「バジュランギおじさんと、小さな迷子」 [映画]
〔2015年/インド〕
パキスタンの山岳地帯で暮らす6歳の少女・シャヒーダーは、
生まれつき、声を出す事ができない。
そんな娘を心配した母は、
ご利益があると言われる、
国境を越えたインドの寺院に、
シャヒーダーを連れてお参りに行く。
ところが、その帰り道、
シャヒーダーは、母親とはぐれてしまい、
一人インドに取り残されてしまう。
そんなシャヒーダーと出会ったのが、
優しくて、お人好しのインド人・バジュランギ。
彼は、なんとかシャヒーダーをパキスタンに返そうと、
警察や領事館に連れていくのだが、
話も聞いてもらえない。
仕方なく、
自分でシャヒーダーを送り届けようと思い立ったバジュランギ。
しかし、激しく対立するインドとパキスタン、
パスポートもビザも無しに、
国境を越える事ができるのか・・・。
試写会で観た。
日本に入ってくるインド映画は、
力強い作品が多いけれど、
この映画もまた、素晴らしい。
観た夜、夢に出てきたほど(笑)。
前半は、割と平凡で、
他のインド映画との違いはそれほどない。
迷子の少女、シャヒーダーと、
彼女を助けたバジュランギの出会いが、
コメディタッチで描かれる。
突然、意味もなく歌って踊り出すのも、
いつものインド映画と同じ(笑)。
それがなかったら、160分の映画も、
もう少し短くできることだろう(笑)。
インドの皆様は、
殆どが3時間近くある映画を、
長いと思わないのだろうか。
悠久のインドは、
時間の流れ方まで違うのだろうか(笑)。
という話はさておき、
後半からが面白い。
シャヒーダーをパキスタンの自宅まで、
送り届けると決めたバジュランギなんだけど、
これが、トラブル続き。
というのも、
激しく対立するインドとパキスタンは、
国境を越えることさえ、
一般人には中々できないし、
なんとか越えられても、
スパイ容疑で、指名手配されてしまう。
本当に不勉強でお恥ずかしい話だけれど、
私は、インドとパキスタンの国境が、
あれほどの緊張感があるとは知らず、驚いた。
鉄条網が張り巡らされ、
機関銃を持った兵士が見回りをしている。
映画だからコメディタッチに描かれているけれど、
現実に、どちらかに不法入国でもしようとしたなら、
その場で射殺されそうな雰囲気。
そんなこんなで、
旅してゆくバジュランギとシャヒーダーだけど、
ラストは感動の嵐。
インド映画、侮れない。
評価 ★★★★☆