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「チャッピー」 [映画]

chappie.jpg
〔2015年/アメリカ・南アフリカ〕


凶悪犯罪に悩まされる南アフリカの首都ヨハネスブルグでは、
人工知能を搭載したロボット警官を導入し、
犯罪抑止に効果をあげる。


その開発者・ディオン(デーヴ・パテル)は、
より人間に近いAIの開発に成功し、
極秘にロボットを作成しようとするが、
ストリートギャングに誘拐されてしまう。


ギャングに脅されながら、
作成したロボットは、
「チャッピー」と名付けられる。
ギャングたちはチャッピーを使い、
現金輸送車を襲おうと計画しているのだ。


ギャングたちが教えることを、
次々吸収してゆく「チャッピー」。
しかし、自身のバッテリーが
残り数日しかない事を知り、
絶望する。


一方、ディオンの才能に嫉妬する
同僚・ヴィンセント(ヒュー・ジャックマン)は、
チャッピーが搭載するAIを盗み出そうとするが・・・。





何とも可愛らしいロボット。
まず、名前がいい。
「チャッピー」って、日本語にも通じるような、
お茶目な愛らしさがある。
ソニーの映画だから、狙って付けた?
とも思ったけど、
まぁ、偶然なのだろう。


そして、その名前の通りのような、
仕草も可愛くてたまらない。
いや、見た目は普通のごついロボットなんだけど、
彼が少しずつ能力を付けてゆく過程が、
まるで子供の成長を早送りを見ているようで、
その愛らしさに目を見張ってしまう。


まぁ、お話はそんな呑気なものではなく、
犯罪都市の恐ろしさや、
嫉妬心やらが渦巻いているのだけれど、
それでもどこか、可笑しみがあるというか、
クスクス笑ってしまう場面も多い。


舞台をヨハネスブルグにしたのがより効果を上げている気がする。
あの都市の、まったく得体の知れない感が、
余計に面白さを煽ってるし、
リアルな感じを醸し出している。
アメリカが舞台だったら、ただのSF映画になっていたかも。


ヒュー・ジャックマンが悪役というのも、
私にはちょっと珍しくて、面白かった。
予備知識も殆どないまま観たので、
彼が出ている事も知らず、
「似てるなー、でもこんな嫌な役、彼がするかしら」みたいな気持ちで、
半信半疑な感じだった。
途中からは、間違いなくジャックマンだと確信したけれども。


チャッピーの動きを演じているのはシャルト・コプリー。
彼は以前、「特攻野郎Aチーム」のレッドカーペットで、
生のお姿を見ているので、
他人とは思えない(笑)俳優さん。
http://aomikamica.blog.so-net.ne.jp/2011-02-08


予告で、彼の名前が一番最初に出てくるのに、
その姿が見えなくて、
一体何役?と思っていたけれど、
なるほど、ロボットじゃ分からないはずだわ(笑)。


それにしても、
人工知能を搭載したロボットって、
現実にどうなんでしょ。
その開発は、
いつか人類にとって、脅威の存在になるとの記事を
読んだこともあるけれど。
私にはまだ、ちょっと判断が付かないや。


評価 ★★★★☆

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「憎いあンちくしょう」 [映画]

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〔1962年/日本〕


北大作(石原裕次郎)は、
分刻みで仕事をこなす人気タレント。
彼には、マネージャー兼恋人の典子(浅丘ルリ子)がおり、
スケジュールの管理は、
全て彼女がこなしている。


2人の関係はもう2年も続いているが、
最初から、キスも、それ以上の事もしないという約束で、
それはきちんと守られてはいる。
ただ、最近はなんだか倦怠期な感じ。


ある日、新聞広告に、
「ジープを九州まで運転してくれる人募集。ただし無報酬」
と書かれた記事を見つけた大作は、
興味を覚え、
広告主の女・美子(芦川いずみ)に会う。


美子は、
ジープを九州に住む恋人に届けてほしいのだと言う。
無医村で働く恋人とは、
2年以上も会っていないが、
2人の絆は本物だと説明される。


テレビのトーク番組に美子を無理矢理出演させた大作は、
彼女の、愛についての考え方を聞かされ、
つい言ってしまう。
「ジープは俺が運ぶ!」、と・・・。





面白いなぁ、
ちょっと考えられない、
石原裕次郎と浅丘ルリ子の関係。


2人は派手な芸能界にいながら、
2年も付き合っていて、
キスもしていないと言う。


現代の感覚からいうと、
「それって付き合ってるの?」と、
そこから疑問だけど、
時代が違うんだろうなぁ。


一度石原が、浅丘をかなり強引に
ベッドに押し倒すのだけれど、
それでも彼女は頑なに拒否。
うーん、よく分からん。
石原はまるで、お預け食らった犬のようだよ(笑)。


