「爛 ただれ」

〔1962年/日本〕


新文芸坐で観た。




ホステスだった若尾文子は、
田宮二郎と懇意になり、現在は彼の愛人として囲われている。


田宮は妻との生活に嫌気が差しており、
若尾の部屋に足繁く通うが、
妻は田宮を深く愛していた。


半ば強引に妻に離婚届けに判を押させた田宮は、
直後に若尾と籍を入れる。
妻は二人を恨みながら田舎へ帰るが、
実家で田宮の名前を呼びながら、狂い死にするのだった。


田宮と若尾が新婚生活を送っているある日、
若尾の姪、水谷良重が転がり込んでくる。
水谷は見合い相手を嫌がって、家を飛び出してきたのだ。


しばらく水谷を預かる事にした若尾。
ところが、である。
若尾が不妊治療の為、
数日間、家を空けている間に、
田宮と水谷が出来上がってしまう・・・。





すごいタイトルである(笑)。
確かに、登場人物全員の生活は、
爛れきっているけれど。
しかし、やっぱり若尾さんの映画はこれくらいじゃなくっちゃね(笑)。


上に書いた他にも、
親子ほど年の離れた男と結婚して、
男の子供生んで、財産を手に入れようと画策する女や、
売れない俳優と同棲して、
ドサ回りして食いつないでいる女なんかが出てくる。
若尾文子の友達は、そんなのばっか(笑)。


入院している若尾さんは、
見舞いに来た水谷良重の様子がおかしい事にすぐ気付く。
（女の勘ってやつね）
入院を切り上げて、
二人が関係している現場に踏み込んだ若尾さんが、
半狂乱になって、
水谷に掴みかかるシーンの激しさったら。


男に浮気されると、
女は、男より、相手の女を罵るとはよく聞くけれど、
まさしく、それを体現しているような場面。
水谷がどんなに「田宮が強引に」と言っても、
「お前が誘惑するからだ」と言ってきかない若尾さん。
一番怒られなくちゃならないのは田宮なのに、
なんか、蚊帳の外。
「泥棒猫」って言葉も久しぶりに聞いたわ(笑)。


若尾さんも分かってはいるんだよね、
田宮の方が悪いって。
でも、信じたくないんだろうね、
愛する男が、自分から別の女を誘惑したなんて。
それに、妻から田宮を奪ったのは、若尾さんも同じ。
因果応報。


ラストは、「それでも人生は続く」とでも言いたげな終わり方。
みんな爛れた人生だ(笑)。


評価　★★★★☆