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◆小暮荘物語◆ [本]


木暮荘物語

木暮荘物語

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2010/10/29
  • メディア: 単行本


木造のおんぼろアパート、「小暮荘」。


ここに住む住人たちの物語。
恋人と一緒にいるのに、
元彼が突然現れ、当惑する女性や、


友人の見舞いをきっかけに、
もう一度春を、と願う大家さんや、


階下に住む女子大生の生活を、
天井の節穴から覗くサラリーマンや、


派手に遊んでいるように見えて、
実は悲しい秘密を抱えている、
その覗かれている女子大生や、


夫の浮気現場に乗り込む妻や、


他にも、様々な人物たちが、
少しずつ関連しながら登場する。
どの人からも、人生の悲哀が感じられて、
切ない。


とてもいい本だ。

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「素粒子」 [映画]

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〔2005年/ドイツ〕


モーリッツ・ブライブトロイとクリスティアン・ウルメンは異父兄弟。
ヒッピーの母親は、勝手気儘な女で、
コミューンで男をとっかえひっかえ。
彼らをそれぞれの父親の実家に預け、
自分が養育しようという気はさらさらなかった。


違う環境で育った2人は、
まるで異なった性格の大人に成長する。


高校教師のブライブトロイは性欲過多気味。
結婚して子供もいたが、
妻に欲情する事ができず、悶々としていた。


一方、ウルメンは、
天才的な数学の才能を発揮する。
女とは殆ど縁のない生活だが、
本人はそれを苦とも思っていないようで、
研究に没頭する日々。


そんな2人に、転機が訪れたのは母親の死後。
それぞれ、心から愛せると思える女を見つけたのだ。
そのままずっと幸せに暮らせると思われたが、
しかし人生、そう甘くはなかった・・・。





原作は、ミシェル・ウエルベックの同名小説。
テーマは「性」という事で、
ヨーロッパでは問題作と話題になったらしい。


異なる環境で育てられた2人が、
全く違う性格や価値観に成長する様子は
興味深い。
もちろん同じ家で暮らしたって、
性格の違う兄弟は沢山いるから、
一概には言えないのだけれど。


二人の私生活、
特に、モーリッツ・ブライブトロイのが面白い。
彼は教師のくせに、教え子にまで欲情し、
相手も自分に気があると勘違い。
そして拒絶される。
そりゃそうでしょ。


妻と離婚した彼が辿り着いたのは、
ヒッピーのコミューン。
その雰囲気から、自由な性を謳歌できると思った彼は、
懸命に相手を物色するのだが、
中々上手くはいかない。
その様子は痛ましいほど必死。


結局、自分を捨てた母親と同じような場所に行ってしまう不思議さ。


特別なオチはなく、
これが人生さ、って言いたいような映画。


評価 ★★★☆☆

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「夜のピクニック」 [映画]

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〔2006年/日本〕


多部未華子。高校3年生。


彼女の通う高校では、「歩行祭」と呼ばれる行事がある。
全校生徒が夜を徹して、
80キロを歩き通すのだ。


多部は、最後の歩行祭に、
密かに決めている事があった。
それは同じクラスだが、
一度も話した事のない、石田卓也に話し掛ける事。


日頃から互いに意識し合っている多部と石田に、
クラスメイトたちは、
2人をくっつけようと一生懸命だったが、
それは、みんなの勘違いで、
実は、二人には、
誰にも話せない秘密があるのだ。


歩行祭は進み、残り20キロになっても、
会話のきっかけが掴めない多部。
迫るゴールを前に、
多部の願いは叶うのか・・・。





恋じゃない青春映画があってもいい。
その設定に泣かされた。
ヤンキーもコギャルもいない、
公立の進学校の雰囲気がとにかく好き。


多部未華子と石田卓也が並んで歩き出すシーンに涙が出た。
お互いをあれほど意識しながら、会話をするのは初めてという、
なんともぎこちない2人。
これが恋なら平凡な青春映画で終わっていた所だろうが、
そうでない設定が非常に良い。


エキストラも含めた登場人物たち全員が、
清潔で落ち着いた雰囲気なのもとても好感が持てる。
歩行祭が終わったら大学受験まっしぐらなんだろうなと想像できる、その雰囲気。
「頑張れよ」、と応援したくなる。


決して美人ではない多部未華子。
でもそこがいい。
彼女だけは、この先もずっと顔にも体にもメスなんか入れないで、
そのままでいてほしいと切に願う。


原作は恩田陸の同名小説。
こちらも名作。


評価 ★★★★★

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「ラスト・マップ 真実を探して」 [映画]