まぁ、メインはそんな所ではなく、
ジープを東京から九州へ運ぶ石原の
ロードムービーにあるんだけど、


そんな彼を、
ジャガーのオープンカーで追いかける浅丘の、
そのしつこさったら、ストーカー並(笑)。
私ならもうほっとくな。
家で待ってた方が楽だし。
(そういう問題じゃないか(笑))


テーマは、
本物の愛と、
本物じゃない愛って事だと思うけど、
そんな違い、分かる人がいるのかしら。


評価 ★★★☆☆

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「その人は遠く」 [映画]

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〔1963年/日本〕


一浪中の山内賢は、母と2人で、
父の残してくれた屋敷に住みながら、
勉強に励んでいる。


そんなある日、
両親を亡くした遠縁の娘・芦川いずみが
山内の家に住む事になる。
年上の美しい芦川に、
山内は淡い恋心を抱くようになる。


大学に合格した山内だが、
ほどなくして、芦川に見合いの話が持ち上がり、
ショックを受ける。
相手の男は、山内の目にも品性に欠け、
芦川に相応しい男とはとても思えない。


それでも、大阪に嫁に行ってしまう芦川。
夏休みに遊びに行った山内は、
ほんの数か月の間に、
芦川まで品が悪くなったことに驚き、
早々に戻ってくる。


そんな中、山内の母親が、
路上で倒れて亡くなってしまう。
その場に居合わせた和泉雅子と
親しくなる山内だが・・・。





日活の青春ものの一つには違いないんだけど、
一人の青年の成長期として、
なかなか面白かった。


浪人中の男の子・山内賢の家に、
突然暮らすことになった、少し年上の美しい女。
勉強も追い込みだというのに、
落ち着かないったらありゃしない(笑)。


その彼女・芦川いずみは、
無邪気に夜食を作ったりして、
山内を励ますけど、
山内にしたら、気が散って仕方がなく、
むしろ邪魔になってる気がする(笑)。


山内の母親が素晴らしくて、大好き。
山内と芦川が微妙な空気になっても、
色眼鏡で見るような事は全くなく、
2人の事を心から好きで、
信頼しているように感じられる。
すんごく良い母。


山内も、爽やかな好青年だから、
いいのでしょうね。
彼は勉強が相当に出来るらしく、
母は、受験に関しても、
特別心配しているようには見受けられない。
話の流れからしても、
「大学には受かるんだろうな」、と予測できて、
安心して観ていられる。


和泉雅子が出演者になっているので、
待っていたのだけれど、
なかなか出てこない。


やっと出てきた彼女は、
山内を仄かに好きなるけれど、
そうなると気になるのが芦川の存在。
何かと対抗意識を燃やすけれど、
年上の女の魅力には勝てないのが、
観ているこちらにも分かる。


当時の東京の様子が見られるのも楽しい。
渋谷の道路が舗装されていないのにはビックリ。
まだビルが林立している様子もないし。


評価 ★★★☆☆

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「かぞくのくに」 [映画]

kazokunokuni.jpg
〔2011年/日本〕


1970年前後の、北朝鮮への帰国事業により、
長男ソンホ(井浦新)を16歳で単身移住させた家族。


しかし、ソンホは今、
脳腫瘍を患っている。
彼(か)の国の医療技術では治療が難しく、
日本の病院で診察を受ける為、
ソンホは25年ぶりに帰国する。


ソンホとの再会を心待ちにしていた家族は歓喜し、
3ヶ月という期間限定の間、
充実した時を過ごそうと、
心を砕く。
しかし家の前には、北朝鮮から同行した男が、
常に監視をしている。


病院に行ったソンホは医師から、
「治療は不可能ではないが、3ヶ月では無理」だと言われてしまう。
そして、さらに残酷な通達が、
北朝鮮本国から送られてくる・・・。





見始めた時、
「こんな事って本当にあるのか」と、
疑うのとはまた違う、戸惑いの気持ちでいっぱいになった。
人は自分の理解の範疇を越えた事を見聞きすると、
無意識に、信じたくないという思いに捕らわれるようだ。


