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「夕凪」 [映画]

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〔1957年/日本〕


新文芸坐で観た。

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4年間のアメリカ留学を終え、
日本に戻ってきた若尾文子。


母、淡島千景は若尾の帰国を喜び、再会を祝う。
淡島は、一人で若尾を生み、大切に育ててきたのだ。
今は手広く事業をしており、
薬局を一軒、若尾に任せるつもりでいる。


若尾は高校時代の友人、中田康子のマンションに遊びに行くが、
中田の様子がおかしい。
どうも、そのマンションは、
呼び出しに応じては外国人に体を売る女たちが住まわされているらしい。


また若尾は、寺の住職、志村喬の息子、池部良と知り合い、
愛し合うようになる。
しかし、なぜか母は、二人の交際を認めない。
衝突する母娘。


数日後、若尾がまた中田のマンションに行くと、
そこへ、なぜか母がやって来る。
なんと、母は、マンションに住む女たちに売春を斡旋する
マダムだったのだ。
激しい衝撃を受ける若尾。


追い討ちをかけるように、
若尾の父親が誰なのかも明らかになってゆく・・・。





若尾さんがまだとても若く、
潔癖な役どころなので、
今一つ、盛り上がりに欠ける。
やっぱり若尾さんは、
芸妓とか、人妻とか、愛人とか、
そういった役でこそ、
魅力が発揮されるというものだ。


一応、池部良と愛し合うという設定になってはいるが、
二人は話をする程度の付き合いだ。
そこに女の情念みたいなものは感じられず、
だから、観ているこちら側も、
恋するが故の、苦しみ悲しみは伝わってこない。


売春マンションに住まう女の一人を
市原悦子が演じていたのが可笑しかった。
彼女は、若尾さんとは別の、
変な色気がある。
スリップ(キャミソールでなく、あくまでもスリップ)一枚で、
部屋をウロウロするのが似合うような。


フィルムが物凄く古いようで、
全編、赤っぽい画面に、細かい傷が雨のように映っていた。
技術的な事は分からないけれど、
現在残っているこういったフィルムを、
これ以上劣化させないように、
DVDなど、別の媒体にダビングするという作業は
されているのだろうか。
このまま観られなくなってしまっては、
本当に勿体無い。


評価 ★★★☆☆

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