SSブログ

「ロシアン・ルーレット」 [映画]

Russianroulette.jpg
〔2010年/アメリカ〕


電気工のサム・ライリーは、
入院中の父の治療費の捻出に、
頭を悩ませている青年。


彼はある家の電気工事に出掛けた際、
その家の主人が、
「一日で大金が手に入る伝手がある」という話を盗み聞きする。
ところがその主人が、
薬物の過剰摂取で死亡。
ライリーは、彼が話していた金儲けの
ヒントになると思われる封書を盗み出し、
書かれている通りの場所に行く。


その館に入ると、
17人の男に、1から17まで番号の振られたTシャツが渡され、
ライリーには13番が振り分けられる。
彼らを見守る、多数の男たち。


17人は、拳銃を渡され、円になる。
弾倉に1発の弾を込め、
弾倉を回したあと、
前の男の後頭部に銃口を当てる。
合図で、一斉に引き金を引く。


何人かの男が死ぬ。
そして第2ラウンド。
方法は同じだが、
今度は、弾を2発込める・・・。





これは中々面白かった。
儲け話があると、
不思議な屋敷にやって来た青年が体験した、
怖ろしいゲーム。


この青年・サム・ライリーは、
ゲームの方法を知って驚愕し、
第1ラウンドで、引き金を引くことができない。


その緊張が痛いほど伝わってくる。
殺人者にも、被害者にもなり得るこのゲーム、
しかも、どんな内容なのか知っていたならともかく、
何も知らないライリーにとって、
それは体の震えが止まらないような恐怖で、
気が狂いそうだろう。


これって、完全に運だけの世界ね。
実力や経験など、何も必要としない。
おそらく、イカサマもできない。
何らかの細工で、
相手を殺す事ができたとしても、
自分が殺されてしまえば意味ないし。


そして、この映画の面白いのは、
屋敷を離れたあとの展開。


それは
ルーレットの場面が序章に思えるくらい、
私には緊張いっぱいで、
ドキドキが止まらなかった。


ラストは7:3の割合で、私は納得。
でもきっと、全く納得できない方も多いだろうと、
そのお気持ちも理解できる。
賛否が分かれる終わり方だと思う。


評価  ★★★★☆

nice!(26)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「無宿者」 [映画]

mushukumono.jpg
〔1964年/日本〕


殺された父の形見のドスを持ち、
仇を探す一本松(市川雷蔵)。
彼は賭場で知り合った浪人・黒木と
佐渡島に近い寒村にやって来る。


その村は、やくざ稼業の三州屋波蔵が
2年前から急に羽振りが良くなったと言われており、
また、村の若い男ばかりが船に乗せられ、
二度と帰ってこないという事件が
頻発していた。


一本松は、三州屋の黒幕である、
船問屋の島屋十兵衛こそが、
父を殺した犯人ではないかと考え始める。
さらに、一緒にいる黒木が、
十兵衛の息子ではないかと疑い始める。


一本松は、
村人のために三州屋と対立するが、
その後、衝撃の事実が判明する・・・。





最近、市川雷蔵の映画を立て続けに観ているけれど、
ここに感想を書こうにも、
似たような内容の時代劇も多くて、
そのままになってしまう作品も多い。


そんな中、この作品は少し違う気がする。
雷蔵サンが、
父の仇を探す、暗い影を持った男を好演。
「眠狂四郎」の雰囲気と似ているかもと思ったら、
「狂四郎」のシリーズの間に作られた作品のようだ。


観ている途中から、
「もしかして・・・」と思い始める。
話しの流れが私の想像通りだったら、
面白いのに、って。


そうしたら、やっぱりそうだった(笑)。
これは別に私の勘がいいわけではなく、
映画の流れのお約束なのだろう。
ハリウッドの、ある超大作は、
この映画をパクってるだろうとのご意見も
多数あるようだ。
それはそれで笑える。


ラスト、雷蔵サンは、
ある人物と対峙するんだけど、
その場所ってのが2時間ドラマみたいな崖っぷちで(笑)。
やっぱり崖っぷちは、劇的な幕切れの舞台に、
ピッタリなのかもしれない(笑)