しかし、観終わって、色々調べるに、
これは実話だという。
監督のヤン・ヨンヒ氏は在日朝鮮人2世。
今までドキュメンタリー映画を手掛けてきたかたで、
ご自身の次兄の事を描いた作品であると。


まずは、何がショックって、
知らなかったとはいえ、
大切な息子を齢16歳で、
単身・北朝鮮に行かせてしまったという家族の苦しみ。


当時、北朝鮮は、
「この世の楽園」との噂され、
それを信じた一部の在日の方が、
「帰国事業」の話に乗り、
あの国に帰ったと言う。


映画「キューポラのある街」でも、
その事が描かれているし、
梁石日さんの小説、「血と骨」でも、
ラストに主人公が北朝鮮に行くので、
私も、その雰囲気は分からなくもない。


しかも、この映画の家族の父は、
朝鮮総連の重役で、
祖国が本当に「理想郷」だと信じていたのではないかと思われる。
現実を知っていたら、息子を送り出さないだろうし。


良かれと思ってした事が、
最悪の結果になる。
誰にでも、多少そういった経験はあると思うけど、
これは、最悪の中でも最悪すぎる。
両親の後悔の気持ちを思うと胸が苦しい。


ソンホが41歳という事に、
なんだか違和感を覚え、
「帰国事業」って、もっとずっと昔の事じゃないの?と思ったけれど、
どうやら「事業」は、50年代から80年代前半まで
続いていたらしい。
そうだとすると、辻褄も合う。


そして、
分かってはいたけれど、
彼(か)の国の、
国民に対する厳しい統制。


それはもう、命令という名の、
いじめというか、
国民を弄んでいるとしか思えないやり方。
そうやって、国民に恐怖の気持ちを植え付けようとする
作戦なのか。
もう何も言葉が出ない。


評価 ★★★★☆

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「俺はまだ本気出してないだけ」 [映画]

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〔2013年/日本〕


42歳の大黒シズオ(堤真一)は、
突然会社を辞め、
家でゲーム三昧の日々。
同居する父親(石橋蓮司)は、
怒鳴ったり、説教したりするも、
どこ吹く風。


ある日、コンビニに行ったシズオは、
なぜか突然漫画家になると決意し、
その旨を、父と娘・静子(橋本愛)に告げる。


作品を出版社に持ち込むと、
応対する編集者(濱田岳)は、
褒めてくれるが、
その割にデビューできる気配はない。


シズオは、
バイト先のファーストキッチンに新しく入って来た
市野沢(山田孝之)と妙に気が合い、
飲みに行ったり、
家に泊めたりするようになる。


果たしてシズオはデビューできるのか・・・。





これほど、受け取った側に
感じ方を委ねるタイトルはないだろう(笑)。


たとえば、
懸命に勉強している受験生が、
「まだ本当の意味でエンジンかかってないんだ」というニュアンスで
このタイトル通りの言葉を発したとしたら、
「頑張ってね!」と応援したくなるだろうし、


逆に、
根拠のない自信でいっぱいな割に、
何の成果も出せていない人が言ったら、
思いっ切りイライラさせられそうだし(笑)。


まぁ、この映画の場合、
後者に近い気がするけれども、
でも、それだけでもない気がする。


彼は突然「漫画家」になると言い出して、
上手いんだか、下手なんだか分からない作品を描く。
それがどこまで本気なんだか、
ただ逃げてるだけなのかが、
私にはよく分からないんだけど、
案外、本人は一所懸命なんだけど、
そう見えないだけかも、とも思ったり。


彼はバイトに行くと、「店長」と呼ばれ、
リトルリーグに行くと、「監督」と呼ばれる。
観ているこちらは、
とりあえず「店長」なら、「監督」ならいいじゃん、と、
一瞬騙されるけど、
実は、それは両方ともあだ名。
本当は違うんだと知ってガックリ(笑)。


そして彼は、いつもその勤務態度を、
本物の店長(25歳)から怒られる。
これって今の世の中普通にありそうな気がして、
ちょっとリアル。
世の中全体が、昔とは変わってきたよなぁと実感。


原作を読んでいないので、
堤真一と橋本愛の関係が、
最初「?」だった。
兄妹にしては年が離れすぎてるけど、
彼の暮らしぶりから、
結婚歴があるとは、ちょっと考えにくくて(笑)。


原作を読んでみたいなぁ。
今度、ブックオフで探してみよう。


評価 ★★★☆☆

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