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「ブーメランのように」 [映画]

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〔1976年/フランス〕


実業家・ジャック・バトキン(アラン・ドロン)の
17歳の息子・エディ(ルイ・ジュリアン)は、
友人宅で大麻パーティをする中、
朦朧とした意識で、
警官をライフルで射殺してしまう。


ジャックは現在再婚しており、
エディは前妻の子。
駆け付けた前妻はショックのあまり半狂乱となり、
ジャックを責めるばかり。


下手すればエディは死刑になってしまう。
ジャックは顧問弁護士と、
もう一人、若い弁護士を雇い、
なんとか裁判で有利になるように尽力する。


また、自ら、
エディが殺してしまった警官の家に行き、
未亡人に謝罪する。
未亡人は態度を軟化させてくれたとの手応えを感じるジャック。


ところが、新聞にとんでもない記事が出てしまった。
ジャックにはギャングだった過去があり、
逮捕歴もあったが、
精神疾患のフリをして出所した事を暴かれたのだ・・・。





アラン・ドロンの親馬鹿(馬鹿親?(笑))映画。


自分の息子がしでかした不始末を、
なんとか帳消しにしようと奔走する父親。
その気持ちは分からなくはないけれど、
やっぱり罪は罪だしね。


ただ、死刑というのは、
ちょっと重すぎるかなぁ。
フランスの、70年代の裁判が
どんな感じかは分からないけれど、
今の日本の感覚だけで言うと、
この状況なら、死刑にはならない気がする。
殺意があったわけじゃないし。


変なの、と感じる場面もある。


ドロンは、若者たちに大麻を供給する、
街の時計屋に行き、
ひと暴れする。
この件で時計屋を訪ねてきたのは、
ドロンが最初らしいけど、
これほどの事件で、
警察が調べに来てないってどうなのよ?と思って。


犯罪映画は、
大抵、犯人側に肩入れして観てしまう私だけれど、
この映画は、そうなる事もなく終わった。
甘やかしていては、
この子の為にならないんじゃなか、と思う。
こんな風な、間違った尻拭いを
親父がしてしまったら、
この息子は駄目になる、そんな気がする。


むしろこれが、
男女の愛だったら、もう少し思い入れて観られたかも。
衝撃のラストも、ロマンティックなものとして、
受け入れていたかもしれないな。


倫理観は別として、
決してつまらない映画ではない。
この先どうなっちゃうの?と目が離せない。


評価 ★★★☆☆

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懐かしい友達を探して [できごと]

先日、某区に友人夫妻が家を新築し、
遊びに行ってきたのだけれど、
お家の住所を聞いた時、
何かが心に引っ掛かる。
何だろう何だろう・・・。


その後、そんな「引っ掛かり」の事はすっかり忘れていたのだけれど、
何かの瞬間に、「あっ!」と声が出てしまった。
思い出した。
友人夫妻が家を建てたその街は、
私の懐かしい友達、H美ちゃんの住んでいる街じゃなかったか、
たしか、そう、多分。


-------


H美ちゃんは、
小学校に入学して最初にできた友達。
なぜ彼女と友達になったのだろう。
たぶん、身長順に並んで前後だったとか、
そんな理由だったと思うけれど、
人見知りな私にとって、
明るいH美ちゃんはとても頼もしい存在で、大好きだった。
休み時間や放課後はいつも一緒に遊んだし、
一緒に帰った。


けれど、2年生になってすぐ、
私は別の区に転校する事になった。
H美ちゃんと離れ離れになってしまうのが悲しくて、
お手紙のやり取りだけはしていこうと固く約束した。


文通を続ける途中で
H美ちゃんも別の区に引っ越しをし、
新しい住所として教わったのが、
冒頭に書いた、友人夫妻が家を建てた、その街なのだ。


文通は高校1年まで続いた。
けれど、よくある事だけれど、
お互い、なんとなく日々の忙しさにかまけて、
やり取りは自然消滅し、
その後、彼女の事を思い出す事はたまにあっても、
手紙を出した事はない・・・。


-------


私が記憶しているH美ちゃんの住所が、
友人夫妻の家と本当に近所なのかを確認するために、
保管してあったお手紙を久し振りに出した。
やり取りは途絶えてしまったけれど、
お手紙だけは大事にしている。