評価 ★★★★☆

nice!(12)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「エスケイプ・フロム・トゥモロー」 [映画]

escapefromtomorrow.jpg
〔2013年/アメリカ〕


家族で遊びに来た、
某テーマパークの脇のホテル。
ベランダで、会社からの電話を受けたジム(ロイ・エイブラムソン)だが、
その内容は解雇通告で、ショックを受ける。


その事を妻には話さず、
とりあえず、夫婦と幼い子供たちで、
テーマパークへ。


途中で同じ電車に乗り合わせた、
若い女2人に目が釘付け。
園内でも彼女たちを見掛けたジムは、
妻と別行動をとり、
ずっと後を追う。


その後、ベンチで話し掛けてきた女と、
ベッドを共にしたり、
現実とも妄想ともつかない世界へ入ってゆく・・・。





映画が終わって、
劇場から出ようとした時、
扉を開けるタイミングが同じだった年配の女性が、
「気持ちの悪い映画でしたね」と話し掛けてこられた。


「はい、変な映画でしたね」と答えた私。
だって、本当に変というか、
何が言いたいのかよく分からなくて。


ディズニーランド無許可で撮影を敢行したのが、
売りだというこの映画。
私は別にディズニー信者ではないので、
ディズニーが穢されたとか、
そんな理由で変だとは思わないけど、
主人公のおっさんの行動が最悪で。


まず彼は、
若い2人組の女の子の尻を追っかけて、
息子が嫌がるスペースマウンテンに無理矢理乗り、
結果、息子は激しく嘔吐してしまう。
あんた父親じゃん。
何やってんの、と言いたくなる。


その後も、
転んで擦りむいた娘の手当てをしに入った医務室で、
看護婦さんの胸元を覗き込んだり、
痴漢のような行為が続く。
これを観た女で、笑える人は少ないであろう。


その後は、酒を飲み過ぎ、
アトラクションに乗りながら、
父親自身が嘔吐する場面もある。
あーーー、最悪。
若い者ならともかく、
いい年して、子供まで連れて、
そんな場所で、吐くまで酒を飲むなんて、
驚いてしまうよ。


ディズニーランドは夢の国じゃないと言いたいんだろうか。
そんな事は分かってるよ。
行きたい人は行けばいい。
貶めるにしたって、
もっと別の方法があるだろうに。


現実だか妄想だか、
その境界線もよく分からない。
原爆を彷彿とさせる場面もある。
何が言いたいんだろう。


ラスト近くの場面も、
神経質な人だったら、
吐き気を催しそう。


妄想を楽しめばいい映画なのに、
「子供の面倒みてあげてよー」と言いたくなる私には、
この映画を観る能力はないのだと思う。


評価 ★★☆☆☆

nice!(24)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

◆やまいだれの歌◆ [本]


(やまいだれ)の歌

(やまいだれ)の歌

  • 作者: 西村 賢太
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/07/31
  • メディア: 単行本


西村賢太氏の新刊。
発売日に買ってしまった。
少し待てば、安く買える気もしたけど、
我慢できんかった(笑)。


西村氏にとって、初めての長編小説。
例によって、主人公は北町貫多。
貫多が主人公の小説は、
30代に同棲していた、
秋恵さんとの話が多かったけれど、
これは彼が19歳の時の物語。
「苦役列車」の少しあとのようだ。


ほぼ私小説しか書かない西村氏なので、
彼の本が大好きな私は、
彼の人生について、
ある程度知った気になっていたので、
この本のような、
今まで聞いた事のなかった物語がある事に驚いた。


19歳の貫多は、
心機一転、今まで住んでいた東京を離れ、
横浜の地にやって来る。
そして造園会社での仕事に就く。


最初は、腰掛けのつもりで入った会社だったけれど、
想像以上の、
アットホームで温かな会社の雰囲気に、
屈折した貫多の心も柔らかくなり、
一日も休まずに通うようになる。
また、貫多のあとから入った、
事務の女の子・佐由加に、熱烈な片思いをするようにもなり、
会社に行くのが楽しみにさえなってゆく。


けれど、貫多だもんなぁ、
そのままで済むわけないよなぁ、と考えながら
読み進めてゆくと、
案の定・・・。



あーあ。
「困ったなぁ、困った人だなぁ」という言葉が、
自然に頭に浮かんでくる。
なんでこの人は、こうなっちゃうかなぁ。


そして、そんな彼に、
職場の人たちがした、ある出来事。
それはもう、相当に貫多の心にも、今後の人生にも、
相当なダメージを与えたのは必至で、
読んでいるこちらも辛い。


