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「宇宙人東京に現わる」 [映画]

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〔1956年/日本〕


最近、日本の上空で空飛ぶ円盤が多数目撃され、
人々はその噂で持ち切りだ。


そんな中、東京の天文台では、
謎の発光体が観測され、
やがて星形の宇宙人、パイラ星人の姿が、
各地で目撃されるようになる。


パイラ星人は、高度な文明を持っており、
地球にやって来た目的は、友好。
決して人間に危害を加える事はないのだが、
星形に大きな目という姿のせいで、
人々は悲鳴を上げてしまう。


仕方なく、地球人に姿を変えたパイラ星人は、
水爆の恐ろしさを説き、
また、新天体“R”が地球に近付きつつあり、
このままの軌道でいけば、
間違いなく衝突するであろう事を教えてくれる・・・。





タイトルやジャケット写真を見ると、
B級映画のように感じられるけれど、
なかなか深い、いい映画だった。


なんといっても、
宇宙からやって来たパイラ星人が、
とても良い人たちで、
その性格の良さにホッとする。


ただ、可笑しいのは、
自分たちを見ると逃げてしまう人間に対して、
パイラ星人も、
「人間の方が、ずっと醜いじゃないか」と言う場面。


そう、そうなんだよね、
私も考えた事があるの。
もし宇宙人がやって来たとして、
彼らがとても友好的であったとしても、
人間にとって、生理的に受け付けないような外見だったら、
どうなるんだろうって。


たとえば、ある昆虫に似ているとか、
多くのかたが苦手としている爬虫類や両生類に似ているとかだったら、
慣れるまでに時間がかかりそうだなぁ、って。
そういう私も、
どーーーしても直視できない苦手な生き物があって、
宇宙人がその生き物そっくりだったら、
「無理だ・・・、絶対仲良く出来そうにないよ・・・」と思ってしまうだろうし(笑)。


もちろん、パイラ星人はそこまでの嫌悪はないけれど。
この星形の宇宙人をデザインしたのは、
岡本太郎さんだそうで、
どう見ても、中に人が入っているのが分かる。
愛嬌があって、なかなか可愛い造形だと思う。


このパイラ星人が、
なぜ諸外国でなく、日本に危機を伝えてくれたのか教えてくれる。
それは、
「日本が世界でたった一つ、原爆を落とされた国だから」、と。


ありがたくもあり、
考えさせられる場面でもある。


巨大な天体が地球にぶつかると聞くと、
「ディープインパクト」や「アルマゲドン」を思い出す。
こんな古い日本の映画で、
そういった発想があった事にビックリしたけど、
調べてみると、
この映画以前に、ハリウッドでそのような作品があったそうで、
その部分は、そう驚く事でもないらしい。


ただ、太陽のように赤いこの天体は、
地球に近付くにつれ、
世界全体が夕焼けのように赤くなる。
怖いような、美しいような風景。
よく出来た映画だと思う。


評価 ★★★★☆

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