「マダムと女房」 [映画]
〔1931年/日本〕
作家の芝野(渡辺篤)が郊外の道を歩いていると、
画家が風景画を描いており、
なぜか2人は、些細な事で大喧嘩になる。
仲裁に入った見知らぬマダムの、
隣の借家が空いていると知った芝野は、
ちょうど家を探していたので、
そこに住むことに決める。
引っ越しが住むと、麻雀を始める芝野。
しかし、彼が原稿を書かないと、
家族の生活が成り立たない。
女房(田中絹代)は芝野の尻を叩いて、
仕事の催促。
芝野は机に向かうが、
今度は子供たちがうるさくて、
なかなか仕事がはかどらない。
さらに隣の家から、大きな音楽が聞こえてきて、
気が散って仕方がない。
文句を言いにいった芝野だが、
マダムに誘われ、
一緒に音楽を楽しむ事に。
それを見た女房は激しい嫉妬心を燃やし・・・。
日本初のトーキー映画なのだそうだ。
そのせいか、
静かな環境で仕事をしたい作家が、
様々な雑音に悩まされるという、
「音」にこだわった内容になっていて、
楽しめる。
彼の執筆活動の邪魔をする、「音」。
子供の声や、隣の音楽もそうだけど、
さらには、ネズミの足音やら、
猫の鳴き声やら、
目覚まし時計やら、
初めての音の出る映画の作成に、
作り手側が、楽しんでいるように感じられる。
だからといって、
気負った感じはなく、
お話はのんびりムード。
1930年代初期の、
日本の家庭の様子が垣間見られて、
とても貴重な映画でもあると思う。
隣のモダンなマダムに嫉妬する、
田中絹代が可愛い。
彼女は怒ると、
ミシンを踏む。
何か作ってるのかな、と思ったけれど、
そうではなくて、
ただただ、怒りの気持ちを足踏みミシンにぶつけて、
音を立てる。
なるほど、ミシンって、
お裁縫以外に、
女のイライラを鎮める為にあったのか!と
膝を打ちたくなるような気持ち(違うか(笑))。
物事には、何にでも最初がある。
この映画があるから、
私たちは、今、
映画のセリフに聞き入り、
映画音楽を楽しめる。
本当にありがたい事です。
実験的な側面もあるとは思うけれど、
結構しゃれていて、
楽しめる一本。
評価 ★★★★☆
こんにちは。
日本映画初のトーキー作品というポイントをよくついたご感想で、さすが、と思いました。
by sig (2015-09-16 16:39)
sigさん
コメントありがとうございます。
褒めていただきありがとうございます。
感じたままをつらつらと書いただけで、
大したものではないのですが、
その「感じ」が伝わったのなら、嬉しいです。
by 青山実花 (2015-09-17 17:58)