やっぱり記憶は間違っていなかった。
友人夫妻の家とH美ちゃんの家は、
歩いて5分くらいの場所だ。
こんな偶然って、奇跡みたいだ。


-------


この間の休日、
私は思い切ってH美ちゃんの住所の場所に行ってみる事にした。
好奇心旺盛な、件の友人も付いてきた。
お手紙の番地の場所に、確かに一軒家は建っており、
2人で外から家を眺めたけれど、
人が住んでいる感じがしない。
空き家な印象。


私たちは隣のお蕎麦屋さんに入った。
年配のご夫婦が経営されているお店で
私はお蕎麦を注文した際、
奥さんに聞いてみた。
「ここのお隣に○○さんというご家族が住んでおられませんでしたか?」と。


奥さんは驚かれたようだけれど、
記憶をフル回転させ、
また、厨房にいるご主人にも聞きにいってくださり、
覚えている事をお話してくれた。
H美ちゃんの年や、
H美ちゃんのご両親がされていた家業や、
H美ちゃんに妹さんがいた事などが、
ピタピタと私の記憶と一致する。
間違いない、
このお蕎麦屋さんの隣の家はH美ちゃんの家だ。


けれど、ショックな事を聞く。
彼女はずいぶん前に引っ越しした事、
そして今はもう、どのに住んでいるかも知らない事。
そっか・・・。


もしもH美ちゃんが、
同じように私の事を思い出してくれて、
何らかのアクションを起こしてくれたとしても、
私もその後、何度も引っ越しをし、
今住んでいる場所には辿り着くのは無理だと思う。


もし偶然、どこかで出会ったとしても、
きっと顔を見ても分からない。
おそらく結婚されているだろうから、
名前も変わっている事だろう。


何が何でも探し出したいとか、
そんな風に思っているわけではないけれど、
もし出来るなら、会ってお話してみたい。
お手紙が途切れてしまった高校生から今までを、
どんな風に生きてきたのか、お互いに語りたい。
もう二度と会えないのかな・・・。

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「マダムと女房」 [映画]

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〔1931年/日本〕


作家の芝野(渡辺篤)が郊外の道を歩いていると、
画家が風景画を描いており、
なぜか2人は、些細な事で大喧嘩になる。


仲裁に入った見知らぬマダムの、
隣の借家が空いていると知った芝野は、
ちょうど家を探していたので、
そこに住むことに決める。


引っ越しが住むと、麻雀を始める芝野。
しかし、彼が原稿を書かないと、
家族の生活が成り立たない。
女房(田中絹代)は芝野の尻を叩いて、
仕事の催促。


芝野は机に向かうが、
今度は子供たちがうるさくて、
なかなか仕事がはかどらない。
さらに隣の家から、大きな音楽が聞こえてきて、
気が散って仕方がない。


文句を言いにいった芝野だが、
マダムに誘われ、
一緒に音楽を楽しむ事に。
それを見た女房は激しい嫉妬心を燃やし・・・。





日本初のトーキー映画なのだそうだ。


そのせいか、
静かな環境で仕事をしたい作家が、
様々な雑音に悩まされるという、
「音」にこだわった内容になっていて、
楽しめる。


彼の執筆活動の邪魔をする、「音」。
子供の声や、隣の音楽もそうだけど、
さらには、ネズミの足音やら、
猫の鳴き声やら、
目覚まし時計やら、
初めての音の出る映画の作成に、
作り手側が、楽しんでいるように感じられる。


だからといって、
気負った感じはなく、
お話はのんびりムード。
1930年代初期の、
日本の家庭の様子が垣間見られて、
とても貴重な映画でもあると思う。


隣のモダンなマダムに嫉妬する、
田中絹代が可愛い。
彼女は怒ると、
ミシンを踏む。


何か作ってるのかな、と思ったけれど、
そうではなくて、
ただただ、怒りの気持ちを足踏みミシンにぶつけて、
音を立てる。
なるほど、ミシンって、
お裁縫以外に、
女のイライラを鎮める為にあったのか!と
膝を打ちたくなるような気持ち(違うか(笑))。


