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「忠臣蔵」 [映画]

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〔1958年/日本〕


元禄十四年。
江戸城・松の廊下で、
吉良上野介(滝沢修)からの度重なる侮辱に耐えかねた
浅野内匠頭(市川雷蔵)は、
刃傷沙汰を起こし、
即日切腹、御家は断絶となってしまう。


浅野家家老の大石内蔵助(長谷川一夫)は、
仇討をするべく、
息子の主税(川口浩)、
岡野金右衛門(鶴田浩二)、赤垣源蔵(勝新太郎)らと、
策を練る。


吉良側への目を欺くため、
仇討の事など忘れたフリをする内蔵助は、
茶屋で女たちをはべらせ、遊興三昧、
人々は彼を、腰抜けだと噂する。


そんな茶屋には、
吉良の家臣・千坂兵部(小沢栄太郎)の命で、
仲居として紛れ込んだるい(京マチ子)がいたが、
内蔵助の澄んだ瞳に、心揺れ動く。


仇討の日が近付くが、
決行には、吉良邸の見取り図がどうしても必要。
岡野は、自分に思いを寄せてくれる、
大工の娘・お鈴(若尾文子)が、
それを保管している事を知っているが、
彼女の恋心を利用するようで、
見せてくれとはなかなか言い出せず、苦悩する・・・。





こんな真夏に忠臣蔵(笑)。
でも面白かった。
忠臣蔵の王道を行くような作品で、
大筋くらいしか知らない私にも、
大変に分かり易い。


さらに、大映80周年記念映画だそうで、
出演陣が凄すぎ。
大映好きの私には、
うわー!の連続であった(笑)。
衣装やセットも大変に豪華。


大体の物語は知っているとはいえ、
こうして観てみると、
出だしから夢中になってしまう。
吉良上野介の底意地の悪さったら、
浅野内匠頭でなくても、
本気で殺意を覚えるくらい。


それを線の細い市川雷蔵が演じるものだから、
余計に悲壮感が漂う。
現代、いじめが社会問題化しているけれど、
実はそんな事、今に始まったわけでなく、
人間が存在した時からあった事なのだと、よく分かる。
しかもこんないい年したおっさんが。
最悪。


その後、家老の大石内蔵助が、
討ち入りを実行すべく、
着々と準備をするのは、
誰もが知った話だけれど、
それぞれのエピソードが泣かせる。


妻子に離縁を言い渡したり、
最後に兄の家に遊びに行ったり。
討ち入り決行=死、と分かっている男たちは、
きちんと死にゆく準備をする。
仇討が正しいかどうかは、
この際どうでもよい。
侍の美学のようなものを感じる。
だから忠臣蔵は、
度々映像化されるんだろう。


ラストは涙が出る。
夫や、弟や、娘婿や、恋人が、
浪士たちに寄せる思い。
最後の最後まで見せ場が続く。


評価 ★★★★☆

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