「バハールの涙」 [映画]
〔2018年/フランス〕
戦場ジャーナリスト・マチルドは、
中東の紛争地域を取材する中で、
女性だけの戦闘部隊「太陽の女たち」の
リーダー格の女・バハールと知り合う。
バハールは、
フランス語も話せる知的な女で、
兵士になる前は、弁護士だったという。
家族と幸せに暮らしていたバハールは、
ある日、突然、家に押し入ってきたISの兵士たちに、
夫や父を殺され、
幼い息子は連れ去られ、
自分や妹は、
IS兵士の、性の慰み者として拉致される。
監禁されていた家から
命からがら逃げ出したバハールたち女は、
息子を取り戻すべく、
「太陽の女たち」を結成し、
今、ISに立ち向かっているのだ・・・。
実話だそうだ。
突然やって来たISの兵士たちに襲われ、
家族をめちゃくちゃにされた、
主人公のバハールだけど、
この時、ISが襲ったのは
バハールの家だけでなく、
無数のクルド人たちが同様の目に遭い、
大人の男は殺され、
少年は戦闘要員として、連れ去られ、
それから、拉致された女は、
なんと、7,000人にものぼったという。
でも、女だって泣いてるだけじゃない。
女だけで結成した戦闘部隊で、
男となんら遜色なく、
ISと立ち向かってゆく姿は、
強いの一言。
「女に殺された男は、天国に行けない」。
この、
女を舐めてんだか、恐れてんだかよく分からない
言い伝えを
ISの連中は本気で信じていて、
だから、バハールは戦闘でISの兵士を殺したあと、
兵士のポケットで鳴っていたケータイに向かって言う。
「お前の兄は、今、あたしが殺してやったよ」と。
まだ女兵士になる前、
ISに監禁されていた家から、
バハールたちが決死の思いで逃げ出した場面の
緊張感ったらない。
見つかれば確実に殺される。
そんな状況の中、
なんと、一人の女が産気づく。
今、産んではならない。
ここで出産したら、間違いなく見つかってしまう。
その女性は、
耐えて耐えて耐えて耐えて、
100%安全と言われる場所に辿り着いた途端、
その場で出産。
壮絶な場面だった。
仮に、仮にだけど、
もしも、第三次世界大戦が始まり、
日本も参戦するとしたら、
その時は、
男女の別は関係なく、
平等に戦地に行かされるだろう、という説を
何かで読んだ事がある。
そんな事にならないためにも、
当たり前の事だけど、
戦争は絶対にしてはならない。
評価 ★★★★☆