物事には、何にでも最初がある。
この映画があるから、
私たちは、今、
映画のセリフに聞き入り、
映画音楽を楽しめる。
本当にありがたい事です。


実験的な側面もあるとは思うけれど、
結構しゃれていて、
楽しめる一本。


評価 ★★★★☆

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「ひみつの花園」 [映画]

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〔1997年/日本〕


幼い頃から、可愛げがなく、
お金だけが大好きな西田尚美は、
短大卒業後、銀行に就職する。


しかし、他人の金を数えても空しい・・・と思っていた所に、
まさかの銀行強盗が!
西田は人質となり、車のトランクに押し込まれ、
青木が原の樹海に連れて行かれる。


ところが車が事故を起こし、
犯人は死亡。
なんとか車から出た西田は、
5億円の入ったスーツケースにしがみついて、
川の急流を下ってゆく。


気を失い、川岸で発見された西田は、
5億円入りスーツケースが、
どこに沈んでいるかを記憶していた。
ニュースでは、お金は犯人と一緒に燃えたと言っている。
なんとかして、あれを探し出せば、
自分は一躍大金持ちだ。


西田は、樹海近くの大学に入って、
周辺の地質学を学び、
ロッククライミングや潜水の資格を取り、
着々と5億円回収のための準備をするのだが・・・。





これは面白い。
西田尚美の魅力全開。


なんだろうな、この人。
淡々としていて、薄味な感じで、
色気があまり無くて、
でも、とっても可愛くて、
この映画の、
「5億円を探す女」という役がピッタリ。


彼女は、5億円の為なら、
どんな努力も厭わない。
大学の勉強も、
水泳も、
ロッククライミングも、
本人は全く意図せずに、
ものすごい成績を収めて、
その道のエキスパートになってしまう可笑しさ。


それでも、本人の目的は、
あくまでも5億円入りスーツケースの回収。
目標がぶれない所が、またいい。


しっかし、これ、
もしも本当に5億円入りスーツケースがある場所を
自分だけが知っていたら、
無関心でいられる人っているんだろうか。


少なくとも私は無理(笑)。
大学に入り直す事はしないまでも、
潜水くらいは習うかも(笑)。


オチが少し物足りない、
あのラストでなかったら、パーフェクトなのに。


評価 ★★★★☆

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徹子の部屋展 [できごと]

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日本橋高島屋で開催されていた、
「徹子の部屋展」に行ってきました。

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私は黒柳徹子さんが、
日本の女性芸能人の中では、
一番と言っていいくらい大好きで、
「徹子の部屋」は、
“毎日録画する”設定にして、観ています。


なので今回のこのイベントは、
とても楽しみにしていました。


番組で徹子さんが来ていたドレス、
アクセサリー、
お化粧道具、
そして、
番組内で見る、あのテーブルの上に広げられている
原稿などが展示されていて、
大変に興味深いものばかり。


徹子さんが打ち合わせの際に使われるという、
筆箱など、ずいぶん年季が入っていて驚きます。
もう40年も使っているのだそう。
今ある物を、できるだけ丁寧に、長く使っていこう、
壊れていないのに、新しい物を求めるのは、
なるべくしないでおこうというお気持ちは、
私も普段、心がけるようにしている事でもあるので、
徹子さんとの共通点が見つかったようで、
嬉しい気持ちになりました。


徹子の部屋のセットが、
そのまま展示されているコーナーもあります。
ゲストが座るソファーには、
「ここに座ってね」という印の、ハート型のマークがついています。
その位置は、ゲストと徹子さんがお話をするのに、
絶妙な距離感なのだそうです。


面白い仕掛もあります。
大きな鏡のようなモニターが二種類あり、
その前に来場者が立つと、
一台は、首から下が、徹子さんが着ている衣装に変わり、
もう一台は、玉ねぎヘアーに変わるのです。


あれはどういう仕掛けになっているんだろう。
面白くて、
友人と写真を撮り合っちゃいました。


これを機に、
また新しい気持ちで「徹子の部屋」が観られそうです。
徹子さんがいつまでもお元気で、
あと30年くらい番組が続けばいいのになぁと、
心から思っています。

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