれたパンダの、
貴重な映像も見られる。
ただ、それはとても悲しい。


まだ、動物を愛護する精神などない時代だったのだろう、
イギリスでは、
パンダは、小馬鹿にしたような人々に追い回され、
怒って、逆に人間を追いかけている。
可哀想すぎる映像。


もちろん、そんな悲しい歴史は過去の事。
パンダセンターのパンダは、
どの子も可愛いし、
時に、とても獰猛な様子を見せたりもする。
これがパンダの自然の姿なのだなぁと思う。


こういう映画を観ていると、
生きている間に、一度でいいから、
森林で暮らすパンダを見てみたい、という気持ちになってくる。
私の「死ぬまでにしてみたいことリスト」に加えておこう(笑)。


評価 ★★★☆☆

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「かぞくわり」 [映画]

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〔2019年/日本〕


奈良県大和高田市で暮らす家族。
頼りない父・小日向文世
マルチ商法にハマる母・竹下景子
38歳で定職に就いていない長女・陽月華。


そこへ、プロ野球選手と結婚して、
東京で暮らしていた次女・佃井皆美が、
中三の娘・木下彩音を連れて帰ってくる。


佃井は、だらしない実家にイラつき、
散らかった部屋のものを全て捨ててしまう。
それを回収に来た粗大ごみ収集車の青年と陽月華が
出会った時、
何かが変わってゆく・・・。





2年前、奈良県の葛城地区を舞台にしたご当地映画、
「天使のいる図書館」を観にいきましたが、
 ↓
https://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2017-02-19
本作は、「葛城地区ご当地映画」
第2弾という位置付けでいいのでしょうか。


1月19日の初日に、
早速観に行ってきました。


天使のいる図書館が、
リアルで等身大の女の子が主人公だったのに対して、
こちらは、ちょっと不思議なお話し。


なにせ、主人公を演じる陽月華さんが、
1300年前の、伝説の中将姫の生まれ変わりで、
粗大ごみの収集をしている青年が、
大津皇子の生まれ変わりという設定。


ラスト近くになると、
話はどんどん不思議さが増してくる。


ただ、タイトル通り、
これは家族の再生の物語でもあって、
「生まれ変わり」のエピソード以外の場面は、
ちょっと溜息が出ちゃうような展開。


なにせこの家族、
家族というのは名前だけの、
ただの人間の集まりで、
各人がそれぞれ、
好きな事をしている。


例えば長女は、夕飯のおかずが好みでないのか、
ほぼ毎食、カップ麺を食べるシーンが映し出される。
父は、母がマルチ商法にハマっていても、
何も言わない。
まぁ、あの母の様子では、
何を言っても、聞く耳は持たないだろうけど。


それから、もう一つ、
重要なのが、
粗大ごみ収集青年がリーダーをしている、
ヒッピーのコミューンみたいな穴倉。
陽月華と木下彩音は、
ここに入り浸るようになって、
特に若い木下は、
何かに憑りつかれたようになってしまって。


・・・って、私の文章力じゃ、
なんだか意味が分からないですよね(笑)。
書いていても、分からないし(笑)。


そにかく、そんな映画です。


評価 ★★★☆☆

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「アクアマン」 [映画]

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〔2018年/アメリカ〕


政略結婚から逃げ出した、
アトランティス帝国の王女・アトラナ(ニコール・キッドマン)は、
人間の灯台守・トムに助けられ、
いつしか2人は恋に落ちる。


2人の間に生まれた子・アーサー(ジェイソン・モモア)は、
人間と海底人のハーフではあるが、
海中で息もでき、
会話もでき、
水圧も、冷水も平気。
そんな彼を、人は「アクアマン」と呼んだ。


そんな中、
街を大津波が襲う。
それは地上征服を狙う、
アトランティス王の仕業だった・・・。





試写会で観た。


深い海の奥深くは、
まだまだ未知の領域で、
この映画のように、
人間に知られていない世界があっても
不思議ではないのでは、と、
そんな気にさせられる。


アクアマン。
人間と、
海底人との間に生まれたハーフ、という設定が、
ちょっと笑える。


人間の血が半分という事は、
彼の海でのパワーも半分になってしまうのでは?と
それが気になったけど、
そのような事はなく、
むしろ、
地上でも、海中でも、
不死身の力を発揮できる、
ダブルの力を備えたらしい(笑)。


そんな彼が大活躍する本作。
闘いの場面が多いので、
時間が経つのがあっという間。


ほぼ全編、CGだけど、
CGでなければ描けない世界観もあるし、
海の生き物たちが、
アクアマンに従う、というのも、
CGならでは面白さ。


この映画、
4Dになるのだろうか。
4Dで観たら、凄いだろうなぁ(笑)。
 ↓
https://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2018-12-19
ずっと水かぶりっぱなし?
最後は、ビシャビシャになりそう(笑)。
アクションも凄いので、
椅子は動きっぱなしだろうし(笑)。


それにしても、
冒頭の、アクアマンの両親が
出会う場面が、
可愛くていい。
海で出会う2人、なんだかロマンティック。


もちろん、現実に、
海底人と出会うことは無理だけど(当たり前だ(笑))
初めてのデートで、
水族館にいったカップルは、
きっとその後の交際も上手くいく・・・
ような気がする(笑)。


評価 ★★★☆☆

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