ただ、この物語が、
貫多の目線で描かれているため、
なぜ彼がそんな目に遭わされたのか、
ハッキリとした理由は分からない。
きっと職場の人たちにも、言い分は山のようにあるのだろう。


一つだけ。


男同士の付き合いについては、
私にはよく分からないけれど、
女の子へのアピールの仕方は、
決定的に間違ってるよ、貫多くん(笑)。


あれじゃあ、女は、
男に惚れるどころか、ドン引きだ。
力を示す場所を完全に間違えてる。
特に、居酒屋で、
店員さんに居丈高な態度で、
お料理を注文する男など、
最低の最低。
それを、「強くてカッコいい俺」とでも思っているような様子が、
痛くてたまらない。


こんなんばかりの西村氏の小説だけれど、
私はきっと、
生涯、彼の本を追いかけてゆくだろうと思う。
もう次の本が楽しみになっている。
なんだろうな、これは。
前にも書いたけど、
「西村賢太病」に罹っているとしか言いようがないのよ(笑)。

nice!(27)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

「蛇姫様」 [映画]

image.jpg
〔1959年/日本〕


病弱な父・大久保佐渡守に代わり国を任せられている
琴姫(嵯峨美智子)は、
腹黒い家老・佐伯左衛門(和泉千太郎)に手を焼く日々。


琴姫の心の慰めは、
身の回りの世話をしてくれる、おすが(中村玉緒)だけで、
このおすがに、いつも心の内を聞いてもらっていた。


おすがが実家・ひのき屋に里帰りした際、
佐伯の息子・彦次郎(浜田雄史)が客としてやって来た。
ところが、彦次郎がおすがを酌婦扱いした事から、
トラブルに発展、
おすがの兄・千太郎(市川雷蔵)は、
彦次郎の顔を大きく切りつけてしまう。


逃走した千太郎は、
旅役者一座に匿われ、
役者に化け、
厳しい詮議から逃れようとする。
特に看板女優のお島(近藤美恵子)は、
千太郎の男っぷりが、
相当に気に入ったらしい。


しかし、千太郎がそうこうしている間に、
おすがは殺され、
父も殺害された上、
実家に火を付けられてしまう。


しかも、父やおすがを殺したのは琴姫だとの
噂が流布され、
千太郎はそれを信じ込み・・・。





タイトルの「蛇姫」とは、
途中で殺される中村玉緒さんが、
死後、生まれ変わった姿。


彼女は、死んだあと、
蛇になって、琴姫や兄の千太郎の所に現れては、
彼らをギョッとさせる。


ただ、私としては物足りないのよ。
どうせ蛇に生まれ変わるのなら、
超でかい大蛇にでもなって、
仇に巻き付いて、
丸呑みするくらいの迫力があればいいのに。


彼女がなったのは、
膝の上に乗るくらいの、
小さな小さな蛇。
これじゃインパクト薄いでしょ(笑)。


ただ、生きている時の玉緒さんは、
気が強くて、なかなかよろしい。
いつになくセリフが長くて、結構な迫力、
それでいて可愛い。
今の玉緒さんからは想像もつかない。


もちろん今の玉緒さんも、
とても可愛らしい方だとは思うけれど。
そういえば、先週「徹子の部屋」に玉緒さんが出演された時、
勝新太郎さんとの結婚について聞かれた玉緒さんは、
婚前交渉云々と話し始めて、
徹子さんが少し困っておられたような(笑)。
私も、自分の聞き間違いかと、
その部分だけ、巻き戻して観ちゃったくらい。
この時の会話が可笑しいと、
ネットでも話題にされている方がいるようだ。


雷蔵さんの映画なのに、
出てくる女がみんな強くて、
持っていかれてる気がする。
旅役者に化ける雷蔵さんは、
とても美しいのだけれど。


私は、テレビドラマの時代劇は、
全くと言っていいくらい観た事がなくて、
知らなかったのだけれど、
この作品は、ドラマにもなっていたそうだ。
・・・って、こんなところに書くまでもなく、
それって、誰もが知っている事なんだろうか(笑)。


評価 ★★★☆☆

nice!(20)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画