SSブログ

「丑三つの村」 [映画]

ushimitsunomura.jpg
〔1983年/日本〕


昭和13年。
岡山県の寒村。


犬丸継男(古尾谷雅人)は、
村始まって以来の秀才と誉れ高い、19歳の青年。
彼に両親はなく、
祖母だけが唯一の家族。


村は、夜這いの風習が未だに残っており、
また、近親婚が多い為、
住人達は皆親戚縁者という、
特殊な集落。
その為、余所者は決して受け入れないという空気も強い。


継男も、そんな村の一員として、
いつしか、様々な女たちと関係するようになる。


彼には、戦争に行ってお国の為に役立ちたいという
思いが強かったが、
胸を患い、徴兵検査で失格となってしまう。


その日から、村人の彼を見る目が変わる。
戦争にも行けない役立たずの上、
肺病持ちだ、伝染っては大変だ、近寄るな、と。


村人たちの態度の変化にショックを受けた彼は、
自分を馬鹿にした者たちへの
復讐を考えるようになり・・・。





昭和13年に実際に起こった、
「津山事件」を映画化した作品。
そして、横溝正史の代表作で、
私の大好きな「八つ墓村」も、
この事件をモチーフにしていると言われている。
あまりにセンセーショナルな事件のため、
他にも、この事件を元にした、
書籍は多数ある。


2時間の間に、
30人の殺人が行われたという本事件は、
日本の犯罪史上、
犠牲者数が最大という事だ。
私も少なからず興味を持ち、
この映画の原作でもある、
西村望さんの同名小説や、
松本清張さんのルポ、「闇に駆ける猟銃」や、
山岸凉子さんの漫画、「負の暗示」を読んだ。


この事件で語られる内容は、どれもほぼ同じ。
濃密すぎる人間関係、
ルーズな性意識、
一度何かあると、徹底される村八分、などなど。
もちろんそれだけで、
史上最悪とも言われる殺人事件が起こるわけではないだろうけど、
全く関係ないとも言い切れない。


で、映画の方はどうかというと、


主人公の青年と、
村の女たちとの性交渉の場面がやたら強調されていて、
肝心の、
彼の心に芽生える怨みの気持ちが、
上手く描かれていなかったのが残念。


五月みどり、池波志乃、田中美佐子、大場久美子の4人の女優が、
とにかく彼と交わる。
嬌声があまりに大きくて、
その場面になると、ボリュームを下げたくらい(笑)。
窓開けてたし(笑)。


それから、音楽が画面に合わないのも、
いま一つ感情移入できない理由かも。
どの場面でも、流れてくるのが、
なんだか牧歌的で、呑気なBGM。
いかにも80年代っぽい。
これがこの時代の限界だったのかも。


この題材、現代の誰かが映画化してくれないかな。
おどろおどろしさや、性交渉に焦点を当てるのでなく、
もっと犯人の気持ちに寄り添った(というのも変だけど)
内容で、
音楽も、もっと合った物にして。


評価 ★★★☆☆

nice!(26)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画