「少年死刑囚」 [映画]

〔1955年/日本〕
18歳の垂井浩は、
自分の祖父母と叔父夫婦の
4人を殺害し、
死刑判決を受けている。
幼い頃、
母は、叔父夫婦にいたぶられた挙句、
家を追い出され、
浩は祖父母に育てられた。
成長し、母を訪ねると、
今度は、母の再婚相手から、
酷い扱いを受け、
次第にグレていったのだ。
刑務所内でも反抗的な浩だったが、
薦められた本を読むうちに、
次第に心穏やかになり、
面会に来た母とも、
笑顔で会えるようになる。
もう「その日」は怖くない。
浩は覚悟を決め、
悟りを開いたような気持ちでいた。
そして、ついに、
執行が告げられ・・・。
人が一人、死刑になる。
それは大変な事だと思うし、
遺族にしてみたら、
憎んでも憎み足りない犯人だろうけど、
この映画の少年死刑囚・浩の生い立ちを思うと、
胸が締め付けられる。
特に、婚家を追い出された、
母との別れの場面は、
涙なくしては観られない。
最愛の母を、
これでもかといじめる、
叔父夫婦の嫌ったらしさ。
憎しみが湧くのも、当然な気がする。
しかし、この映画、
ラストで、思わぬ展開になる。
こんな古い映画、
誰も観ないだろうから、
ネタバレしてしまうけど、
ついに、死刑執行の日を迎えた浩は、
勉強のおかげで、
心乱れる事もなく、
静かに刑場に向かう。
しかし、寸でのところで、
恩赦の報があり、
死刑から、無期懲役へと刑が軽くなってしまうのだ。
すっかり死ぬ気になっていた浩は、
暴れ出し、
「死なせてくれー! 死なせてくれー!!」と。
本来なら、命が助かったのだから、
喜ばしい場面なはずなのに、
ちょっと、その気持ち、
分かるなぁと。
今の浩の状況で死刑になるのと、
刑務所で、死ぬまで過ごすのと、
どちらがマシなのか。
実に複雑で、考えさせられるラストだった。
評価 ★★★☆☆
命とは?生きるとは?置かれた状況が絡み考えさせられます
複雑なラストに心穏やかにとは何か考えさせられます
by ムサシママ (2024-12-19 13:29)
薦められた本を読むうちに、次第に心穏やかになり、
そんなことが不良少年の身に起きるんでしょうか。
と、本心は、んなことあるわけないワルはワル、性根が腐っとる。
おそらく一般市民がそう考えるのは妥当だと思います。
でもね、「そんなこと」って起きちゃうことがあるのです。
だから、教師になった時、積極的にワルを担当しました。
性根の腐った奴には、スクラップ工場長として働きました。
でも多くのワルのレッテルを張られた連中、腐っちゃいない。
やっちゃったことはケジメをつけろ、です。
そして手をかけてやれば、再生工場長の任務を全うさせてくれます。
ただ、4人殺して無期懲役でラッキーではないです。
どんなことでもケジメをつける、責任を取る。
だからこそ、死刑に恩赦で無期懲役は、残酷な話でしかありません。
ケジメをつけさせてやらなきゃね。
by tommy88 (2024-12-19 13:29)
人の心の動きって複雑ですね。
私の母も大舅小姑に残酷なまでにいじめられ、
父親が戦後軍から生きてかえってきて、少しだけど
助けてくれたようですが、母は苦労の上、
晩年私たちに支えられて生き、最後は幸せだったと思います。
どうして、こんな残酷なことができるのか不思議です。
by 風の友 (2024-12-19 14:11)
なんとも言えませんね
でも死刑でなく無期懲役になったということ
安堵感を感じます。命のある人を死刑にするのは
私は反対です。
本人に無期懲役は耐えられないことなのでしょうか。
by kiyotan (2024-12-19 17:58)
無期は『生き殺し』または『生殺し』ですから、生きる苦しみを味わいながら死ぬまでの刑を執行される。
20年だろうが30年だろうが生きている間は刑の執行期間。
死刑はその苦しみから一瞬で解き放たれる。
ある意味罪からの逃避にも似た。
by kame (2024-12-19 21:27)
浩・・・過酷な人生だ(´;ω;`)
家族に対する非難やいじめは、自分がされるより辛いだろうと思います。
刑務所の中で成長した浩。
「その時」が宣告され、終わる…と思いきや、「ラストで、思わぬ展開になる。」という実花さんのナレーションが!!
