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「いろは囃子」 [映画]

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〔1955年/日本〕


材木問屋のドラ息子・平太郎(市川雷蔵)は、
チンピラに成り果て、親からも勘当されている放蕩者。


今日も賭場でトラブルを起こし、
追手から逃げているうちに、
娼婦・お仙(山根寿子)の部屋に飛び込む。


意気投合した2人は、
腕に違いの名前を彫り、
語り合ううちに、
生きているのが嫌になったと、
川に身を投げる。


しかし死に切れなかった平太郎は実家に戻され、
改心し、
家業に精を出すようになる。
許嫁のお菊との仲も良く、
全て順風満帆に思えたが、
ある日、お菊に失恋した男が、
逆恨みからお菊を誘拐。


お菊がさらわれる現場に居合わせたのが、
他でもない、
お仙と、その亭主で・・・。





今年は、市川雷蔵の映画デビュー60周年なのだそうで、
様々な媒体で、
彼の名前を目にすることが多い。


私も、特に意識したわけではないけれど、
なんだか最近、彼の映画を観る機会が多くて、
ある時代を駆け抜けた大スターの記念の年に、
少しでも関われるのなら、嬉しい。


37歳で癌で亡くなった雷蔵は、
たった15年の俳優人生で、
159本もの映画に出演したそうだ。
37歳で亡くなるというのは、
あまりにも早過ぎるし、残念すぎる。
佳人薄命としか言いようがない。


今回、そんな記念の年に、
この、「いろは囃子」を含む6作品が、
初めてデジタル化されたそうで、
劣化していたフィルムが観易くなったのだそうだ。
それにしても、雷蔵の映画でさえ、
「やっと」という感じなのだから、
この世には、埋もれているフィルムがどれくらいあるのだろう。
少しずつでも、デジタル化が進めばいいのだけれど。


で、この映画、
不良の雷蔵と、
改心した雷蔵の2パターンが観られるという、
なんだかお得な映画(笑)。


どちらも素敵だけど、
改心した彼を観て、
「そうだよ、真面目に働きなはれ」と、
心から安堵。


けれど、そうは問屋が卸さないのが人生。
好事魔多し。
そして、
「そうきたか」という展開が待っている。


平太郎とお仙の関係も切ないなぁ。
たった4日間の恋だけど、
心中するまで意気投合するなんて。
恋は時間じゃないのよね。


そして、ラスト。
私が作者なら、
こんな風には終らせない。
というか、終わらせたくない。


評価 ★★★☆☆

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