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「宗方姉妹」 [映画]

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〔1950年/日本〕


節子(田中絹代)と満里子(高峰秀子)は、
性格の正反対な姉妹。
古いものを愛する落ち着いた女、節子と
おきゃんで現代的な満里子。


節子の夫、亮助(山村聡)は、
現在求職中であるが、
中々仕事が見つからず、苛立つ日々。
満里子は節子夫婦の家に住んでいたが、
性格の暗い亮助を嫌っていた。


実は節子には、結婚前に、
恋仲だった男、田代宏(上原謙)がいたのだが、
結婚のタイミングを逸し、
亮助と一緒になったという経緯があった。
それが、余計に亮助を苛立たせる原因でもあった。


満里子は宏の所にしょっちゅう遊びに行っては、
節子との過去を話題にするが、
宏はあくまでも穏やかだ。
満里子は、そんな宏に、
「私と結婚して」と冗談半分に言う。


節子は生活の為、バーを経営していたが、
経営は苦しく、
その為、宏から金を借りる。
それを知った亮助は怒り、
節子を激しく殴りつける。


離婚を決めた節子。
賛成する満里子。
二人の運命は・・・。





監督は小津安二郎。
全く性格の違う姉妹の日常を、
夫婦の問題や、末期癌の父(笠智衆)を絡めて描いた内容。


悪くはないけれど、
高峰秀子の演技があまりにも芝居がかっていて、
ちょっと違和感。
彼女は、普段は自分の事を「私」と言っているのに、
宏の前でだけ、「満里子ねぇ♪満里子ねぇ♪」と、
なぜか名前呼び。
相手によって自分を変えるなって。


節子も、古風なのはいいけれど、
幸せになる事を放棄しすぎ。
すべてが片付いたラスト、
私ならすぐ、宏の所に行っちゃうけどな(笑)。
当時と現代とでは、精神構造まで違うのか。


節子と満里子の言い争いの場面は良かった。
すぐ新しい物に飛びつく満里子に、節子は、
「あなたの言う新しいとは、
 スカートの丈が長いとか短いとかそういう事でしょう。
 元特攻隊員の人も、今は麻雀なんかしている。
 本当に新しいとは、そういう事ではなくて、
 古いものの中にあるのよ」と言う。
ちょっと納得。


驚いたのは、
姉妹が、奈良の薬師寺の本堂前の階段に座って、
弁当を食べるシーン。
その間、境内には人っ子一人来ない。
私の中で、そういった観光地は、
年中、人がいっぱいというイメージがあるのだが、
昔は、そんなものだったのだろうか。
それとも、映画だから?
それとも、今も、平日はあんなものなのか。


評価 ★★★☆☆

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