気になるー!と思っていたらネタバレしてくれた(*^^*)
実花さんありがとうございます(*^^*)
なるほど、そういう展開か…。
思わぬラストに、考えさせられますね。
その後の浩がどうなったのかも気になる(´・ω・`)
続編ないのかな( ゚Д゚)
by ミケシマ (2024-12-20 00:28)
主人公が幼き頃の背景は十分に考えられます。家督を継ぐ者が亡くなったのは嫁のせいだと思う爺夫婦、家督(兄)が死んだのだから弟のオレが家の財産を頂く、なので兄嫁とその子が邪魔...(>_<)
判例など学んだことは有りませんが、4人も殺した主人公は死刑として罰せられるとしても、主人公をそこまで至らしめた4人も罰せられるべき。でも4人は既に罰せることは出来ないので、主人公は情状酌量で20年か30年としたいです。当時の法曹界は、作者も死刑相当という認識だったのでしょうかねぇ。金欲しさの凶行じゃないのに。
by yokomi (2024-12-20 02:26)
生まれてくるものは、環境を選べない。
自分を置き換えると、自信が持てませんね。
同じ道を歩むかも、、、、、
by よしあき・ギャラリー (2024-12-20 06:04)
重罪をずっと背負ったまま刑務所の中で生涯を終える・・・恩赦を受けた時の浩にとって、その先に続く苦悩の方がツラいと思われたのですね。
映画の話しではありますが、そこからまた浩が立ち上がって行く事を願ってしまいました。
by Rinko (2024-12-20 07:58)
生きるも地獄、死ぬも地獄。
by 拳客 (2024-12-20 11:07)
少年死刑囚ってありえないですよね
少年はそもそも罪に問われず、更生目的の少年院とかになるはずなので。
今は18歳が成人だから、もう少年扱いではないけれど。
最後「死なせてくれ」という事自体、もう更生しているって事なのでしょう
ネタばれしてくれてありがとうございます。
でないと気になってしまいます(*_*;
by わたし (2024-12-20 23:56)
いかに生きるかということはいかに死ぬかということ。いかに死ぬかということはいかに生きるかということ。とてもとても難儀なことです。
by しゅん (2024-12-21 07:17)
私が昔、少年死刑囚だった頃…、
父親は中年死刑囚で、
祖父は後期高齢死刑囚だった。
わかるかな…わっかんねぇだろうなぁ。
残酷だ!野蛮だ!未開の生き物かよ!と、
死刑を反対される方もおられます。
確かに・・・。
これだけ裁判の判決が次々とひっくり返る
世の中ですから、冤罪により本当は罪を
犯していないのに、死刑判決を受けたのでは
ないか・・・?そう思えるケースも出て来る
ハズです。
その疑わしきままに人をそのまま、死刑台に
送り込んでよいものでしょうか?
そのためらいが収監を無駄に長引かせてしまい、
死刑判決を受けながら、刑務所で老衰で
亡くなってしまう…そんな事態になっています。
その人々はいつ死刑になるか、今日か、明日か?
ひょっとして来月の3日か?と怯えて日々を
過ごす訳です。これもまた残酷な事です。
しかし私は死刑制度の撤廃、廃止には反対です。
死刑があるからこそ、手を血に染めない人も
多いはずなのです。
この私がそうなのですから。
私はこの世の中で絶対に許せない、
この手で始末したい人間が3人います。
しかし、これを手にかけてしまうと確実に
死刑判決が下ります。
3人ともに息の根を止められたなら、
それで満足なので怖れるものはなにもないの
ですが、もしひとりでも失敗したら?
死刑になるその日まで私は悔やみ続けること
でしょう。
なのでお願いです。
青山実花さん、死刑廃止の署名には協力しないで
ほしいのです。青山実花という名前には、
ひとりで1万筆の効果があると聞きました。
私を捕まえさせないためにお願いします。
もし、明後日にでも死刑が廃止されたら・・・?
ヒャッハー!!となった私は確実に実行に
移すことでしょう。
by 裏・市長 (2024-12-21 16:44)
映画の内容と考察、どちらも非常に興味深かったです!少年の生い立ちや複雑な感情に深く共感しました。ラストの展開に驚きつつも、命の重さや罪の償いについて考えさせられました。
by かずい (2024-12-21 19:28)