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「転々」 [映画]

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〔2007年/日本〕


大学8年生のオダギリジョーは、
闇金に80万円の借金があり、
取立て屋の三浦友和から返済を迫られていた。


そんなある日、三浦が、
「借金をチャラにし、さらに100万円をやるから、
 ここ吉祥寺から霞ヶ関まで散歩(?)する自分に付き合え」
と言い出した。
実は三浦は、浮気した妻を殺し、自首するつもりなのだが、
どうせなら、桜田門にある警視庁まで行きたいと言うのだ。


そんな美味しい話にオダギリが乗らないはずもなく、
二人は歩き出す。
途中で、様々な人や出来事に出会いながら・・・。





映画全体に漂う空気感が、なんとも言えずに良い。
奇妙で滑稽で可笑しい。


同じ監督の、「亀は意外と速く泳ぐ」でも、
絶妙のコンビっぷりを見せていた、
ふせえりと岩松了が、
今回は、三浦の妻の勤務先のスーパーの同僚として出てくる。
更に、本作ではここに松重豊が加わり、
独特の空間を作り出すのが、
可笑しくてたまらない。


この3人は、主役2人と絡むシーンは全くなく、
3人だけの世界を作り出しているのだが、
こういう職場ってありそう、とも思えるし、
いや、無いだろ、とも思えるし、
とにかく、3人が醸し出す世界がとても好き。


他にも、畳屋の親父役、笹野高史や、
家庭内暴力をする息子、石原良純や、
変なイラストレーター、広田レオナや、
そのほか、なんとも微妙な面々が次々出てくるのである。


オダギリと三浦の会話も絶妙だ。
幼少時に親に捨てられたオダギリは、
次第に、三浦を父親のように思う自分に気付く。


2人は、三浦の偽装妻、小泉今日子の家に行くのだが、
ここで、小泉の姪の吉高由里子が加わり、
4人はあたかも家族のような空間を作り出す。
それはまるで、オダギリが一度も体験した事のなかった、
暖かい家庭のような雰囲気で、
オダギリは三浦に、
自首はやめろと言おうかとまで思い始める。


別に泣かせるシーンじゃないんだけど、
良いんだよ、三浦がね。
ぶっきらぼうだけど、優しくて、
本当のお父さんみたいで。


岸部一徳が、本人役で出ている。
岸部に街で偶然出会うと、良い事があるという言い伝えがある、
という設定で。
そんな風に自分を描かれた岸部一徳は、
どんな気持ちだったんだろう(笑)。


評価 ★★★★☆

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