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〔2004年/アメリカ〕


銀行員ジョシュ・ルーカスは、祖父と息子との
三人暮らし。
妻は別居中。
ルーカスは幼い頃の交通事故が原因で足を引き摺るようになっており、
母はその事故で死んでいた。


そんなある日、ルーカスが3歳の時に出て行ったきり、
30年も音信不通だった父親、クリストファー・ウォーケンが、
突然やって来る。
顔も覚えていな父親の登場に戸惑うルーカス。


さらに、ウォーケンが来た直後、
祖父が亡くなってしまう。
遺書には、
「死後は、指定する数か所に散骨してほしい」とあり、
3世代の男たちは旅に出ることとなる。


ウォーケンはなぜ突然やってきたのか。
旅のラストには何があるのか・・・。





予備知識がなかったので、
冒頭、ジョシュ・ルーカスが同居するのが祖父というのが、
意外だった。
30代の男が面倒みている老人がいれば、
どうしたって父親だと思い込んでしまう。


ところが、クリストファー・ウォーケンの出現で、
そうではない事に気付かされる。
祖父は、長年会っていなかった息子に会えて嬉しそうだし、
幼い息子は、祖父に初めて会えた事に喜ぶ。
戸惑っているのは、
幼い頃捨てられたルーカスだけだ。


ルーカスはラストまで、
ウォーケンを「お父さん」とは呼ばず、名前で通す。
それも分かる気がするな。
それでもアメリカだから、ファーストネームだけど、
私だったら、
苗字に「さん」付けしそうだ。


なんか可笑しかったのは、
「これはケンタッキーフライドチキンの宣伝映画か?」っていうくらい、
ケンタッキーが出てきた事。
家族はしょっちゅう、ケンタッキーで食事をしているようだし、
ウォーケンが帰ってきて、
食事に行くのもケンタッキー。


祖父が亡くなって、
旅する先で、指定された店も全てケンタッキー。
時間が遅くて、閉店していると、
朝の開店を待つまでの念の入れよう。
さらに、最後の店舗なんて、潰れてるし(笑)。


なんだかケンタッキーが食べたくなったよ(笑)。
これもサブリミナル効果なのか。
影響されやすい女だね、私も(笑)。
映画とスポンサーの関係はよく分からないけれど、
目立たない映画だけに、余計興味が湧いた。


評価 ★★★☆☆

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「探偵はBARにいる」 [映画]

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〔2011年/日本〕


札幌・ススキノで探偵を生業とする大泉洋。
彼はケータイ電話を持たず、
連絡は、いつもいるバーの黒電話に限られている。
また、北海道大学のグータラ学生、松田龍平を
片腕として使っていた。


ある日、彼は、知らない女から奇妙な電話を受ける。
彼の口座に10万円を振り込んだから、
ある頼まれ事を引き受けてほしいと言う。
言われた通りの仕事をした大泉は、
拉致され、雪に生き埋めにされ死にかける。


怒った大泉は、
報復の為、動き出す。
その後も、謎の女からの電話での仕事依頼が続き、
次第に、過去に起こった殺人事件や放火事件など、
点と点が線になり、
大泉は核心に近づいてゆく・・・。





登場人物一人一人がキャラ立っていて楽しめる。
まずは主役の大泉洋。
この人の事は、北海道出身、というくらいしか、
私の中でデータがないのだが、
コミカルな話術が可笑しく、
観客からは笑いがもれていた。


茫洋とした松田龍平も、
大泉の良き相棒だ。
何を考えているのかよく分からない男だが、
腕力だけは滅法強い。
いざとなると頼りになる。


そして、一番感動したのが小雪。
私は今まで、この人の事を、
なんでそれほど持ち上げられるのか、
それほど綺麗か?と不思議に思ってきたのだが、
この映画で見直したよ。
大きなクラブのママ役なのだが、
とにかくカッコいい!!
ただ細いだけだと思っていた体形も、
よく見ると意外と女らしく、セクシーで、素敵だった。


そして、忘れちゃならない、高嶋政伸。
めっちゃキレてる、
サイコな役がピッタリはまっていた。
最近の話題といえば、
離婚問題くらいかと思っていたが、
俳優として、きっちり仕事していたのね(笑)。


私は北海道には行った事がないのだが、
俯瞰で映されたその街は、
本当に大歓楽街という様相で、ネオンが綺麗。
一度行ってみたいな。


評価 ★★★☆☆

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